原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

お盆休み最後の日に「秘境大歩危・西祖谷タクシーの旅」を振り返ろう。

2020年08月16日 | 旅行・グルメ
 (冒頭写真は、2013年8月に娘と二人で訪れた西祖谷のかずら橋。
  このかずら橋は、重さ約5トンのシラクチカズラで作られている。  長さ45m、幅2m、水面上14メートル。 昔は深山渓谷地帯の唯一の交通手段として活躍していたが、現在では観光専用。 3年毎に架替工事が実施される。)



 本日の「原左都子エッセイ集」編集画面トップ50に、2013年8月に娘と共に旅をした表題のエッセイ2本がランクインしていた。

 早いものであれから7年の年月が流れているが、今読み返すと実に懐かしい。 (特にコロナ禍の現実下に於いて、本日このバックナンバーを発見出来たのはラッキーだ。 せめてもお盆最終日にこのエッセイを読み返すことにより、旅行を堪能したことにしよう。)😅 


 早速、これら2本の旅行記の一部を以下に振り返らせて頂こう。

  
 出発前にどのような交通手段でこの秘境を巡るかに関して、2案の候補を検討した。
 その一つが「タクシーツアー」である。
 こちらに関しては、前回郷里を訪れた際にその情報パンフレットを入手していた。
 航空便にて徳島到着後、上記パンフレット内に記載されている販売指定場所のJRターミナル駅“みどりの窓口”で上記タクシーチケットを入手しようとしたところ。 係員氏がおっしゃるには「このタクシーチケットを取り扱うのは初めてです。」との事だ。😲   かなり驚かされたものの、係員氏はパソコン画面をいじくりつつ何とか発券してくれた。  
 (このタクシー券、ほんとに現地で使えるのかなあ…)なる不安感を煽られつつも「これを大歩危駅でタクシー運転手に見せたらいいのですね?」と尋ねる私に、駅員氏は我が不安感の上塗りをする…  「もしかしたら、タクシー運転手自身が『タクシーツアー』の存在を知らない恐れもありますので、その際はお客様から手持ちのパンフレットを見せて説明して下さい。」
 地方の田舎って、そうだからこそ旅の醍醐味だよなあ。😖 
 などと善意に解釈しつつ、徳島到着の次の日に我々親子はJR線を利用して西祖谷の旅へと向かった。 
 徳島駅からJR鈍行便を利用して大歩危駅に到着したのがちょうど昼過ぎ。 
 予想以上に大歩危の地とは何もない田舎だったのと平行して、元々ネットで調査済みだった「蕎麦屋」を訪ねようとしたところ、その姿すらない…
 無人駅である大歩危駅の窓の掃除をしていた女性に、私は尋ねた。
 「この辺に、昼の食事ができる処はありますか?」 そうしたところ返ってきた答えに驚いた。 「手前味噌ですが、私が経営している店舗で立食をしているのでよろしければ訪問下さい。すぐそこです。」  その親切な言葉につられて行ったのが、下の写真の立食処である。

         

            
 これが感激なのだ!
 何処から来たかも知れぬ我が親子に、従業員の皆さんが懇切丁寧に対応して下さる。 そもそも立食処であるにもかかわらず我々二人に軽椅子を提供して、我々が見ている直前で“一食わずか350円也!”の「祖谷そば」を作って下さるのだ! しかもお茶は無料との事で、祖谷で取れ立てのお茶を臼で引いて何倍もお替りを勧めて下さる。
 極めつけは、目の前で作られた「祖谷そば」の何とも美味だったこと…  その味の感想を述べるならば、徳島出身の私ならではの特異性を承知の上で、我が母が過去に作ってくれた「うどん」の風味と共通項があり、薄味でまろやかだったことが実に印象深い… 
 何はともあれ、大歩危駅到着直後に今回の我が旅行のプランにはない想定外の駅前地元の人々の人情に触れる事が叶った我々母娘の西祖谷方面旅行談は、次回に続きます。


 JR土讃線大歩危駅に到着後、お昼ご飯(祖谷そば)を駅前直ぐの立食処で地元のご婦人達の手厚い接待の元に済ませた我々親子は、いよいよ「タクシーツアー」開始と相成る。
 前回のエッセイでは、大歩危・祖谷観光の一環を担っている「タクシーツアー」の存在自体を認識していない、JR徳島県内主要駅での駅員氏の対応に不安感を抱いた事を綴った。  ところがやはり、こと観光の詳細に関しては地元の方が格段に詳しいのは自明の理であろう。
 大歩危駅前に停車していた小型タクシーの運転手氏にタクシーツアーチケットを差し出したところ、「承知致しました!」の快諾である。 しかも運転手氏がおっしゃるには、「外国人の方々もよく利用されています。」との事だ。 お陰で大船に乗った気分で、娘と共に2時間のタクシーツアーに出発する事が叶った。
 ここで参考だが、我々が利用した「祖谷のかずら橋と祖谷渓谷コース」のタクシーツアーの費用は、¥5,600-也 。 (これに対し団体のボンネットバスツアーは1名に付き¥5,200-也。 5時間の旅程で昼食も付いていて観光目的地もタクシーツアーよりも数多い。)  ただあくまでも原左都子の感想に過ぎないが、クーラーのないバスで5時間団体行動で引っ張り回され疲れ果てるよりも、2時間のコンパクトに凝縮されたタクシーツアーを利用して、後は個人行動をする方が経済面でも心身面でも有意義な旅行が可能との気がした。
 更なる参考のため、大歩危駅から祖谷のかずら橋までの片道タクシー運賃が¥3,100-也 であることに鑑みて、今回のタクシーツアーが激安である事を認識いただけるであろう。 しかも4名まで乗車可能との事も参考として公開しておこう。
 さて、今回の小型タクシーの運転手氏が何とも要領を得た、観光地に関する知識も豊富な素晴らしい案内人でおられたのだ。
 タクシーツアーとは密室であるが故に、この条件を外すと至って窮屈な旅となろう。 ところが我々親子は何ともラッキーとしか表現できない程に、運転手氏に恵まれた。
 まず運転手氏が誘(いざな)ってくれたのが、祖谷渓谷である。
 30年ぶり(娘は初めて)に見るその絶景に唸っていたところ、運転手氏がおっしゃるには「私にはこの風景が中国の山岳地帯と交錯します。」 私は中国を訪れた事は未だ無いのだが、日本にもこのような絶景を観光できる地が我が郷里に大自然の形で残されていることに今更ながら感動である。
 その後、祖谷渓谷「小便小僧像」を訪れるに当たり、運転手氏が面白い談話をして下さった。 何でもジャニーズ事務所“嵐”の一員が民放テレビ番組収録のため、つい先だって秘境祖谷に訪れた時の渓谷の車の混雑ぶりは尋常ではなかったとのことだ。 (くだらない番組制作のために秘境の大自然を破壊するなよ!)と憤ると同時に、(過疎地に住み日々変化に乏しい人々の一時のサプライズも考慮するべきか…)なる複雑な感覚を抱かされる運転手氏の談話だった。
 そしていよいよ、祖谷のかずら橋を渡る時が到来した。
 ここではタクシー運転手氏には待ち合わせ場所に待機していただき、我々の単独行動となる。 
 この橋の特徴とは、上記写真には撮影されていないが足元の板の間隔が大きいことにある。 上記写真をご覧下されば分かるが、大の男の大人でも手すりをしっかりと握って慎重に渡らねば、足を板の間に落とし込む危険性があるのだ!
 タクシーの運転手氏も忠告しておられた。 「この橋から落ちた人はいません。 ただ、足を太股まで落とし込んで多少の怪我をした人はいますし、靴やサンダルの片方や、ポケットや鞄の中身の財布等の持ち物を落下させた人は大勢いますのでお気をつけて。」😵 
 私自身は30年程前の若気の至りの頃、この橋をハイヒールにひらひらロングスカートのいでたちで渡った経験がある。  それはそれは恐怖感を煽られたものだ。 今回はその時の反省から娘にも運動靴を勧め、親子共に十分な安全対策を練っての再挑戦である。 そうしたところ大した恐怖心を抱く事も無く難なく橋渡りを終了した。 
 祖谷のかずら橋を渡り終えると、我々の「タクシーツアー」も終盤を迎える。 
 その後、タクシー運転手氏に「ラピス大歩危」と称する“道の駅”複合施設に停車していただいた後に、我々の大歩危観光も個人旅に入る。

          
          「ラピス大歩危」にて買い求めた原石イヤリング3点。


 この前に、大歩危渓谷を舟で下るアトラクションにも参加した。
 (残念ながら旧パソコンを壊滅的に故障させてしまい、当時の写真類を一切合切失っている。 上記写真3枚は辛うじてgoo編集画面に残っていたものだ。)😨 


 いやいや、面白いなあ。
 我が出身県最大のターミナル駅である徳島駅でのタクシーチケット発券対応時の係員の様子が、今読み直しても“笑える”。😆 
 お陰で、味わいある旅行記になっているではないか。

 何だか我が出身県を上京以来ずっと“邪険”にしつつ、現在まで大都会で生き抜いている私だが。

 本日、この「秘境大歩危・西祖谷タクシーの旅」を読み直してみて。
 “コロナ禍”が過ぎ去ったら、またこの郷里を訪れてみたい気分になったぞ!