原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

池袋モンパルナス

2008年03月29日 | 芸術
 一昨日の3月27日、“池袋モンパルナス”の発祥の地である東京都豊島区西池袋に、満開の桜のごとく華々しくひとつの素敵なギャラリーがオープンした。

 そのギャラリーの名は「B-gallery」。
 「B-gallery] については、後ほどその詳細を読者の皆様にご紹介するとして、まずは“池袋モンパルナス”の話から始めよう。


 “池袋モンパルナス”とは、昭和の初めから戦争頃まで、東京都豊島区西池袋周辺に画家、音楽家など様々な芸術家が集い、いくつものアトリエ村が誕生した現象のことをさす。その時代、世界の芸術の中心であったパリ、モンパルナス地区の名にあやかってその名が付けられたという。
 その頃、池袋周辺には美術を志す人たちのために多くのアトリエが立ち並び、「村」を形成した。それぞれ、「すずめヶ丘」「桜ヶ丘パルテノン」等と呼ばれていて、「桜ヶ丘パルテノン」は多い時で70軒ものアトリエがあったそうだ。
 まだ名もない画家や彫刻家、音楽家等様々な芸術家が住みつき夜な夜な池袋駅周辺の飲み屋に繰り出し、街には芸術と猥雑の入り混じった不思議な活気が漂っていたらしい。
 この池袋は、パリに憧れ西洋美術の影響を敏感に受け止める、当時の日本、いや世界でも稀な芸術の前衛の街であったという。
 “池袋モンパルナス”の名を流行らせた詩人で画家の小熊秀雄は次のように詠った。

       池袋モンパルナスに夜が来た
       学生、無頼漢、芸術家が街に出る
       彼女のために神経を使へ
       あまり太くもなく、細くもない
       ありあわせの神経を -

 そんな“池袋モンパルナス”ではあるが、時代の変遷で多くの芸術家が戦争のため召集され芸術運動としては終末を迎えることとなる。軍国主義の政治環境の中で、この“池袋モンパルナス”が、退廃的、不健全と評価されたことが影響している。

 時代が巡り巡った現在、この“池袋モンパルナス”にも新風が吹いている。周辺に住む様々な芸術家達が、様々な新しい試みを展開している。


 さて、話を「B-gallery」オープンに戻そう。
 「B-gallery」のオーナーは美術家の長はるこ先生でいらっしゃる。
 長はるこ先生は造形・絵画教室の主宰者でもいらっしゃり、私事で恐縮だが、我が子がその教室で小さい頃よりお世話になっている関係で、私のブログの常連として頻繁にコメントを頂戴している方である。
 私のブログの読者の方から、美術家の長はるこ先生とはどのような方なのか、とのお問い合わせをいただいていることもあり、今回本記事でのご紹介と相成った訳である。

 長はるこ先生は「B-cushionシリーズ」という独自に紡ぎ出された版画の分野で朝日新聞にも作品を3か月間連載され、現在世界的にご活躍の美術家でいらっしゃるのだが、詳細については後述する連絡先で再確認いただくことにしよう。


 それでは、「B-gallery」オープンの詳細をお伝えしよう。

   長はるこ展
   B-cushion 10年の軌跡
   2008年3月27日~6月1日(日) 14時~18時、月曜定休   

    〒171-0021  東京都豊島区西池袋2-31-6
                 (自由学園 明日館 西隣)
    TEL&FAX  03-3989-8608
    E-mail    baru@beige.ocn.ne.jp
    URL    http://www.harukocho.com./b.html 

   なお、4月5日までの自由学園見学会の期間中は21時まで開廊
    (歴史的建造物である重要文化財自由学園での桜見学会において、
     桜バウンドケーキ、桜クッキー、チェリービールも楽しめます。)
                        

 美術家長はるこ先生のブログへは、本ブログの book mark (左下)の“B-cushion”から入れます。   
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