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憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

中露ネット記事の酷さ例示  文科系

2023年06月05日 02時48分49秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ヤフーニュースを見ていると、ちょっと世界史に通じた人とか、ウィキペディアなどで調べ慣れた人ならばおかしいことだらけ。例を挙げてみよう。

『中国軍艦 台湾海峡で米軍艦に接近』
 アメリカでさえ「一つの中国」原則を歴史的に認めてきたというのは、世界周知の話。そして、国連代表権は大陸にあって、台湾はその一地方の実効支配地にすぎないと言う国連合意も同じもの。その間を中国海軍が通るのは当たり前。アメリカが通るのが今なら許可が要る程だろう。これがこの問題のここまでの外交原則である。

『露 ワグネル撤退で戦略の幅縮小か』
 ワグネルは、去年春から一年の激戦の末、この5月にバフムートを占領したから、ここを正規軍に受け渡して後景に退いた。ウィキペディアによれば、重要鉄道も高速道路も通っている交通の要をコンクリートで固めて戦車なども駐屯できる東部の要塞基地。だからこそ、1年もここで激戦が続いた。4月から「5月反転攻勢」をウクライナが連呼してきたのは、ここが奪われそうになっての戦意高揚策だったのではないかと思っていた。かなり前にバフムート司令官の撤退要請に対してゼレンスキーが許さず、死守せよと命じたというニュースも流れたことだし。
 1年続いた重要拠点要塞の激戦が決着付けば、そしてあらたな戦車基地としてロ側がここから出撃ができるようになったのなら、戦略が落ち着くのは当たり前である。
 むしろ、もう1か月以上叫び続けているウクライナ側の「反転攻勢」はいつ始まるのか? と観ていたらゼレンスキーがこんなことを言い出した。
『ゼレンスキー氏は本格的な大規模反攻の着手について、「準備はできている」と語った。一方で、現在の装備で反転攻勢に出ることになれば、「多くの兵士が死ぬだろう」と述べた』(読売新聞)」
 4月から言い続けた「反転攻勢」は「装備も足りない単なる願望」と認めたことになる。戦争で願望を事実のように書くのは「大本営発表」である。そもそも「反転」とは、旧日本軍の「転進」と同じで負けていることを示す言葉じゃないのか。2か月もこう叫んでいるのは、2か月も負けっぱなし?

 ロシアの開戦がいかに酷いからといって、何でも書いてやれということにはならない。ウクライナのG7サイド記事はこうして、ほとんどガセ? 
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 ドル落日、また一沈・・・・   文科系

2023年06月02日 00時58分56秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 31日、以下のニュースがANNから流れた。

『ドルに対抗” 南米サミット 地域共通通貨を議論 5/31(水) 14:33配信 ABEMA TIMES 

 ブラジルで南米各国の首脳が集まるサミットが始まり、アメリカドル支配に対抗するため、地域共通通貨の創設が議論されます。
 議長国ブラジルのルラ大統領は30日、「貿易に利用する南米の共通通貨を創設に向けて議論を進めたい」と提案しました。
 共通通貨を導入したい背景には慢性的なドル不足があり、ブラジル政府はアルゼンチンとは既に議論を深めているほか、今年から中国とはドルへ両替することなく、レアルと人民元での直接取引を始めています。
 ルラ大統領はG7広島サミットで、ドル支配の現状に疑問を投げかけ、アメリカのウクライナ支援を批判するなど、中国シフトを鮮明化しています。
 南米では左派寄りの政権が相次いで誕生していて、アメリカ一強の構図が変わりつつあり、グローバルサウスの動向に注目が集まります。(ANNニュース)』


 米世界支配の最大根拠「ドル世界通貨体制」がアメリカのお膝元において崩れていく光景と言えよう。これから先、BRICS圏がドル取引と米国債を減らすなどの度合いにも応じて、ドルはゆっくりと本当の「実勢価格」に落ちていくのだろうか。国家累積赤字が日本よりも遙かに酷く、物貿易赤字も大きいこの国なのだから。と言うよりもむしろ、世界通貨ドルに暗雲が見え始めたからこそ、イラク戦争も起こったのだし、「新自由主義経済国・アメリカが保護貿易主義を暴力的に強行し始めた」のではなかったか。サウジがイランと結んだことによって、ドル貿易体制を支えてきた世界の石油取引もさらにアメリカの言うままにはならなくなるだろうし。ちなみに石油埋蔵量の多い国として、サウジは2位、イランが4位、そして南米サミットのベネズエラが1位である(この順位は、2012年のグローバル・ノートから)。

 こういう流れの中で今アメリカが励んでいることこそ、G8から追い出した国家、エネルギー資源国ロシアを潰すか、革命を起こさせることのようである。ウクライナへの兵器提供はアメリカの代理戦争という色彩をますます強めている。


 以下は、今朝の新聞による追加です。
 昨日1日、RBRICSの外相会議がケープタウンで始まった。この5国は世界人口の4割を占め、なお多くの国が加盟を求めている。アルゼンチン、イラン、サウジなど13カ国が公式に加盟申請をし、さらに6カ国から非公式要求があるという。イラク戦争有志参戦などアメリカが主導してきたG7はもはや力だけの組織として影響力をなくしていくはずだ。それとともに、世界がG20や国連をもっと尊重していくようになるだろう。
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見えてきた、米覇権の揺らぎ  文科系

2023年05月29日 09時22分16秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 いろんな兆候で、標記のことを感じている。なによりもまず、凄まじい米国家累積赤字。15年に元国家会計検査院長、デイブ・ウォーカーが「正式発表の三倍」とすっぱ抜いたこともあったが、これは今さらに深刻になっているはずだ。米GDPの4倍は超えようが、日本の赤字がGDPの2.5倍程だから、その大きさが分かろうというもの。アフガン、イラクなどの膨大な戦費などが積み重なったもので、今これがさらに、米債務上限問題やドル威信低下で国家を揺らしている真っ最中である。現在は、ウクライナ戦争、経済・軍事ブロック化による世界通貨ドルの揺らぎによって、もっと促進されているはずなのだ。

 次いでG7の威信低下。すでに普通のマスコミにさえ「G7は時代遅れ」と表現され始めた。元々旧帝国主義白人国家に日本が加わっただけの組織に過ぎないのだが、対中国では仏独が独自言動を取り始め、ウクライナ戦争への態度でもきしみが現れている。ウクライナを対中国問題と結びつけようとする日米の動きに抵抗が始まっている。その抵抗がG7よりもずっと強くG20諸国から起こっていることが、今はとても重要と観る。

 広島サミットに呼ばれ「懐柔工作」を拒否したに等しいブラジル、インドネシアはもちろん、対米独歩を続けて来たトルコやインド、労働党政権になったオーストラリア、急な離米が始まったサウジ。これら全部がG20国なのであり、米との距離を大きく取り始めている。つまり、今注目のグローバルサウスがほとんどそうなのであって、一種の離米雪崩現象と言えなくもない。

 アメリカは、台湾問題での「対中戦争」などもう起こせないだろう。台中間には、ウクライナのような国境をめぐる積年の戦争状態などは存在しないし、米ドルの威信はますます下がっていくのだから。これに熱心なのはもう日英政府ぐらいのものというのは、何かどう言うか世界の珍現象になっていくのではないか。


 米中覇権問題で強硬論を説くロバート・ケーガンの対中外交論はもう駄目で、ポール・ケネディの論が実践されていくことを心から望むものである。
 ケーガンはこう述べた。
『国際的秩序は進化の産物ではなく、強制されるものである。一国のビジョンが他国のビジョンとの葛藤においての勝利に起因する。・・・現在の秩序は、それを是とし、その恩恵を蒙っている人たちが、それをとことんまで防衛する意思及び軍事能力があってのみ、存続できる』

 対して、「大国の興亡」のケネディは遠慮がちにやんわりと、こう述べる。
『西洋からアジアへの、権力の地殻の変動のような移行は逆行させにくい。しかし、米国議会およびホワイトハウスがもし合理的な政策を取れば、このような歴史的な転換期の浮き沈みの度合い、暴力の度合い、不愉快さの度合いをかなり軽減できる。私のような「斜陽主義説の輩」にとっても、まあ慰めになると思う』




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偏向したウクライナ報道  文科系

2023年05月27日 06時11分45秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ウクライナ報道が急に少なくなったと思われないだろうか。明らかに理由のあることなのだと確信している。ウクライナが敗戦へと大きく傾いたからだ。そして、これまでウクライナ勝利に「偏向して」、「(米流)大本営発表」記事しか書いてこなかったからでもある。それが書けなくなってきたから、戦況記事が減った。

 こう観る理由はこんなものだ。
 大々的に喧伝されてきた「5月反転攻勢」に戦意高揚のための嘘があると観ていたが、事実嘘であったと証明されたのである。反転攻勢の最大焦点、決戦の地がバフムートであるとは、ウクライナ大統領自身が執着・声明してきたところであって、そこでウクライナが負けた。現地の撤退希望に対してゼレンスキーが「死守せよ」と命じたその土地を戦略的拠点とした「5月反転攻勢」に敗れた。ここを平定したロシアは、ワグネルが既に後方に退いて正規軍に入れ替わって、地雷の除去まで始めたのである。
 ちなみにバムフートはドンパスの交通要害。NATOの支援で全都市がコンクリート要塞化された武器・弾薬・ミサイル・戦車などの備蓄基地であり、地雷原、対戦車障害物などで堅固に守られている。

 偏向しない書き方もあるはずだ。双方の命を助けるために早く終わらせるとか、そのための事実を掻き集める客観的報道とかの視点もあるのではないか。ちなみに、元々ロシア人在住が8割とかの地域、「国土」よりも、ウクライナにとってさえ国民の命の方が遙かに大事なはずだし、「支配者が悪いロシア人はどんどん死ね」ともならぬはずだ。若者がどんどん死んでしまっては、国民の生活再建も難しくなっていくばかりだろう。ロシアがいかに悪いにせよ、一刻も早く停戦協定に入って欲しい。
 この点に関しては、明らかにアメリカは妨害者、これが主導する西欧よりもブラジル、トルコ、中国らの方に今はずっと大きく期待できそうだ。ただしドイツは、西欧にあるドイツ製戦車をウクライナに渡す最終許可をまだ出していない。中国貿易も含めて、独仏がアメリカとは一定の距離を置いているのは希望が見えることである。こんなニュースも今の日本にこそ必要なものなのではないか。下手をすると日中場面における日本が、ウ・ロ戦争のウクライナにされる可能性も大きいと見てきたからである。斜陽アメリカを止めるためなら何でもやると、アフガン、イラク、ウクライナで示されてきたとおりである。ウクライナ戦争の発端になった2014年マイダン暴力革命政変後のウクライナ政府人事。これをアメリカが決めていたとは、西欧政界では周知の事実である。


 追加部分  このエントリー掲載が6時過ぎ。今7時前現在、マイクロソフトビーイングのWeb検索画面に既に掲載・紹介されていることを確認できた。少なくともガセ記事ではないと認められたと解しておこう。僕にとっては、喜ばしいことである。

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G7はほんとに、おかしいことだらけ   文科系

2023年05月21日 17時52分17秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ほんとに、ウクライナ戦争へのG7をめぐってはおかしいことだらけだ。ウクライナへの軍事援助だけが戦争を続けさせているという事実を誰も見ていない。口は美しいが、G7はこう振る舞っているのだ。
「兵器はどんどん送るから、ロシアが音を上げるまでウクライナの若者はどんどん死んでくれ!」

 日本のマスコミも全くG7寄りで正体が見えた気がする。この戦争を懸命に仲裁しようとしているトルコは悪者、独裁者とだけに描いているし、ウクライナ支援決議で態度が「アイマイ以上」の百国近くを、中ロとの経済的利益だけで結びついているように描いてきた。アラブやグローバルサウスが、自然と以下のように考えているとは、ほんのちょっとも示して来なかったのである。

「ウクライナ戦争のロシアよりも、アフガン戦争、イラク戦争のアメリカの方が遙かに酷い。そんなアメリカが支配するG7の何が正義か? どうせ・・・・」

 そもそもこのグローバルサウスの中でもアメリカのお膝元中南米が反米左翼政権ばかりになっているのをG7諸国はどう考えるのか。南米のG20国・ブラジルはBRICS国だし、もう一つのG20国・アルゼンチンも近くここに加盟の方向だ! アメリカに物申せず、「経済的利益だけ」は、むしろG7の方じゃないのか?

 うがった見方を一つ。
「アメリカにもの申すと、クレディスイスのようなことを起こされる。あそこの最大株主はサウジアラビアだったはずだが、中国の仲裁でイランと仲直りしたサウジは、クレディの社債でどれだけ損した?」

 さらにもう一つ、何度でも言う。世界の経済・軍事ブロック化は人類史上いつも、相互が憎しみを投げかけあい、募らせあっていく体制として、世界戦争への一里塚ではなかったか。G7国唯一の非白人国家、日本が、G7を一種世界的・全人類的な組織と見せる役割を担っているだけに、その国民の1人としてことさら危惧するものである。G7って、日本を除いたら欧米圏だけで地球のほんの一部、ごく狭い白人だけの組織でしかない。 

 
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G7は、おかしい   文科系

2023年05月19日 05時41分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今日から広島でG7首脳会議が開かれ、ウクライナ戦争が大きな議題になるはずだが、G7の今はちょっとおかしくないか。そういうごく素朴な疑問を呈してみたい。

 そもそも、世界のためとか、特に世界平和に向けてはとかの問題では、国連(のような存在)、その「発展」が不可欠のはずだ。さらには、この国連を発展させうる多国間主義討論の場としては、中ロやBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)も加わったG20も存在している。
 今この二つを差し置いて、なぜこれほどG7が話題に上らねばならないのか。G7が今や、以下のように世界の緊張を高める存在になっているから、こんな疑問を持つのである。


 米中関係の今後に重大懸念がある現在の世界において、G7は米側だけの諸国で形成されている。その上で例えば、欧米の軍事組織NATOの連絡事務所なるものが近く日本にも置かれるのだそうだ。考えてみてほしい。中ロとかBRICS諸国とかの軍事組織があったとして、その連絡事務所がメキシコと言わぬまでも、ブラジル辺りに置かれたら、アメリカはどう感じ、どう反応するだろうかと。この一事を見るだけで、G7,NATOの傲岸不遜が分かる。
 さらに言えば、現在の国連は、例えばそのウクライナ戦争決議などを見ると、欧米側90、ロ中側40、中間60に別れるなどとも言われて来た。つまり、G7が国連の最重大問題において過半数国さえ握れないのである。つまり、欧米側の意見が国連で通っていかないからこそ、逆に国連軽視・G7独走が強行されているのではないのか。

 さて、G7は今やこのように、世界の軍事・経済について2ブロック(への分裂、対立)化を強力に推し進めているのである。それも、ロシアという国連常任理事国を先ず血祭りに上げ、「次には何を?」という勢いを示しつつのことだ。世界各国がそう感じるからこそ、ロシアの戦争犯罪を告発するという誰もが分かる国連ウクライナ決議において、過半数が難しかったりするのではないか。

 とこのようなG7独走を日本も先頭に立って世界に押し出しているわけだが、世界でこんな経済・軍事ブロック化を急に進めていけば、この行く末は世界戦争しかないではないか。あるいは、世界戦争の恐怖を使って、一国の運命にも関わるような何かの要求を相手側に押しつける暴力? 世界の経済・軍事ブロック化は人類史上いつも、相互が憎しみを投げかけあい、募らせあっていく体制として、世界戦争への一里塚ではなかったか。G7国唯一の非白人国家、日本が、G7を一種世界的・全人類的な組織と見せる役割を担っているだけに、その国民の1人としてことさら危惧するものである。G7って、日本を除いたら欧米圏だけで地球のほんの一部、ごく狭い白人だけの組織でしかない。

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米中争覇と日本の運命   文科系

2023年05月18日 10時35分19秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 左右の老人政治論がネットなどで盛んだが、僕が今最も気になっていることを書いてみたい。日本人の明日の生活のため、孫子のために「日本の運命を左右する最大問題」としてということだ。表題の問題は、ネットで盛んな右の論者には全く欠落しているものである。

 正しい知識は構造を成すといわれるが、これは日本の政経、国民生活を見、考える場合も同じことだ。「社会・世界全体をより根本的・長期的に規定する要因」と、短期規定にすぎぬ要因、その中間などがあるからである。そして人には、目前の「今とここ」はわかりやすいが、時空的に遠いものは学習も必要で知りにくい上に、人々も目前の困難対処に迫られる激動の時代では、なおさらこれは見えにくくなるからだ。こういう時の世界諸国の政治がまたさらに、選挙勝利に繋がる利権政治、ポピュリズム政治になっていくから、世界各国がともに、一種の悪循環に陥っていくものだ。

「現実的」と称される目の前の保守、わが国だけのことに目が行っていれば、いわゆるグローバリゼーション経済の本質、金融利益最大化方針資本主義も、米中争覇も見えてこない。が、このふたつは今や、日本の生活・世界全体の生活を、長く深く規定していく最大の要因になっている。それも大変悪い方向へ。ネットなどで政治を論ずる老人は、時間だけはあるのだからこれを論じないでどうすると、僕はずっと言いたかった。

 さて、米中争覇は、日本の政経、国民生活をめぐる最大問題になっていくだろう。同時にこの問題は、現行の新自由主義経済グローバリゼーションの最大原理・株主利益最大化方針を市民生活に即して改善していくのに不可欠な「タックスヘブンを使った脱税を止めさせる」や「金融取引税の世界的設定・拡大」などをめぐっても、これらを死守したい英米日が中国と対立するところだ。なぜなら、中国は自分のモノづくりを英米日金融に支配させないだろうからである。アメリカにこれができなければ、米中争覇は中国の勝ちだ。世界のモノ作りは中国にどんどん集まっていくのだから、その金をGAFAMらが奪えなければ、米世界覇権は敗北する。金融資本それ自身は富を生まず、株や為替で他人が生み出した富を取るだけだから。これが分かっているからこそ、コロナやウクライナ戦争というどさくさを口実にして、アメリカが世界経済のブロック化(と言う貿易保護主義)を強引に進めた来たわけである。

  こんな中でロシアのウクライナ侵攻がおこった。振り返れば二〇一四年、ウクライナ・マイダン暴力革命に端を発してすでに一万人が亡くなったと言われるウクライナ・ドンパス紛争によって、G8がロシアが追い出して、G7になった。以降のロシアはあからさまに中国よりになっていく。中ロが結びつけば、中国のアメリカに対する最大弱点・エネルギーも、エネルギー資源国ロシアの富も確保されるのである。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。マイダン革命後のウクライナ政権人事がウクライナ駐在米大使らによって決められていたと言うニュースは、ヨーロッパには知れ渡っている。その狙いは、NATOを通じて親中ロシアを滅ぼすこと。ところがウクライナ戦争の後には、ロシア・ルーブルは全然下がっていないどころか上がっている。戦争以前一ドル七五ルーブルだったが、戦後一時一五〇ルーブルに下がって、六月末には五三ルーブルに上がりなおした。中国やインドがロシア原油などを超大幅に買いましたからだ。ロ・ウ戦争はこうして、ロシア制裁をめぐる世界経済のブロック化とともに、軍事ブロック化も進めているのである。日本を規定してきた金融株主グローバリゼーション時代が、世界史上ろくなことがなかった「ブロック経済」、「軍事ブロック」世界時代へと、ロ・ウ戦争によって幕開けたのであった。この経済・軍事ブロック化に関わって、ロ・ウ戦争で新たな事態がどんどん顕かになっている。

 ウクライナ戦争の対ロ制裁に賛成していない国がアジア、アフリカ、中南米などにも意外に多い。「アジア諸国の中国寄り情報」もどんどん入ってくるようになった。ちなみにここで、中国にインド、そしてG20国の一つインドネシアを加えると、将来世界の一般消費のどれだけ分になるかを考えてみればよい。世界最大のマーケットは中国圏の中と言えるのだ。アメリカは中印関係を裂こうと腐心し続けてきたが、インドはBRICS加盟を止めず、アメリカでなくロシアから大型ミサイル兵器をつい最近輸入した。さらには、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで形成するこのBRICSに、G20国の一つアルゼンチン、イランなどが加盟を申し出ている。同じくG20国の一つ、トルコも米ロ関係においては微妙な立場を取り、最近ロシアから高価なミサイルセットを買った。
 次に、そのインドネシアなども含めた東南アジア諸国はそういう中国に近づき、むしろアメリカには警戒している。そもそも東南アジアでウクライナ戦争に対する対ロ制裁に加わったのはシンガポールだけだったし、その多くが「日米以上に中国がパートナー」とふるまっている。むしろ「アセアンが団結して米中圧力を排し、中立の立場で」と繰り返してきたと、最近の新聞に報道されている。

 大国争覇の攻防史は常に血みどろだったとは、歴史学史上「トゥキディデスの罠」として知られたものだ。が、民主主義が発展した二〇世紀にはふたつの平和的な大国後退が生まれたと言われている。第二次世界大戦後に当時の大英帝国がその膨大な植民地をほぼ平和裏に手放し(覇権国の地位から降り)た。次いで、米ソ冷戦時代は、ゴルバチョフが「負けた」と手を挙げたことによって、ソ連邦解体までほぼ平和裏に進んだ。今アメリカが仕掛け始めた「中国相手の経済・軍事ブロック化」というチキンレースは、一体どういう進行、結末をもたらすのか。日本が今のまま金融利益最大化方針資本主義でアメリカについていけば、その対中覇権闘争の突撃部隊に押し上げられることは必至である。日本やその政治家諸個人は積年の対アメリカ重大弱点も握られていて、それらがいつでも脅迫手段になりうるだろう。傾きかけていく世界通貨ドル体制死守の目的で、日銀が行ってきた禁じ手「財政ファイナンス」や政府が先導してきた官製の「株バブル」がアメリカ金融によって衝かれることも、なおありうるだろう。それは、経済全盛期日本をどん底に突き落とした「一九九〇年代の日本住宅バブルの破裂」や東芝の今などを見てもわかることである。日本はトリプル安という形でいつでも捨て去られる国になっている。

 日本でノーベル経済学賞にもっとも近かった人物の一人、森嶋通夫は晩年の二十世紀末から、こう提言してきた。「日本はアジアにこそその将来を求めるべきだ」。日本の政治の貧困から「精神、金融、産業、教育の荒廃」が起こっていると。それを止める唯一つの救済策が東北アジア共同体であると。


(2022年7月26日の拙稿を改編、再度掲載)


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米の〝新しい(世界)コンセンサス〟 文科系

2023年05月15日 05時54分50秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 冷戦終結以降の世界で30年以上続いたワシントン・コンセンサス、新自由主義経済世界(体制)を、アメリカが換えるのだそうだ。既に2019年8月に米主要企業経営者らの最大団体・ビジネスラウンドテーブルが、新自由主義経済最大の柱「株主利益最大化方針」を反省してその転換が必要だと内外に表明したものだが、その新たな形がこの度やっと現れて来たようだ。現代ビジネスが、米のサリバン大統領補佐官による4月20日のある講演内容を紹介しているが、その最も短い要約はまず、次のようなものだとのこと。なお、2019年の米経済界の大きな反省なるものは、当ブログ2019年8月21日に紹介してある。

『自由貿易や規制緩和による市場重視の経済政策から、補助金を使った産業政策への大転換を宣言した。これは「新しいワシントン・コンセンサス」と呼ばれている』

 さて、この新しいワシントン・コンセンサスとは一体何か。旧来のワシントン・コンセンサスの諸要素、「貿易自由化」「海外直接投資」「(各国)政府事業の民営化」「規制緩和」「各国家の財政規律の維持」などなどは以降どうなっていくのか。これら「ワシントン・コンセンサス」諸要素がこれまでの世界をどれだけ規定してきたかを思えば、アメリカのこの大転換は日本の明日を規定する最重要事項にもなっていく。

 サリバン大統領補佐官が唱えた「新しいワシントン・コンセンサス」の中身は、バイデン大統領が直面している4つの挑戦に応えるものなのだそうだ。①米国産業基盤の空洞化、②地政学的安全保障競争、③気候変動危機下のエネルギー改革、④不平等とそれによる民主主義への打撃。
 
 ①と②は、中国の挑戦によってもたらされたものと従来から吹聴されてきた。③と④とは、アメリカ自らが先頭に立って、日本や西欧、さらには搾取されたグローバルサウスを含めた世界に招いてしまったものである。

 これらを具体的に進める方向として上がっているのが、半導体製造をG7などに囲い込むこと、および、気候変動対策などを重点とした莫大な(国内)補助金ということだ

 なお、これらの方向に内外から批判が上がっていることも、現代ビジネスは紹介していた。貿易保護主義にはマクロン仏大統領やイギリス・マスコミなどが猛反発し、サマーズ元米財務長官もこんな批判をしていると言う。
『外国製品への関税を強めるのは、我々の生活水準や米製造業の生産性を下げるものだし、第二次大戦後の米伝統、多国間主義を放棄しているものでもあって、失望した』

 さてさて、この「新しいワシントン・コンセンサス」によって世界が長く、大きく変わっていくことは確かだろうが、日本保守政治陣営は、日本国民のためになるという意味でこれに正しく対処できるとは思えないのである。旧ワシントンコンセンサスをそのまま取り入れさせられた日本では、アジア通貨危機、住宅バブル破裂などを通して、中産階級がアメリカ以上に、ずっと前から没落していて、それによって50歳まで未婚男子が多くなって、それに対応した未婚女子、子なし女子も増えたのである。これによって、韓国と並んで一路小国化の道を辿ったのであった。


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米の外交論客らの対中政策紹介  文科系

2023年05月08日 09時38分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 米軍が「テロとの戦い・中東」から引き上げて世界戦略として対中包囲網を敷き始めてからは、標記のことがクローズアップされる。ウクライナ戦争さえ米から見ればこれの一環という性格を有している。従来から唱えられてきた米対中政策をば、旧稿によって改めて紹介してみたい。安保三文書などは、こういう米外交政策の最前線の一環と言えるのだから。


『 イラク戦争と、米政治の退廃(8)「中国に革命を!」と、米  文科系
  2020年07月05日 14時45分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 米から中への覇権移行に関わる米中冷戦について、アメリカ外交の要人たちが「中国に革命を起こさせるべし」、「『なるべく』平和革命を!」と叫び振る舞い続けてきたのを、日本人のどれだけが知っているだろうか。イギリス人で日米政経問題の長年の研究者ロナルド・ドーア著「日本の転機 米中の狭間をどう生き残るか」(ちくま新書)に紹介されていた有名政論人らの議論を紹介しよう。


 まず、日本でも有名になった「大国の興亡」(1988年発行)を書いた、ポール・ケネディは少々平和的で、この覇権移行は必然だろうが、「暴力の度合いを減らして欲しい」と述べている。ケネディは、大国の興亡で「過去、大国が入れ替わった時とは、旧大国が手を広げすぎた時だ」と述べて、米ソ冷戦時代にはその双方にそういう警鐘を鳴らしていた。その後ソ連が、東ドイツ崩壊を機に降参と諸手を挙げた時に、米外交論壇はケネディに対してこんな勝ちどきを吠えたという。
「それ見ろ、米への警鐘は余計な心配だったろう!」
 ところが、ご当人のケネディは、今度は米中冷戦の行方についてウオール・ストリート・ジャーナルにこんな記事を投稿したと、ロナルド・ドーアのこの本が教えてくれる。

『西洋からアジアへの、権力の地殻の変動のような移行は逆行させにくい。しかし、米国議会およびホワイトハウスがもし合理的な政策を取れば、このような歴史的な転換期の浮き沈みの度合い、暴力の度合い、不愉快さの度合いをかなり軽減できる。私のような「斜陽主義説の輩」にとっても、まあ慰めになると思う』

 ケネディのこういう議論に対して、ネオコン(ネオ・コンサーバティブ 新保守主義者)論客が猛反発するのは、言うまでもない。その典型、ロバート・ケーガンはこう語る。
『国際的秩序は進化の産物ではなく、強制されるものである。一国のビジョンが他国のビジョンとの葛藤においての勝利に起因する。・・・現在の秩序は、それを是とし、その恩恵を蒙っている人たちが、それをとことんまで防衛する意思及び軍事能力があってのみ、存続できる』

また、著名な外交官、キッシンジャーはこう語っている。
『外向的丁寧さを剥ぎ取って言えば、米国戦略の究極的目標は中国の一党支配権力制度を取り除き、自由民主主義体制に変えさせる革命(なるべく平和的革命)を早めることとすべし』
『中国が民主主義国家になるまで敵対的に「体制転換」を中国に強いるように、軍事的・思想的圧力をかけなければならないとする』

 ケーガンの「国際秩序は強い国が利益を守るために強制するもの」にしても、キッシンジャーの「中国体制転換に向けて敵対的に、軍事的・思想的圧力をかける」にしても、良くていわゆる暴力革命・政権転覆、悪ければ戦争という含みである。

 既に起こっており、今後激化するこの冷戦の原因がこれから常にアメリカ側にあることを、否が応でもこれに巻き込まれるはずの日本人はよーく見ておくことだ。ちなみに、近年のアメリカが国連無視をどんどん深化させてきたのは、中国に対する国連的解決など放棄しているからだとも言えるのである。自らの最大目標2%成長率も延び延びになるばかりで、トランプにおべっかを使うことしか出来なかった安倍のような馬鹿が下手をするなら、これからもどんどん米兵器を買わされて米中冷戦の最前線に日本が立たされることになる。イージス・アショアで既定方針に反旗を翻した河野洋平は、その点だけとれば、日本の利益にかなったことをした。』


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ウクライナの5月反攻?   文科系

2023年05月06日 09時08分18秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 孫崎享のつぶやきにこんなニュースが載った。元外務官僚で中東諸国の大使などを歴任、国際情報局長や防衛大学教授なども務めた希有な硬骨官僚である。
「ウクライナで検事総長と治安部長が国家反逆者として解任された。併せて650件以上の国家反逆罪が調査中」
 アメリカがおおいに指摘・危惧してきたのが、ウクライナ政権に蔓延する汚職。これを無くそうとした捜査機関のトップらが、逆に反逆罪で解任されたという話なのだ。本当の汚職捜査と、その捜査人物に対する国家反逆罪適用とが混在する動きとも語っている。

 このようにウクライナ国家の様々な負のニュースも漏れ出てきており、「5月反攻」はどうやら戦意高揚のための虚勢という側面も大きいと見る。ウクライナ軍の死者が10万人を超えたというニュースも出ている。さらには、マクロン・フランス大統領やIMF幹部スペイン要人らが示したようにNATOが割れ初め、中国による停戦調停に期待するとか、中国がこれに乗り出すなどの動きもある。
 日本のウクライナ報道はアメリカ発のニュースの影響も大きく、そのアメリカは今やまたまた、マクロンなどヨーロッパの一部に対して「古いヨーロッパ」などと罵倒し始めている。
 
 この戦争は元々「ロシアは覚悟の上、ウクライナには『寝耳に水』」の出来事であった。つまり、事前準備状況に圧倒的な差があった。だからこそ、EUによる援助もアメリカの強力な押しがあってさえ、あれだけ遅れたのである。
 五月の広島G7で、改めてどんな論議がなされ、どんな方向が出るか分からないが、とにかく早く終わって欲しい。今も毎日死者が出て、その家庭、家族が破壊されているのである。


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中国の、ロシアへの軍事援助は?  文科系

2023年05月04日 10時03分52秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 このところしきりに、中国要人が露西亜を訪れている。これについてアメリカとG7が最も恐れているのは、中国によるロシアへのウクライナ戦争関連軍事援助開始だろう。そして、この援助が敢行され始めるかどうかは、アメリカが対ロシア戦争を何処まで拡大深化させる積もりなのかに懸かっているはずだ。中国はまちがいなく、アメリカのこの意図を懸命に探ろうとしている。

 さて、こんな時点でウクライナによる「5月反攻大作戦」がわざとらしいほど大々的に喧伝されている。普通は陽動作戦以外では戦車や装甲車の数まで示したこんな大々的反攻報道・宣伝などはやらぬものと思うのだが、アメリカはウクライナ戦争に中国を巻き込みたいのか。これによって、ロシアの「開戦汚名」を中国にも押っ被せることができるのだ。そうなれば、今でもウクライナ戦争に連動させている「西太平洋の波風」はさらなる大波乱、日本の敵基地攻撃論はさらに声高になっていくだろう。マクロンはこんなアメリカの意図を見抜いたから、中国にも肩を寄せ始めたのかも知れない。それでアメリカは今イラク戦争の時と同じで、こんな言葉を唱え始めた?
「古いヨーロッパは、どうしようもない!」

 と、こんな予想が外れることを願うばかりの今日この頃である。それにしても、このわざとらしいほど大々的な「ウクライナの5月反攻大作戦」喧伝って、本当は一体どんな狙いなのだろうか。この戦争の今後がなおさら心配・不安になってくるのである。
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青学・原晋監督のような「金融損公表」は、社会福祉  文科系

2023年05月03日 01時01分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 青山学院の駅伝監督として有名な原晋氏が、クレディ・スイスの債券を多く買っていて、この度そのすべてがご破算になったと公表した。破産したクレディスイスがスイス最大の銀行に吸収された事はよく知られているが、この合併でクレディの債券までは救済されなかったのである。このことに関連して、一つ前の金融破綻、リーマンショックの時のことで思い出がある。まず、あれが、サブプライムバブルが弾けたと言われたのは、こういうことだった。

 貧乏な人に借金をさせて住宅を売り、その借金債券を安全で高い利子があるような債券と一緒に組み合わせてサブプライム証券という金融商品として売りだしたのだ。やがて「社会福祉にもなる夢の商品で、これがどんどん売れて、超大型バブルを形成していった」ということになるのだが、これの破裂があのリーマンショックの震源地となった。さてその時、日本の小金持ち法人なども大損を被ったわけである。例えばこの愛知県でも、少なくとも三つの大学がそれぞれ当時何十億という金を失った事は有名な話として、僕も知っている。あの時にこの大学のような「ご破算」が日本全体の金持ちたちの間でどれだけ起こったことだったか!


 さて今の時代、金融で大損した話は、社会にもっと広めるべきだと思う。冒頭の原晋監督のようにふるまうのは、これが社会福祉になるというと笑い話のようだが、実際にそうなのだから仕方ない。
 最後に、ある種の金融は、こんな事の繰り返しで儲けてきたという証拠になる旧稿を、一つ紹介しておこう。
 サブプライムバブルが弾けたのは08年だが、これと同じ証券の正体を既に20世紀末に暴いていた本がある。このブログではサブプライムバブル弾けを06年ごろから予告しているが、その関連で紹介したこんな本だ。「フィアスコ(日本語で大破綻という意味)」という米投資銀行・モルガンスタンレーの元トレイダーが出版したもので、この主内容はこういうものだ。
『日本財界が2週間で7500万ドルをパクられた話』
 この本の内容紹介が当ブログにあって、2007年01月21日のエントリーになっている。興味のある方はお読み願いたい。書き出しを以下に紹介するがこういうもので、この拙稿への行き方はこうする。右欄外の今月分カレンダーの下「バックナンバー」部分をスクロールして「2007年1月」をクリック。上のカレンダーがその月分に替わるからその21日をクリックすると、エントリー本文欄がその日のエントリー分だけに替わるから、お求めのものがお読み願える。

『 95年2月27日イギリスの名門銀行ベアリングズ社が倒産した。シンガポール支社の28歳のデリバティブ・トレーダーが10億ドルの損失を出したことが原因である。イングランド銀行が主要銀行に呼びかけて緊急救済検討会議を持ったが、「白紙の小切手にサインすることと同じ」という事態であると認定して、救済を断念。この倒産が、ベアリングズ社に貸していた日本の銀行の焦げ付きや、デリバティブ損失絡みの東京株式市場暴落(14ヶ月続いた)やをもたらし、日本企業の春の決算期は粉飾の必要に迫られていた。従来保守的であった日本企業にたいして、米デリバティブ・セールスの絶好機到来なのである。「手っ取り早く儲けて」損失を隠したがっていた日本企業に「歴然たる詐欺を働いているよう」なデリバティブが、さー売れるぞ! 著者は語る、「誰が実際にベアリングズ社に金を貸していたかかが分かったときの至上の喜び!」!
 モルガンのある上司の言葉 「われわれは死に物狂いのクライアントを愛し、彼らを見ると興奮する。われわれは必死の人々からたくさんの金を稼がせてもらってきた」(以下略)』 


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ウクライナ報道などにちなんで  文科系

2023年05月01日 04時52分44秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 島国根性から世界情勢に疎いと言われてきた日本が、現在大変おかしな状況になっていると思う。太平洋戦争も、開戦に熱狂した国民の西欧無知から起こったものとも言えるから、相変わらず国内政治だけを論じ、国際情勢認識が偏っているやの今の風潮が怖い。今は、国際情勢が日本の政治を規定しているとさえ言える時代なのに。

 その一例、標記のことで度々訝り思うのがこれ。今の時代、自国の戦争でなくても大本営発表があるんだということ。ウクライナとロシアとの間で、日本の報道も「勧善懲悪報道」をやっている。一方を正義の士、他方を悪の権化と描く。そういうマスコミ編集方針があるようだ。悪者側を決め込んだその理由は「ロシアが侵攻したから」というもの以外にはないはずだが。
 これについて最初に連想する疑問がこれ。
「アメリカのイラク戦争において日本政府やマスコミはこんな態度を取ったのか?」
 この時のアメリカは、後に嘘と分かった理由で、自国から遙か遠くの中東の国に攻め入ったのだった。対するに、今回のロシアの蛮行は2014年国境紛争勃発以来のNATO浸食脅威を理由としていた。

 この戦争で最もホットなニュースでは、例えば、こんな疑問を持つ。
 ウクライナの「5月反転攻勢」が西側日本マスコミで大喧伝されているようだが、これって普通に考えておかしくはないか。
 戦況・戦線を大転換させるような作戦を西側マスコミが打ち揃って事前に大々的に発表・報道するって、一体どういう狙いなのか? 例えば、第二次大戦のノルマンジー上陸作戦は必然ではあったが、詳細は秘密を徹底して敢行されたはずだ。それを、今回の5月反転なるものでは、戦車や装甲車の数、その部隊数と訓練状況までを大喧伝している。こんなのは「敵を惑わせ、戦略の中心を見えなくする」一種の陽動作戦とか、ウクライナ側の戦意高揚戦略とも観うるが、日本マスコミは一体、どんな作戦を大々的に喧伝、援助しているのだろうか。
 素人考えだが、一例こんな事を思う。

 このウクライナ反攻作戦では、ウクライナ東部戦線、アゾフ海への回廊と、クリミア出入り口との三つの戦線のどれかを想定、準備させるものと報道されている。これによって、ロシアをこの三つの方面に動かし、その動員可能戦力を探りつつ、決戦の一点突破口を開きやすくする狙いなのではないかとも。とそのように観るとしても、西欧マスコミがそういうウクライナ側大本営発表をやっていることだけは確かなようだ。

 これでは世界が、経済・軍事ブロック化していくのをいわゆる西側マスコミが導いていくようなものではないか。世界が『西側90、中間60、中ロ側40』と割れていると言われているような今の事態を、ますます厳しく対峙させていくことになると恐れるのである。そして、この90の中心の国々が今や、中国の台湾侵攻を本気で予告しつつ、これに備えよと叫んでいるのである。アメリカ国防省の正式発表はまだこんな段階でしかないのに。アメリカには、政府関連以外にも世界ニュースを操る組織が存在するから要注意である。以下は、3月3日の当ブログ拙稿、抜粋である。

『2日の新聞に、国防総省次官の下院公聴会発言として、こういう記事が載ったが、これがアメリカの台湾侵攻に対する公式の立場なのだろう。記事の見出しはこういう物。『中国の台湾侵攻「兆候ない」』。というこの記事は、朝日新聞でも13面にあって、実に小さな扱いであった。内容はこういう物なのに。
「米国防総省のカール次官(政策担当)は2月28日、中国が2027年までに台湾に軍事侵攻する可能性をめぐり「中国の習近平国家主席や人民解放軍が『準備ができている』と考えている兆候はない」と述べた」 
「「(侵攻を)すると決めたわけではない」と指摘。「準備を加速させるであろう兆候もない」と述べた」
 日本にとってとても大事な記事なのに、扱いが小さすぎると考える。』


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「G7」は、世界を滅ぼす  文科系

2023年04月19日 11時01分10秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 G7外相会議が軽井沢で開かれ、いろんなことが学べたし、分かった。そして、5月にはG7首脳会議が広島であるのだそうだ。ところで、G7っていまや世界や日本にとって「おかしな存在」になってしまったのではないかという素朴な疑問を呈してみたい。

 今日の朝日新聞が外務省幹部の発言として、こんなことを伝えている。
「西側の価値観を押しつければ、グローバルサウスは後ずさりする」
「世界の国々の数がおおむね『西側90、中間60、中ロ側40という状況』に分かれてしまっている」
 そして外務省の21年度の海外対日世論調査によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)の人々が考える『重要なパートナー』は、中国が日本を上回って1位となっている」

 そしてまた、岸田首相自身が訪米時講演でこう語ったのだそうだ。
「いかに我々が正しいと信じる道を歩んでいても、国際社会の重要なポジションを占めるグローバルサウスから背を向けられるようでは、我々自身がマイノリティーとなる


 ところで今の世界は、気候正義、SDG'Sのほかにも、「世界の国々の政府債務180兆ドル」(2018年度)という地球の将来が懸かっているような大問題を新興国中心に抱えている。「南が食えなければ、北も結局食えていかない」というグローバルサウス問題としても、IMF最大の課題になっている。これを放置しては、世界の人々の命がどんどん失われていくばかりである。
 そして、これらの問題も現在のウクライナ戦争も、世界が2ブロック2陣営に別れていては、とうてい解決など覚束ないはずだ。


 率直に思うのだが、なぜG7が存在するのか。なぜBRICSがさらに堅く、膨らみ続けているのか。その結果として国連がないがしろにされているのは、地球、人類に良いことなど何ももたらさないどころか、地球の破滅さえ招きかねない状況ではないのか?
 せめて、G7もBRICSも参加しているG20で話し合い、国連中心に世界を見ていく時なのではないか。世界の軍事・経済ブロック化は地球に破滅を思わせてならないのである。


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夕刊フジの「EUの中国接近」解説  文科系

2023年04月15日 07時37分42秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日掲載した「どうなる、EU首脳らの親中国論」のエントリー内容は、日本も世界もむしろ保守マスコミの方が重く見ているようだ。例えば、トランプがマクロンをあざ笑ったように。この一例、夕刊フジの以下のニュースを見ても分かることだろう。


『(前略)ドイツの自動車産業にとって、中国市場は欠かせない。スペインは、新型コロナウイルス禍後の中国人観光客の復活に期待を寄せる。今回のマクロン氏訪中には、航空大手エアバス、フランス電力など仏企業トップらが同行した。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は(中略)
「フランスなどの動きが対中包囲網の抜け穴になる可能性があり、日米としてはしっかりと不快感を示すことが必要だ」と話す。
日本では来月19~21日、広島市でG7首脳会議が開かれる。議長国の首脳として迎える岸田首相は、G7の結束が乱れつつあるなかで、どう対応すべきか。
島田氏は「中国やロシアとの取引に頼らなくても、G7で埋め合わせる経済協力ができるという方向に持っていくことが大事だ。中国との関係が切れたとしても、G7を中心とした自由主義圏で、市場やサプライチェーンを確保できる態勢をつくれるよう、岸田首相がリーダーシップを取る必要がある」と話した。』


島田氏のこの論議を世界的に実行するには、すでにもう大きい無理があって、手遅れである。今の世界経済ブロック体制はアメリカが作ったもの。最初はコロナ、次いでロシアのウクライナ侵攻以降を通じて。特に、「市場」についてそうだからこそ、IMF委員会議長であるスペイン経済相が「市場分断の回避を中国に期待する」と表明するに至ったのである。
つまり、島田洋一氏の議論は、現実世界とEU首脳現実世界認識とに全く合致しない夢の話ということにならないか。そんなアメリカに「中国巡って一蓮托生」と、付いていくだけの形を示している外交で、日本は大丈夫なのか? 知らぬ間に数少ない対中国戦争最前衛国に巻き込まれていたというウクライナのようにならないか?


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