だめだ⋯
足の裏が痛い。
普通に歩けなくなってきました。
相変わらず雨は容赦なく小石を投げつけるように水滴を落下させてきます。
雨を避けられるところでもう一度足裏のケアをしよう⋯。
靴下の具合が悪いのか、テーピングが上手くいってないのか、すでに皮膚が破けてしまったのか⋯。
『たしか、救急用品の中に大きいパットが着いた絆創膏があったな。それで何とかしよう』
なかなか適当な場所が見つかりません。
だいぶ歩いたところでバス停の待合舎を見つけました。
『よかった〜、ここでケアしよう』
中に入るとホッとしました。
真夏と違って濡れた身体は少し肌寒いぐらいです。
風もあるし、気温は20℃台前半ぐらいです。
朝着ていたカッパに袖を通します。
カッパは内側までびしょ濡れです。
『うわっ冷た』
ケアしている間に身体が冷えないようにしなければならないなと思いました。
それでも1枚羽織ると寒く感じなくなりました。
靴紐を解いて靴下を脱ぐと、右足裏のテーピングが丸まって段差を作っていました。
『これが痛みの原因か、濡れているところに貼ったから剥がれてくちゃくちゃになったんだな』
足はふやけて真っ白でした。
裸足になってしばらく乾かします。
その間に絆創膏とテーピングテープを切りました。
そしてしっかりと絆創膏を貼り、テーピングテープで上から重ねます。
予備に持った靴下と交換します。
乾いた靴下はとても快適でした。
濡れた靴を履き直します。
メリノウールの靴下はすぐには保水せず、しばらくの間快適な履き心地を約束してくれました。
立ち上がり、カッパを脱いで小降りになった雨の間を縫うように外に出て行きます。
『よし。ずいぶん楽になったぞ』
痛みがかなり和らいだので、スピードも上がりました。
12時25分南魚沼市に入りました。
いよいよ終わりが見えてきたぞ。
思い起こせば色んな出来事があったなぁ。
豪雨や猛暑、熱中症や雷雨、沢の増水や崩落地の通過、道迷い、人との出会いや美味しい蕎麦、最高な温泉宿や眠気と戦った運転などなど。
それもあと数時間です。
ヤゴ平林道に入ります。
その時『えっ?』
通行止めです。
『この橋は平成30年の橋梁安全調査において、十分な安全が確保出来ないと判断されました⋯』
まじか⋯。
スノーカントリートレイルのホームページにもそのような情報は無かったと思ったけど⋯。
『さて、どうしたものか』
看板には『通るとすれば自己責任』のようなニュアンスで書いてあります。
ここまで来て戻れる人がいるとすれば、それはとても勇気がある人ですね。
僕には出来ませんでした。
抜き足差し足忍び足、最後は駆け足でその橋を渡ってしまいました。
1台の車が橋のたもとに停められていました。
ドライバーは乗っていません。
周りに家や施設もなく、特別見どころがある訳でもないような気がするのですが⋯。
結局、その先も人影は無く橋を無事に渡った僕は誰もいない林道をひたすら登ることになりました。
『もう最後の登りってやつかな』そう思うと、その1歩1歩に力と推進力が加わってきます。
だらだらといつまでも登らされたあと、いきなり視界に現れた最終ポイント「展望台」に思わず『来たー』と声が出ました。
そしてなんと青空が覗き始め、八海山の山頂がフワッと雲の隙間から覗きました。
残念ながらヤゴ平林道に道標はひとつも無く、当然展望台(東屋)に至っても⋯。
15時ちょうど。
最後は東屋に薮を漕ぐように上がると、今まで歩いて来たスノーカントリートレイルがこんなにも広大で、目で追い切れないほどの距離に半端じゃない達成感が湧いてきました。
さあ降りるぞ。
なぜか浦佐駅までの下りは走っていました。
そして国道17号に出ました。
15時38分、ついにスノーカントリートレイル完全踏破です。
浦佐駅までのウイニングロードを軽快に歩き、駅のトイレで着替えさせてもらい、ホームに入ってベンチで本日のログをみると⋯
なんと46.3km。
68,200歩。
体感的には30km台半ばぐらいの疲労感だったけど、足裏以外に痛みもなく本当に良いラストランでした。
最後に、スノーカントリートレイルを企画してくださった「雪国観光圏推進協議会」「雪国観光圏 スノーカントリートレイル実行委員会」の皆様、そしてサポートして下さった各サポート施設の方々、ウッディーのマスター、平標山の家の若旦那と可愛い奥さんと元気なお母さん、苗場山山頂ヒュッテのイケメンスタッフ、水上観光案内所のお姉さん、何度も連絡を下さった事務局の次長様。
本当に楽しかった、ありがとうございました。
おしまい。
歩行距離 46.3km
累計標高差 +1,496m −1,560m
所要時間 11時間20分
68,200歩
スノーカントリートレイル全線
(セクションハイク)
累計歩行距離 336.5km
累計標高差 +13,923m -15,290m
累計所要時間 108時間25分
553,300歩
11日間
足の裏が痛い。
普通に歩けなくなってきました。
相変わらず雨は容赦なく小石を投げつけるように水滴を落下させてきます。
雨を避けられるところでもう一度足裏のケアをしよう⋯。
靴下の具合が悪いのか、テーピングが上手くいってないのか、すでに皮膚が破けてしまったのか⋯。
『たしか、救急用品の中に大きいパットが着いた絆創膏があったな。それで何とかしよう』
なかなか適当な場所が見つかりません。
だいぶ歩いたところでバス停の待合舎を見つけました。
『よかった〜、ここでケアしよう』
中に入るとホッとしました。
真夏と違って濡れた身体は少し肌寒いぐらいです。
風もあるし、気温は20℃台前半ぐらいです。
朝着ていたカッパに袖を通します。
カッパは内側までびしょ濡れです。
『うわっ冷た』
ケアしている間に身体が冷えないようにしなければならないなと思いました。
それでも1枚羽織ると寒く感じなくなりました。
靴紐を解いて靴下を脱ぐと、右足裏のテーピングが丸まって段差を作っていました。
『これが痛みの原因か、濡れているところに貼ったから剥がれてくちゃくちゃになったんだな』
足はふやけて真っ白でした。
裸足になってしばらく乾かします。
その間に絆創膏とテーピングテープを切りました。
そしてしっかりと絆創膏を貼り、テーピングテープで上から重ねます。
予備に持った靴下と交換します。
乾いた靴下はとても快適でした。
濡れた靴を履き直します。
メリノウールの靴下はすぐには保水せず、しばらくの間快適な履き心地を約束してくれました。
立ち上がり、カッパを脱いで小降りになった雨の間を縫うように外に出て行きます。
『よし。ずいぶん楽になったぞ』
痛みがかなり和らいだので、スピードも上がりました。
12時25分南魚沼市に入りました。
いよいよ終わりが見えてきたぞ。
思い起こせば色んな出来事があったなぁ。
豪雨や猛暑、熱中症や雷雨、沢の増水や崩落地の通過、道迷い、人との出会いや美味しい蕎麦、最高な温泉宿や眠気と戦った運転などなど。
それもあと数時間です。
ヤゴ平林道に入ります。
その時『えっ?』
通行止めです。
『この橋は平成30年の橋梁安全調査において、十分な安全が確保出来ないと判断されました⋯』
まじか⋯。
スノーカントリートレイルのホームページにもそのような情報は無かったと思ったけど⋯。
『さて、どうしたものか』
看板には『通るとすれば自己責任』のようなニュアンスで書いてあります。
ここまで来て戻れる人がいるとすれば、それはとても勇気がある人ですね。
僕には出来ませんでした。
抜き足差し足忍び足、最後は駆け足でその橋を渡ってしまいました。
1台の車が橋のたもとに停められていました。
ドライバーは乗っていません。
周りに家や施設もなく、特別見どころがある訳でもないような気がするのですが⋯。
結局、その先も人影は無く橋を無事に渡った僕は誰もいない林道をひたすら登ることになりました。
『もう最後の登りってやつかな』そう思うと、その1歩1歩に力と推進力が加わってきます。
だらだらといつまでも登らされたあと、いきなり視界に現れた最終ポイント「展望台」に思わず『来たー』と声が出ました。
そしてなんと青空が覗き始め、八海山の山頂がフワッと雲の隙間から覗きました。
残念ながらヤゴ平林道に道標はひとつも無く、当然展望台(東屋)に至っても⋯。
15時ちょうど。
最後は東屋に薮を漕ぐように上がると、今まで歩いて来たスノーカントリートレイルがこんなにも広大で、目で追い切れないほどの距離に半端じゃない達成感が湧いてきました。
さあ降りるぞ。
なぜか浦佐駅までの下りは走っていました。
そして国道17号に出ました。
15時38分、ついにスノーカントリートレイル完全踏破です。
浦佐駅までのウイニングロードを軽快に歩き、駅のトイレで着替えさせてもらい、ホームに入ってベンチで本日のログをみると⋯
なんと46.3km。
68,200歩。
体感的には30km台半ばぐらいの疲労感だったけど、足裏以外に痛みもなく本当に良いラストランでした。
最後に、スノーカントリートレイルを企画してくださった「雪国観光圏推進協議会」「雪国観光圏 スノーカントリートレイル実行委員会」の皆様、そしてサポートして下さった各サポート施設の方々、ウッディーのマスター、平標山の家の若旦那と可愛い奥さんと元気なお母さん、苗場山山頂ヒュッテのイケメンスタッフ、水上観光案内所のお姉さん、何度も連絡を下さった事務局の次長様。
本当に楽しかった、ありがとうございました。
おしまい。
歩行距離 46.3km
累計標高差 +1,496m −1,560m
所要時間 11時間20分
68,200歩
スノーカントリートレイル全線
(セクションハイク)
累計歩行距離 336.5km
累計標高差 +13,923m -15,290m
累計所要時間 108時間25分
553,300歩
11日間