TINKERBELL BLOG

茨城県取手市「美容室アトリエティンカーベル」ティンカーベルのスタッフを身近に感じていただければ嬉しいです

茨城県北ロングトレイル C30~C56 (2日目)

2022年09月02日 | Weblog
地獄見たさに今回のトレイルに挑戦したTさん。
初日は日没を迎えてしまいましたが、とりあえず目標とする道のりは踏破できました。

僕が思うにTさんは体力もあるし、身体能力も高いと思います。
5歳年上なので僕があと5年経ったらこの気力が残っているかどうかわかりません。


2日目、僕はもっと早くスタートを切りたかったのですが、Tさんは寝ないと回復しないような顔つきでした。

宮川コミュニティセンターで夜を明かしたので移動しなければなりません。
車2台攻撃です。
1台をゴール地点の袋田駅に、もう1台はスタート地点のつつじヶ丘駐車場(篭岩分岐から進みます)にデポします。

朝、5時30分起床。
朝食を簡単に済ませ、準備を整えます。
ところが全然Tさんの車内に動きなし。
窓を叩いて起こします。
これ以上は遅くなれないぞ、というところまで寝かせておきました。

10分で車を出してきました。
いろいろ忘れ物があったみたいです。
やはり前もっての準備は大切ですね。


つつじヶ丘というくらいなので、つつじが咲き乱れるのかな?

登山口はこの下の舗装路を右手に行った先からでした。


この階段を上がって行きます。


登山道はしっとりと濡れていて蜘蛛の巣と耳元に来る小さな虫、所によりアブの襲撃を受けます。


道標と言えないレベルのパウチされた案内標識はもう使い物にならないレベルとなっています。
ストックの先でめくってみます。


展望台です。
展望はなし。


けっこう時間がかかってやっとルートに乗りました。
小さいけれど急登のアップダウンは疲労を蓄積させていきます。
今日も一日長いので長距離マラソンの感覚で完走目指して歩き始めます。


始まりました篭岩(かごいわ)の鎖場です。
なんせ濡れているのでけっこう滑ります。
ここは慎重に。
篭岩から男体山まではこんな地形です。
なので今日は二人ともしっかりとした登山靴で望みます。


篭岩山頂。
なんとここまで2時間超えです。
思っているよりも時間がかかっています。
とにかくコースタイム通りに歩けていません。


今日も展望は無しかと思った瞬間、


あらららら、突然目の前が開けました。
そうそうこの感じ。
これぞ奥久慈。まるで西上州に居るかのような気分になります。


切れ落ちたぞくぞくする足元とは裏腹に、吸い込まれるような濡れた緑があまりにも美しいのです。


ここにだけホトトギスが咲いていました。


男体山に取り付きました。
634m、スカイツリーと同じ高さという看板がありました。


奥久慈男体山到着。
コースタイム通りに登ってみると、けっこうこたえました。


茨城百景。
せり出した祠が凄いのです。


健脚コースは登りに使うべきです。
特に雨の日の濡れた岩はグリップしません。
しかし、今日は下るしかありません。


Tさん上手いです。
あまりにもスムーズな下降にちょっと驚きです。

僕は鎖をまたぐ時に両足のグリップが外れ、鎖の支柱に股間を激突させるという事件を起こしました。
幸いにも問題ない部分を強打しただけで済みました。


やっと鎖場を抜け、いつものアップダウンに変わりました。
歩いてきた稜線が見えます。

とにかく暑い、辛い、滑る、のオンパレードです。

あまりの疲労感にC42ポイントで座り込みました。Tさんのスピードが落ちてきました。
今日は昨日よりも距離は短く設定してありますが、明らかに袋田駅まで歩き切ることは不可能となりました。
最後に切れ落ちた急峻な岩尾根を抱える山「鷲の巣山」をヘッドライトで乗り切るにはあまりにも危険です。

この時点での時刻は15時30分、リタイアするにしても相当な距離を歩かないと西金駅に到着できません。

西金駅に降りるか、あと少し頑張って長福山を越え、上小川駅にエスケープするかの二択になりました。
どうせならコースから離れず、次に繋げやすい上小川駅を選択したい。

Tさんの様子はもう限界に達しそうでした。

『さあ行きましょう』腰をあげ覚悟を決めたらすぐに行動です。


一般道に出ました。
しばらく舗装路を歩きます。

とぼとぼと歩き続けるTさん。
頑張るんだ。


16時50分、再び山中に引き込まれていきます。

奥に進むと長福山へ登る駐車場がありました。
林業も行われていて、伐採した木を運ぶキャタビラーが置いてありました。
その脇を登りつめると、長福山へ登る分岐となります。

足元はドロドロだし、アブが凄かったです。
僕は手の甲にガッツリ喰いつかれ、Tさんも全身に攻撃を受けていました。


Тさん遅れています。
頑張れTさん!


木々に囲まれた長福山山頂。
ここに来るまで、いくつものニセピークを越えます。
あそこか?あそこか?と思わせておいてまたその奥、その奥と7~8回騙されました。

とにかくやっと着いた感じです。

Tさんもだいぶ遅れて到着です。

『この先日没は確実です。ヘッドライトを用意しておきましょう』
Tさんは置かれている現状がよく理解出来ていない表情をしていました。
もしかして地獄に行きかけてる?

そこからは再び森に入っていきますが、もうのんびりもしていられません。
少し引っ張るようにスピード上げます。


薄暗くなったところでお寺の階段が出てきました。
なかなか長い階段で、これを降りている途中で日没を迎えました。


もう真っ暗です。
Tさんは必死のようですが、なんか様子が変です。

僕『大丈夫?
T『なんか目が見えなくなってきて』
僕『それ熱中症じゃないの?』
T『いやいや、違うと思います』
僕『水は?』
T『これしかないから』と言って見せてくれたボトルには指2本分しか残っていませんでした。

どうやら昨日のイメージで用意したらしく、ギリギリの量でした。
さらに500ml1本車に置いてきたらしく、水をあまり飲んでいない状態でした。
それに気がついていたら山には入らなかったと思います。

Tさんは脱水から来る熱中症だと思います。


普段なら水をあげたりもらったりは山では絶対的にタブーです。なのでギリギリまで我慢していたのでしょう。
さすがに『よく目が見えない』と言う危険な状態なので、僕の口をつけていないスポーツドリンクを半分あげました。

これで回復するといいなぁ。

ついに『地獄を見ました』と、Tさんは言いました。
それは良かった。希望通り地獄を見れて。
願いがかないましたね。

そういう僕もここのところ毎回「地獄行きバスの運転手」みたいになっています。
僕だってつらいのですよ。


19時、C32ポイントを通過しました。
ここで一旦区切りを付けることにしました。
ここから「上小川駅」までさらに歩きます。
時間的にもまたもやギリギリです。

途中にコンビニがあるので、ドリンクとアイスを買いました。
Tさんの胃というか身体全体に染み込んだこと間違いなしですね。

Tさんの思考回路はすでに麻痺していて、訳の分からない勘違いをしていました。
どうやら本当に地獄を見たようです。

その様子を知ったE君(ゼロ富士達成のときのバディ)は『変態同盟にようこそ。これでTさんも立派な構成員ですね』とたいそう喜んでいました。
うちの女房はTさんに『(地獄から)帰ってこーい!』と言ってました。

Tさん、このたびは「地獄への旅」にご参加下さいまして、ありがとうございました。
またのご利用をお待ちしております。


歩行距離 19.1km
累計標高差 +1,582m -1,737m
所要時間 12時間15分
59,000歩



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茨城県北ロングトレイル C1~C24(1日目)

2022年09月02日 | Weblog
スキー仲間のTさんが言いました『地獄を見てみたい』と。
えっ?地獄とは?
つまり自分の限界に挑戦したいということです。

山に登り始めてまだわずかなのに良い根性だ。
ならば縦走に挑戦してみたらいいんじゃないかな。

いろいろ悩んでみたところ僕も行ってみたかった「茨城のジャンダルム」ここは「茨城県北ロングトレイル」のコースになっています。
せっかくだからここを通過するトレイルを歩いてみることにしました。


宮川コミュニティセンターの裏手は広い駐車場になっています。

夜中に着くと分かりにくいですが、ここはトレイルの公認駐車場になっています。


ほらね。


Tさんは前回僕がプレゼントした中古のキャップを被って来てくれました。

この出で立ちを見ればお分かりでしょうが、雨です。
まあ分かっていた事です。


一日目。
赤線のところを歩きます。
「月待の滝」登山口より取り付きます。ここがC1ポイントになります。

県北ロングトレイルはまだ全線開通していませんが、C77ポイントまでの区間が歩けるようです。
さて、どのような道なのかな?


取り付き点にはカウンターがありました。
見ると数百人がカウントしています。
まだまだこれからですが、期待できそうです。

それにしてもいきなり急登だなぁ。


トレイルにはみちのく潮風トレイルと同じように「トレイルテープ」が結んであります。
黄色くて鮮やかです。ですが、古くなってくると白っぽく変色していまい、周りの景色と同化してしまい分かりにくいです。
特に天気が悪いと気が付きにくいです。


写真が斜めなわけではありません。
こういう角度なのです。
だいたいの登りが25度前後の角度を保ち、小ピークを過ぎるとすぐに下降させられます。

結論から言うと、ずっとこうでした。


標柱が立てられていました。
ずいぶん登ったつもりでしたが、やっとC2です。
この先大丈夫かなぁ。


Tさんの姿勢を見ると傾斜がキツいことが分かりますね。

この山域には「緩やかに登っていく」なんてのんびりした道は一切ないようです。


うーん、いいですねぇ。
上半身をフォールラインに向けたまま、きっちりとテレマーク姿勢とってます。
それに、笑ってやがる。


木々と霧に煙ったはざまは「地獄への落とし穴」です。つまりその先は断崖絶壁。
今日はこんな天気なのでその高度感は分からないですね。


キミたちの家を壊しながら進むのはちょいと気が引けますが、こちらにも都合というものがありましてね。
申し訳ないのですが、これは災害です。いや、人害か。


ロープが出てきました。
Tさん余裕です。


おっ?
「生瀬富士」ここが茨城のジャンダルムと呼ばれるところです。
この山域は何度も来てるけど、ここは初めて来ました。


へ〜、こうなってるのですね?


両サイドが切れ落ちた形状といい、先端にある 盛り上がった部分といい、確かにジャンダルムの模型のような感じです。


北アルプスのジャンダルムにある天使とそっくりな天使が居ました。
茨城のジャンダルムいいじゃないですか。


先端からの眺望です。
ちょうどこの時は霧も晴れてくれました。


相変わらず厳しい道のりです。
時間ばかりがかかって、なかなか進むことができません。

ここは初めて来るピークだなぁ。


おお見えてきたぞ。
袋田の滝上部です。
この姿が見れるのはここに立った者だけです。
水量は少なめでした。


袋田の滝は上をかすめて行くだけです。
まだまだ終わりは来ないのです。
「生瀬の滝上部」に着きました。
生瀬の滝は袋田の滝のさらに上部にあります。

水量が多いと渡渉できません。
その時は大きく迂回しなければなりません。


ようやくC20です。
時刻はすでに16時を回りました。


分かりにくいかもしれませんが「第二展望台」です。
トレイルマップにはコースタイムが載っていますが、実際このタイムで歩き続けるのは困難でした。


鍋転山を経て、


「第一展望台」を越え、


やっと「月居山」に到着しました。
時刻は17時です。

Tさんは『いや〜地獄ですよ。そう言ってもらいたいでしょ?』とまだまだ地獄に堕ちきっていないようです。


この階段地獄を降りると袋田の滝下部に着きます。ここを登る観光客もいますが、知らずに登るとそれこそ天国まで行きそうなくらい果てしなく感じると思います。

お暇な方は是非お越しいただきたいです。
そしてコロナ渦のストレスを発散しましょう。
タオル、飲み物、根性を持って行くといいです。
お手軽に地獄の入口ぐらいは見ることができるかもしれません、


やっと袋田の滝の吊り橋に到着しました。
無理に笑顔で写真に写るTさん。
山から降りたので終わったような気分だと思うんですが、ここから袋田駅まで歩くしかないんです。


誰もいなくなった売店を抜けていきます。
そして道路に出たらそこから約40分歩くのです。

昔、山田と男体山から袋田まで縦走した時と同じ天気でした。山田はこの時のことをはっきり覚えていて『ものすごく遠かった』と言っています。

Tさんの足が遅くなってきました。

水郡線って1時間に1本しかないので、乗り遅れると辛いですからね。
けっこうギリギリです。


袋田駅到着です。
完全に夜になりました。

でも、忘れないで。
ここに車は無いですよ。
ここから電車に乗って2つ目の駅で降りてから歩くんです。そこにマイカーが待ってるのです。

あ、電車来ました。
乗ります。
『次は〜終点常陸太田〜』
えっ?終点?
結局そこで降りるしかなく、ホームで1時間待つしことになります。

常陸太田の駅は比較的栄えていて、タクシーが控えていそうです。
よし、出てみよう。

1台だけ停まっていました。
よっしゃラッキー、これで駐車場まで戻れば温泉にも間に合うかもしれないです。
まさかこの状態で風呂なしは辛いですから。

Tさんも憔悴している様子です。
地獄に行ったのか⋯

20時、やっとマイカーに到着しました。
電車を待っていたら22時にはなったでしょう。
タクシー代2,000円(実際には1,830円ぐらいでしたが、お釣りはチップということで)は価値が高かったです。
タクシーの運転手さん『これでお客さん来なかったら帰ろうと思ってた』と言っていました。

タクシーのおかげで地獄に行きそこねた僕らは、一日の疲れを温泉で癒すことに成功しました。

その後23時までかかって明日の計画の見直しをしました。今日のペースでは明日こそ本当に地獄に堕ちてしまうから。

Tさんに明日の計画を伝え、眠りに着くことにしました。
宮川コミュニティセンターは静かで安眠できました。


二日目に続きます。

歩行距離 20.6km
累計標高差 +1,899m -1,958m
所要時間11時間40分
57,000歩


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