2日目の朝が来ました。
午前3時30分、「平標山の家」を出ました。
本当はもう少し早く出られそうでしたが、忘れ物やら何やらで結局予定通りになってしまいました。
予定通りの何が悪いのかって?
少しアドバンテージがあると気持ちが楽じゃないですか。
天候は曇り、まだ夜のとばりは降りたままです。
ヘッドライトを点けて平標山山頂まで登って行きます。
平標山は2度目ですが、こんなにキツかったっけか⋯。
標準コースタイム50分のところ55分もかかってしまいました。
出だしからこんなことはまず無いのですが、よっぽど疲労が残っているのか、年齢的なものなのか⋯。
『くそ!まずいな。一番辛くて長い日にこのつまずきは何なんだ』思わず心が叫びます。
何とか山頂に立ちます。
ここはスノーカントリートレイルのチェックポイントです。道標を探すもどうも見当たりません。
ここ以外のルート上にはほとんど着いていたので、どこかにあるとは思うのですが、薄暗いこともあってついに見つけられませんでした。
なので平標山の山頂標識にハイカー証を合わせて撮影しました。
こんな時、ホームページ上でチェックポイントの道標の位置が分かる画像などがあると良いなと思いました。
遅れている上に道標探しに時間を食ってしまい、焦る気持ちが出てきてしまいました。
なんと現時点で30分の遅れです。
遅れを気にする理由は、計画通りに歩けても本日の目的地「苗場山山頂ヒュッテ」には17時の到着になってしまうからです。
これ以上遅れるのは、あまりにも無茶な計画と言われても仕方がないという「安全登山」に対する言い訳が出来ないと考えているからです。
5時35分松手山山頂。
6時35分平標登山口
11時10分赤湯温泉山口館
赤湯温泉は歩かないと入れない秘湯中の秘湯です。車止めゲートから2時間はがっつり歩かないとたどり着かないところにあります。
それも途中までは砂利道ですが、その後はちゃんとした登山道になります。
平標山の家から歩いて7時間40分、ようやく到着した赤湯温泉。
時刻は11時10分です。
けっこう疲れてます。
平標山の家で若旦那が『あそこはZONEですよ、熊だらけです』と言うもんですから、ちょっぴりぴびってます。
そんなことよりも今の僕はこの疲労感とどうやって戦うかです。
本当は赤湯温泉にちょっぴりでも浸かりたかったのですが、残念ながらその時間はありませんでした。
いつかテントを担いでのんびりと訪れたいと強く思いました。
いよいよ苗場山への登りに取り付きます。
登りはじめてすぐに空が泣き出しました。
時折強く降り、僕の行く手を阻むようです。
死にそうになりながらもなかば辺りまで来た時、上から学生さんと見られる数人のパーティーが降りてきました。
赤湯温泉にテントを張っていたのは彼らですね。
おそらく高校の山岳部でしょう。
でもね、テントの外にシュラフを干してありましたね? かわいそうですが、たぶんずぶ濡れざんす。
赤湯温泉は携帯の電波が入りません。
天気予報も分からなかったようですね。
山の天気は変わりやすいですから⋯。
さて、そんなことに気をとられている場合じゃありませんでした。
今、僕は死にそうなんでした。
疲労困憊、もうここまで来ると行くしかない状況です。
赤湯温泉が五合目なのですが、六合目、七合目と現れてくる標識が逆に「まだまだ遠いのだよ」と囁きかけてくるようです。
しかも、けっこう急な登りがずっと続きます。
平標山の家の若旦那によると「最後は急な鎖場を登らされますよ」と脅かされていました。
逆にそれが見えればあとわずかと言うことですね。期待感と不安感が入り乱れます。
16時02分、シラビソ廊下に入りました。
いくらかアップダウンはあるものの、フラットに近い歩きに変わりました。
ここは9合目になります。
頑張れ俺。
そして雨霧に包まれた岩壁が目の前に現れました。
『ついに佳境だな』
見ると確かにかなり急な斜面です。
取り付きの1歩目が大きな面の岩で角度はほぼ90度です。
疲れているのでミスらないように足をかける所を探します。
ほんの1cmほどの突起に決めました。
腕力だけだは上がれないので、鎖をしっかり握ってギャップに足を掛けます。
『せーの、おりゃぁー』
濡れた岩はつるんとしていて怖かったです。
あとは確実に3点確保しながら、ルートを決めて登って行きます。
あと10m⋯
あと5m⋯
ジャーン、湿原に到着です。
向こうの丘の頂点に「苗場山山頂ヒュッテ」が雨に霞みながら見えています。
寒いです。
時刻は17時05分、予定より1時間15分遅れでした。計画が少し厳しかったかと反省しています。
山頂でのチェックポイント撮影は、明日の朝にすることにして、ひとまずヒュッテの方に顔を出します。
『こんにちはー、予約していた高橋です』
すると⋯
2日目その2へ続きます。
午前3時30分、「平標山の家」を出ました。
本当はもう少し早く出られそうでしたが、忘れ物やら何やらで結局予定通りになってしまいました。
予定通りの何が悪いのかって?
少しアドバンテージがあると気持ちが楽じゃないですか。
天候は曇り、まだ夜のとばりは降りたままです。
ヘッドライトを点けて平標山山頂まで登って行きます。
平標山は2度目ですが、こんなにキツかったっけか⋯。
標準コースタイム50分のところ55分もかかってしまいました。
出だしからこんなことはまず無いのですが、よっぽど疲労が残っているのか、年齢的なものなのか⋯。
『くそ!まずいな。一番辛くて長い日にこのつまずきは何なんだ』思わず心が叫びます。
何とか山頂に立ちます。
ここはスノーカントリートレイルのチェックポイントです。道標を探すもどうも見当たりません。
ここ以外のルート上にはほとんど着いていたので、どこかにあるとは思うのですが、薄暗いこともあってついに見つけられませんでした。
なので平標山の山頂標識にハイカー証を合わせて撮影しました。
こんな時、ホームページ上でチェックポイントの道標の位置が分かる画像などがあると良いなと思いました。
遅れている上に道標探しに時間を食ってしまい、焦る気持ちが出てきてしまいました。
なんと現時点で30分の遅れです。
遅れを気にする理由は、計画通りに歩けても本日の目的地「苗場山山頂ヒュッテ」には17時の到着になってしまうからです。
これ以上遅れるのは、あまりにも無茶な計画と言われても仕方がないという「安全登山」に対する言い訳が出来ないと考えているからです。
5時35分松手山山頂。
6時35分平標登山口
11時10分赤湯温泉山口館
赤湯温泉は歩かないと入れない秘湯中の秘湯です。車止めゲートから2時間はがっつり歩かないとたどり着かないところにあります。
それも途中までは砂利道ですが、その後はちゃんとした登山道になります。
平標山の家から歩いて7時間40分、ようやく到着した赤湯温泉。
時刻は11時10分です。
けっこう疲れてます。
平標山の家で若旦那が『あそこはZONEですよ、熊だらけです』と言うもんですから、ちょっぴりぴびってます。
そんなことよりも今の僕はこの疲労感とどうやって戦うかです。
本当は赤湯温泉にちょっぴりでも浸かりたかったのですが、残念ながらその時間はありませんでした。
いつかテントを担いでのんびりと訪れたいと強く思いました。
いよいよ苗場山への登りに取り付きます。
登りはじめてすぐに空が泣き出しました。
時折強く降り、僕の行く手を阻むようです。
死にそうになりながらもなかば辺りまで来た時、上から学生さんと見られる数人のパーティーが降りてきました。
赤湯温泉にテントを張っていたのは彼らですね。
おそらく高校の山岳部でしょう。
でもね、テントの外にシュラフを干してありましたね? かわいそうですが、たぶんずぶ濡れざんす。
赤湯温泉は携帯の電波が入りません。
天気予報も分からなかったようですね。
山の天気は変わりやすいですから⋯。
さて、そんなことに気をとられている場合じゃありませんでした。
今、僕は死にそうなんでした。
疲労困憊、もうここまで来ると行くしかない状況です。
赤湯温泉が五合目なのですが、六合目、七合目と現れてくる標識が逆に「まだまだ遠いのだよ」と囁きかけてくるようです。
しかも、けっこう急な登りがずっと続きます。
平標山の家の若旦那によると「最後は急な鎖場を登らされますよ」と脅かされていました。
逆にそれが見えればあとわずかと言うことですね。期待感と不安感が入り乱れます。
16時02分、シラビソ廊下に入りました。
いくらかアップダウンはあるものの、フラットに近い歩きに変わりました。
ここは9合目になります。
頑張れ俺。
そして雨霧に包まれた岩壁が目の前に現れました。
『ついに佳境だな』
見ると確かにかなり急な斜面です。
取り付きの1歩目が大きな面の岩で角度はほぼ90度です。
疲れているのでミスらないように足をかける所を探します。
ほんの1cmほどの突起に決めました。
腕力だけだは上がれないので、鎖をしっかり握ってギャップに足を掛けます。
『せーの、おりゃぁー』
濡れた岩はつるんとしていて怖かったです。
あとは確実に3点確保しながら、ルートを決めて登って行きます。
あと10m⋯
あと5m⋯
ジャーン、湿原に到着です。
向こうの丘の頂点に「苗場山山頂ヒュッテ」が雨に霞みながら見えています。
寒いです。
時刻は17時05分、予定より1時間15分遅れでした。計画が少し厳しかったかと反省しています。
山頂でのチェックポイント撮影は、明日の朝にすることにして、ひとまずヒュッテの方に顔を出します。
『こんにちはー、予約していた高橋です』
すると⋯
2日目その2へ続きます。