原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

今年も煌びやかに美しく!

2011年01月01日 | 芸術
 (写真は、昨日まで横浜美術館に於いて開催された 「ドガ展」 のチケット半券とドガ作「踊りの稽古場にて」の絵葉書)


 皆様、明けましておめでとうございます。
 東京の元旦は寒過ぎもせず柔らかく晴れ渡った穏やかな日和です。
 本年も旧年同様「原左都子エッセイ集」を何卒よろしくお願い申し上げます。

 さて、例年年末年始は帰省ラッシュ等の混雑を回避するため大抵自宅でのんびりと過ごす我が家なのだが、大晦日の夜は歌好きでもある私は“一応”NHKの紅白歌合戦を娘と共に観るのが恒例となっている。
 昨夜の紅白は全体的な印象として“地味”だったと思うのだが、皆さん如何だろうか?
 そんな中、原左都子と同年齢の2人の男性歌手の“老け様”が我が身に照らして多少気掛かりだった。

 その一人は、桑田佳祐氏である。
 昨夏食道癌を患い回復した後今回の「紅白」を復帰の舞台とした桑田氏であるが、さすがに“病み上がり”直後を物語るかのようにやつれた風貌、そして桑田氏にしてのハチャメチャな勢いの無さが多少痛々しくもあった。

 もう一人は、郷ひろみ氏である。
 実は郷ひろみ氏と原左都子は誕生日が1日違いのまさに同時代を生きているバリバリ“タメ年”であるため、(失礼ながら)氏が売れなくなった頃からの身の振り方に興味を持ち続けている私である。 40代後半頃まではそこそこ活躍していた郷氏であるが、さすがに50歳を過ぎてからはメディアで見ることがなくなっていた。 そして久々に昨夜の紅白で登場した郷氏は “55! go! go!” と打って出たのだ! ところが、そのタイトルの勢いとは裏腹にどうしても顔の皺が目立つ…。  スレンダー体型を維持し続けている郷氏であるが故に尚更、大写しになった時の顔の“老け様”が対比的にマイナスイメージでクローズアップされてしまうのだ。 女性の場合、化粧等で相当顔の皺をカバーできると思うのだが、それは私が自己保身感覚で勘違いしているに過ぎず、実はあの身体と顔の“老け様”のアンバランスを私も郷氏同様に日々世間に晒しているだけの話なのか??と、再認識させられる思いだったのだ。 
 まあそれにしても確かに今年の郷氏のテーマ通り、この原左都子だって今年は“55! go! go!”年代なのである! 顔の皺などスレンダーボディでぶっ飛ばして、今年も55パワーで頑張ろうじゃないか!?!  


 この辺で、やっと表題と写真のテーマに移ろう。

 昨年末の12月30日(早い話が一昨日のことであるが)、私は芸術分野の進路を目指す娘を伴って横浜美術館で開催中の「ドガ展」を鑑賞に出かけた。
 ドガと言えば、おそらく皆さん真っ先に“踊り子”の絵を思い浮かべられることであろう。  まさに我々も同様である。 ドガが好んで描いた“踊り子”の絵の多くはパリオペラ座バレエの“踊り子”達を観察連想して描いたとされているのだが、我が子が小さい頃に指南してもらったバレエもパリオペラ座系統のバレエだったのだ。(その後、英国ロイヤルバレエ系統に鞍替えしたが。) それ故に、ドガ関連の展覧会には娘幼少の頃より何度か通い“踊り子”の絵を観賞して来ている我が家なのだ。

 今回の横浜美術館の「ドガ展」の一番の特徴は本邦初公開となるドガ作「エトワール」展示を目玉としたことにある。
 それに加えて、フランスパリのオルセー美術館所蔵ドガの名品45点と共に、国内外からドガのコレクションから選りすぐった作品を収集し、画家ドガの初期から83歳晩年に至るまでの幅広い活躍を総合的に展示した貴重な展覧会だったのだ。 

 私事で恐縮だが、我が娘が通う高校の修学旅行で娘は2月中旬にフランスに出かける予定となっている。
 その娘が当地における自由行動で美術館観賞を選択しているのであるが、“オルセー美術館”もその一つとして列挙しているのである。 それに先立ち、横浜美術館で“オルセー”所蔵のドガの作品の数々を鑑賞できるのはまたとはない“予習”のチャンスであると喜んだ我が娘なのだ。
 それにしても、一昨日横浜で見た作品が2月中旬には現地パリで再観賞できるごとくに、今現在は“名画”の保存、運輸技術における目覚ましい技術革新がなされていることを実感させられる思いである。


 ドガの魅力は決して“踊り子”のみではないことに私も気付かせてもらった今回の「ドガ展」鑑賞である。

 展覧会の入口直ぐのドガの若かりし頃(21歳時点)の「自画像」には、何とも心もとない表情のまるで少年のようなドガが描かれているのだ。 これにまずは母性本能をくすぐられるかのごとくに感情移入させられる。

 ドガの古典期を経て、“踊り子”を好んで描いた革新の時代へ入る。
 ここで上記写真のチケット半券にも使われている「エトワール」について原左都子の感想を述べよう。
 この絵を何らかのメディアでご覧になった方は多いであろう。 私も何度か本物ではないこの絵に接した事はあった。
 ところが、本物が放っているオーラが実に素晴らしいのだ! よもや横浜美術館は照明による光のバランスでこの絵を演出しているのだろうか? と疑ってしまう程に「エトワール」は微妙に光り煌くべく色彩構成がなされているのである。 これには美術素人である私も驚いた。さすが名画たる所以であろう。


 以下は、横浜美術館がネット上で公開している「ドガ展」のシナリオを少し紹介しよう。
 冷静さと機知をあわせ持ち、客観的な視点で近代都市パリの情景を描き残したエドガー・ドガ(1834-1917)。
ドガは、印象派展に第1回から出品し、そのグループの中心的な存在でした。しかし、屋外で光と色彩に満ちた風景画を描いた多くの印象派の画家たちとは異なり、主にアトリエの中で制作し、踊り子や馬の一瞬の動きや都市の人工的な光をテーマとして、知的で詩情あふれる世界を築きました。油彩の他、パステル、版画、彫刻など様々な技法を研究し新しい表現を試みると同時に、日本美術や写真など、当時紹介されたばかりの美術の要素を取り入れ、近代絵画の可能性を大きく切り開いた画家といえるでしょう。


 ドガ作「エトワール」のごとくに、今年も煌びやかに美しくありたいものですね!
 
 まあそれにしても年齢を重ねたならそれなりの煌びやかさ美しさがある訳ですから、原左都子も皺になどめげず、今年も “55! go! go!” と打って出ましょうかね!! 
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