『僕はいつでもコロンと寝れますから、気にせず夜を楽しんで下さい。そのかわり明日の朝早くからゴソゴソやります(^^)』
と言って一夜限りの同居人よりも先にシュラフに包まれます。タイマーをバイブレーションにしてセットします。3時15分起床予定です。
zzz…
暗闇の中で一瞬目覚めました。時間は2時、まだ寝れるな…zzz
はっっ。
再び目覚めると午前3時10分。起きるとしますか。えーっとタイマーは… あれ?ない。シュラフの中の奥の方に姿をくらましていました。あぶねー、この状況で寝坊はまずいです。
朝食を済ませて出ようかとも思いましたが、さすがに迷惑だなと思いました。歩きながらエナジージェルとシリアルバーで済ませることにします。
スノーボーダー2人組みに目で挨拶して先発しました。まだ暗がりの中ですが、やんわりと見えます。
雪が堅くしまり、滑りやすくなっています。ゆっくりとスタートし稜線を目指しました。
あれだけもうダメだと音を上げていた身体が一晩でずいぶん回復し、順調に高度を稼いでいきます。やがて辺りは明るさを取り戻し、穏やかな朝を迎えました。
一旦なだらかになり、さらに現れた目の前の北ノ俣岳がとてつもなく大きく感じます。なかなか越えられない感覚に襲われました。
一歩ずつ…とにかく一歩ずつ詰めてやっとの思いで稜線に立ちました。冷たい風に襲われ、一枚羽織ることにしました。
黒部五郎岳が大きくそびえ、去年登った水晶岳と鷲羽岳、赤牛岳も丸見えでした。そして向かうこの稜線の奥に目指す薬師岳があるはずです。
雪解けが早いとはいうものの、稜線上の全ての雪が無くなっている訳ではなく、進むべき方向を何度も確認しながら歩みます。
吸い込まれるような斜面をトラバースするように登山道がついているようです。ここは危険だ… 樹林帯を這い上がって回避します。帰りも気をつけなきゃ… ここが雪崩て谷に吸いこまれたら、雪解けまで見つかることはないだろう。(のちにこのポイントで苦しむことになろうとは思わずに…)
しばらくすると太郎平小屋が見えて来ました。その手前のピークが太郎山だな?
太郎山の山頂は平に近く、そこでハイマツの影に隠れて風を避けながら食事をとることにしました。(画像は太郎山から見た薬師岳)
簡単で早いカップ麺にしました。ニンジン、ほうれん草、ごぼうの乾燥野菜を入れるはずだったのですが、昨日の2人組みが野菜を切って用意していたのに忘れてきたー と嘆いていたので、あげてしまいました。なので野菜はなし。
お腹を満たし再び出発です。
太郎山から見ると、手前が大きく落ち込んでいるように見えます。薬師峠です。
ここを越えると登山道は大きく右に巻いていきます。ですが、当然登山道は雪の下なので道が出ている訳ではありません。雪の上をショートカットしたつもりが、ハイマツに阻まれて通過困難です。あと5mがどうにも抜けられません。急がば回れとはまさにこのことですね。
それでもなんとか登山道に復帰すると、そこからはグッとと高度を稼いでいく雪の斜面です。さすがにここはアイゼンを付けました。キックステップでもいいのですが、体力の消耗が激しいので、わずかなスリップも避けたいがためです。
急登が終わると薬師岳小屋が現れました。ここは完全に閉鎖されています。目の前にはドーンとそびえる頂が見えます。
『あれが薬師かな?』
山頂に祠のようなものが見えます。ザレた登山道をジリジリとジグザグに詰めていきます。ここも急登です。やっとやっと辿り着くと山頂標識はありません。
『えーっ(T_T) まだか』
そのさらに奥に鎮座するのが目指す薬師岳山頂ということになります。
きたーきたきたきたー(^o^)
いやー長かった、本当にキツかった。すべて標準コースタイムオーバーでした。いい経験になりました。やっぱり雪があると時間かかりますね。
しばし山頂からの展望を楽しみ、セルフタイマーで記念撮影をしました。山頂には僕1人きりです。
さて、あまりゆっくりもしていられません。ここは北アルプスの最深部です。
雲も上がって来てます。予報ではこれから気圧の谷が通過します。さほど天気が崩れなければいいのですが…。
登って来た道をどんどん下ります。あっという間に薬師小屋、そして登り返してさらに急斜面を下り太郎平小屋に到着したのが14時でした。
すると間もなく視界が無くなるほどガスに包まれました。
天候がもてば北ノ俣分岐を越えて避難小屋まで戻るつもりでいました。雪の中でガスに包まれると上も下も方向さえも分からなくなります。むしろこの時間にこの場所でガスに包まれて良かったのかもしれません。
ここは潔くあきらめて、予定通り太郎平小屋を使わせていただくことにします。
食事をして、明日の準備を整えシュラフに潜ったのが16時。寝付けない時間なので、睡眠導入剤を利用します。一粒のんで横になりました。
…1時間経っても眠くならない。
…2時間経っても眠れない。
人間、疲れ過ぎると眠れないのか?
だめだもう一度服用した方が良さそうだ。
一度起きて薬をたしかめると、なんと僕が服用したのは胃薬でした(^^;)
これは眠くなるはずもないですね。今度こそ導入剤を服用してお休みなさーい。
あっさりと眠りに導かれていきました。その頃、小屋の外で起こっていることに気付く訳もなく…
その4へ続きます。
と言って一夜限りの同居人よりも先にシュラフに包まれます。タイマーをバイブレーションにしてセットします。3時15分起床予定です。
zzz…
暗闇の中で一瞬目覚めました。時間は2時、まだ寝れるな…zzz
はっっ。
再び目覚めると午前3時10分。起きるとしますか。えーっとタイマーは… あれ?ない。シュラフの中の奥の方に姿をくらましていました。あぶねー、この状況で寝坊はまずいです。
朝食を済ませて出ようかとも思いましたが、さすがに迷惑だなと思いました。歩きながらエナジージェルとシリアルバーで済ませることにします。
スノーボーダー2人組みに目で挨拶して先発しました。まだ暗がりの中ですが、やんわりと見えます。
雪が堅くしまり、滑りやすくなっています。ゆっくりとスタートし稜線を目指しました。
あれだけもうダメだと音を上げていた身体が一晩でずいぶん回復し、順調に高度を稼いでいきます。やがて辺りは明るさを取り戻し、穏やかな朝を迎えました。
一旦なだらかになり、さらに現れた目の前の北ノ俣岳がとてつもなく大きく感じます。なかなか越えられない感覚に襲われました。
一歩ずつ…とにかく一歩ずつ詰めてやっとの思いで稜線に立ちました。冷たい風に襲われ、一枚羽織ることにしました。
黒部五郎岳が大きくそびえ、去年登った水晶岳と鷲羽岳、赤牛岳も丸見えでした。そして向かうこの稜線の奥に目指す薬師岳があるはずです。
雪解けが早いとはいうものの、稜線上の全ての雪が無くなっている訳ではなく、進むべき方向を何度も確認しながら歩みます。
吸い込まれるような斜面をトラバースするように登山道がついているようです。ここは危険だ… 樹林帯を這い上がって回避します。帰りも気をつけなきゃ… ここが雪崩て谷に吸いこまれたら、雪解けまで見つかることはないだろう。(のちにこのポイントで苦しむことになろうとは思わずに…)
しばらくすると太郎平小屋が見えて来ました。その手前のピークが太郎山だな?
太郎山の山頂は平に近く、そこでハイマツの影に隠れて風を避けながら食事をとることにしました。(画像は太郎山から見た薬師岳)
簡単で早いカップ麺にしました。ニンジン、ほうれん草、ごぼうの乾燥野菜を入れるはずだったのですが、昨日の2人組みが野菜を切って用意していたのに忘れてきたー と嘆いていたので、あげてしまいました。なので野菜はなし。
お腹を満たし再び出発です。
太郎山から見ると、手前が大きく落ち込んでいるように見えます。薬師峠です。
ここを越えると登山道は大きく右に巻いていきます。ですが、当然登山道は雪の下なので道が出ている訳ではありません。雪の上をショートカットしたつもりが、ハイマツに阻まれて通過困難です。あと5mがどうにも抜けられません。急がば回れとはまさにこのことですね。
それでもなんとか登山道に復帰すると、そこからはグッとと高度を稼いでいく雪の斜面です。さすがにここはアイゼンを付けました。キックステップでもいいのですが、体力の消耗が激しいので、わずかなスリップも避けたいがためです。
急登が終わると薬師岳小屋が現れました。ここは完全に閉鎖されています。目の前にはドーンとそびえる頂が見えます。
『あれが薬師かな?』
山頂に祠のようなものが見えます。ザレた登山道をジリジリとジグザグに詰めていきます。ここも急登です。やっとやっと辿り着くと山頂標識はありません。
『えーっ(T_T) まだか』
そのさらに奥に鎮座するのが目指す薬師岳山頂ということになります。
きたーきたきたきたー(^o^)
いやー長かった、本当にキツかった。すべて標準コースタイムオーバーでした。いい経験になりました。やっぱり雪があると時間かかりますね。
しばし山頂からの展望を楽しみ、セルフタイマーで記念撮影をしました。山頂には僕1人きりです。
さて、あまりゆっくりもしていられません。ここは北アルプスの最深部です。
雲も上がって来てます。予報ではこれから気圧の谷が通過します。さほど天気が崩れなければいいのですが…。
登って来た道をどんどん下ります。あっという間に薬師小屋、そして登り返してさらに急斜面を下り太郎平小屋に到着したのが14時でした。
すると間もなく視界が無くなるほどガスに包まれました。
天候がもてば北ノ俣分岐を越えて避難小屋まで戻るつもりでいました。雪の中でガスに包まれると上も下も方向さえも分からなくなります。むしろこの時間にこの場所でガスに包まれて良かったのかもしれません。
ここは潔くあきらめて、予定通り太郎平小屋を使わせていただくことにします。
食事をして、明日の準備を整えシュラフに潜ったのが16時。寝付けない時間なので、睡眠導入剤を利用します。一粒のんで横になりました。
…1時間経っても眠くならない。
…2時間経っても眠れない。
人間、疲れ過ぎると眠れないのか?
だめだもう一度服用した方が良さそうだ。
一度起きて薬をたしかめると、なんと僕が服用したのは胃薬でした(^^;)
これは眠くなるはずもないですね。今度こそ導入剤を服用してお休みなさーい。
あっさりと眠りに導かれていきました。その頃、小屋の外で起こっていることに気付く訳もなく…
その4へ続きます。