九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

世界の流れの中で考える日本国憲法 2 へそ曲がり

2010年04月14日 12時31分14秒 | Weblog
★「世界の流れの中で考える日本国憲法」(井上ひさし)・・・2、水色ペンキの入ったバケツを下げて 非核地図を塗り広げる

 国際法や条約などの堅い約束(ハード・ロー)や、宣言や行動計画やガイドラインといったゆるい約束(ソフト・ロー)によって網の目のように編まれた国際社会・・・これはなかなかおもしろい、そしてふしぎな生きものである。戦争と暴力で荒れ狂っているかと思えば、同時に中立国(いわば良心的兵役拒否国家)を認め合ったりしている。そればかりでなく、この国際社会は、わたしたちの知らないうちに、途方もない大事業を進めていたりもするのだ。
 ここに好例がある。第2次大戦のあともなお「南極はうちらの領土だ」と所有権を主張する国が7つ(アルゼンチン・オーストラリア・チリ・ニュージーランド・イギリス・フランス・ノルウェー)あった。
 日本も観測船宗谷を派遣した「第3回国際地球観測年(1957年7月から18か月間)」に参加国はそれぞれ南極に観測基地を置いたが、そのとき改めてこの領有権問題が再燃した。というよりもアメリカとソ連がおたがいにお互いを疑いの目で見ていたらしい。
「観測にかこつけてアメリカは(ソ連は)こっそり南極に軍事基地を作ろうとしているのではないか」
 そこで、国際地球観測年を主催する国際学術連合会議が上の7カ国に、アメリカ・ソ連・南アフリカ・ベルギー・そして日本の5カ国を加えて議論することにした。場所はワシントン。討論は白熱して火花を散らし、やがて談判決裂の危機が来た。
 そのとき、日本側が、「わたしたちは紛争を話し合いで解決するという憲法を持っている。これはよりよい世界をめざすための最良の手引書であって、人類の知恵がぎっしり詰まっている。それにもとづいてわたしたちはあくまでも話し合いで解決するように主張する」と発言・・・・というのは、オーストラリア国立大学で住み込み作家をしているときに(1976年)、この会議に出席していたという地理学の老教授から聞いた話だが、なにしろ、あのときは日本中の小学生までがお小遣いを削って献金して基金を集めてやっと築いたのが昭和基地だったし、その上、戦後初めて世界の学術界に再登場したこともあって気合いが入っていた。
 その気迫に圧されて討論が再開され、やがてその成果が「南極条約」(59年)となって結実した。

 条約の中身をまとめると、次のようになる。
「領有権は凍結する。南極は人類の共有財産であり、世界公園である。軍事基地も軍事演習もだめ、活動は調査研究に限られる。そして核実験も核の持ち込みも禁止する」
 
 この核禁止の流れはゆっくりと広がって行った。気がつくと、宇宙も(1966年、宇宙条約)、中南米も(68年、ラテンアメリカ非核地域条約)、海底も(71年、海底非核化条約)、南太平洋も(85年、南太平洋非核地帯条約)、東南アジア全体も(95年、東南アジア非核兵器地帯条約)、そしてついにアフリカ大陸も(95年、アフリカ非核兵器地帯条約。アフリカ統一機構閣僚理事会で採択)、どこもかしこも非核兵器地帯になっている。
 試みに、非核兵器地帯を水色のペンキで地球儀の上に印すと、南半球全体が水色に染まる。もちろん海底も宇宙も水色一色である。相も変わらずなんだかんだと真っ赤になって揉めているのは北半球のお偉方たちだけだ
 名古屋大学名誉教授の森英樹氏の名言を拝借するなら、〈もうひとつの世界は可能だ〉(『国際協力と平和を考える50話』岩波ジュニア新書 )なのだ。
 どぎつい赤を水色で塗り直そうという国際社会のもう1つの大きな流れの先頭に立っているのは、もちろん日本国憲法である。わたしは今日も水色のペンキの入ったバケツを下げて生きている。
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井上ひさしの訃報を聞いて

2010年04月14日 12時16分23秒 | Weblog
井上ひさしの訃報を聞いて、へそまがりさんのことを思い出しています
私は、井上ひさしの読者ではないのですが、彼の9条論には注目し、感心してきました
そのことをへそまがりさんに紹介させてもらったところ、「九条バトル」の記事になりました
けさ、探し出して再読させてもらったところです。その記事は、別記のとおりです
コメントのやりとりはいまも新鮮です
余計なことと思いながらも、一言申し上げる次第です (キャツチホンさんのメールより)


 [別記]

世界の流れの中で考える日本国憲法 1 へそ曲がり
2008年06月28日

 友人の1人に、毎月たくさんの資料を送って下さる方がいます。今回の資料の1つに6月5日と6日付の中日新聞の切り抜きがありました。「世界の流れの中で考える日本国憲法」というタイトルで、執筆者は「井上ひさし」氏です。すでにお読みになられた方も大勢おみえかと思いますが、とても面白い内容になっていますので、2回に分けて掲載したいと思います。よろしく。

★「世界の流れの中で考える日本国憲法」(井上ひさし)・・・1、その旗の下に立つ 「第九条」やがて国際法に

 20世紀は戦争と暴力の世紀であったという言い方がある。たしかに数片ぐらいの真実が含まれているかもしれない。そこでこの考えに立って21世紀の行方をうかがうと、戦争で儲けようとしている人たちは別だが、わたしたち普通人ならだれもが、「戦争と暴力を 引き継いだのだから、やはり破局の世紀になるのか」と落ち込んでしまうはずだ。
 こんなときは、オランダの都市ハーグを思い浮かべるにかぎる。というのは、北海にのぞむ人口50万のこの都市こそ、人々が戦争と暴力を違法化しようと懸命になって奮闘したのも同じ20世紀のことだったよと教えてくれるからだ。
 ハーグが17世紀半ばから国際条約の製造所だったことはよく知られているが、20世紀をまさに迎えようとしていた1899年に、ロシア皇帝ニコライ二世の呼びかけのもとに、このハーグで第1回の国際平和会議が開かれた。会期は2か月余、参加国は26。「革命で銃殺された皇帝が呼びかけた会議なぞ、どうせろくなものではあるまい」と軽んじてはいけないのであって、これは人類史で最初の、軍縮と国際紛争の平和的解決を話し合うための国際会議だった。
 軍縮問題では成果がなかった。フランス代表のレオン・ブルジョワの「今日、世界の重荷である軍事負担の制限は、人類の福祉を増進するために、はなはだ望ましいということが本会議の意見である」という名演説が満場の拍手を集めたくらいだった。
 しかし、このとき調印された3つの宣言が重要である。
① 軽気球からの爆発物投下禁止宣言(わが国は未批准 )② ダムダム弾使用禁止宣言 ③ 毒ガス使用禁止宣言
「何が国際紛争の平和的解決を話し合うための会議だ。3つとも戦争を前提としているではないか」というヤジが予想されるが、戦時国際法というものが諸国間で確認されたことがなによりも大切で、「国際紛争平和的処理協約」「陸戦法規に関する協約」「国際赤十字条約の原則を海戦に応用する協約」の3つの協約が採択されたのもこのときである。

 1907年の第2回の参加国は44。このときに採択された「中立国の権利と義務に関する条約」はすばらしい成果だった。
 第2次世界大戦は枢軸8カ国(日本・ドイツ・イタリアなど)と、連合49カ国(アメリカ・イギリス・ソ連など)との間で戦われ、南米をのぞくほとんど全世界が戦火に覆われたが、この中立条約を貫いた国が6カ国(アフガニスタン・アイルランド・ポルトガル・スペイン・スウェーデン・スイス)あった。
「わが国は中立の立場をとり、ただひたすら戦争が産み落とした不幸と 向き合う」と宣言したこの6カ国は、紛争国間の情報交換の仲立ちをし(スイス)、人質や傷病兵の交換に船舶を提供し(スウェーデン)、捕虜や人質の待遇を査察した(スペイン)。このように〈中立〉という第3の道を明示したのが第2回の会議だったのである。

 第3回が開かれたのは100周年にあたる1999年で、100以上の国から8千人の市民が参加、NGO約700団体と国連が共催した。第2回から90年以上も間があるのは、世界が戦争と暴力沙汰に明け暮れていたせいだろう。
 このときに確認され採択されたのが「公正な世界秩序のための十原則」で、その第一原則はこうである。

「各国議会は、日本国憲法第9条にならい、自国政府に戦争を禁止する決議をすべきである」

 やがてこの原則も(これまでと同じように)国際法に昇格する時がくるにちがいない。
 つまりわたしたちは、たしかに20世紀から戦争と暴力の非常識を引き継いではいるものの、同時に国際法・国際条約の世界法典化の流れをも引き継いでいる。そしてその流れの先頭に立つ旗となって、世界をよりましな方へ導びこうとしているのが、わたしたちの日本国憲法なのである。わたしは今日もその旗のもとにいる。
コメント (3)
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 5年続ける?、消費税論議  文科系

2010年04月14日 07時36分52秒 | 国内政治・経済・社会問題
 民主党政権この4年の政局は、米、中との関係に加えて国内問題としては消費税論議が天王山になると思います。いざ法案提出などという場合の国民の関心や、選挙への影響などは、ダントツに大きな物があるとも考えますし。この天王山を巡る保守派(官僚、保守マスコミ、自民、経団連など)の作戦も、今や明らかでしょう。あわよくばこの4年の内に現政権に値上げさせて、「公約破り」政局を作りたい。『一方で「バラマキ」批判。そのたびに消費税アピール。何と便利な政権非難スパイラルか!』 『4年で難しくても、4年後にこれでもって民主党分裂・「保守合同」選挙に持ち込める可能性もある、いや持ち込んでみせよう』などとも? 
 さて、こういう消費税、僕は心情としては大反対でも、自信を持って反対とも賛成とも言えない心境です。今後の税収・景気見通しとか、サブプライムバブル破裂の世界的・潜在的影響の大きさとか、世界の中の今の日本は?とか、独法なども含めた埋蔵金の程度とか、などなど、背景になるものが大きく、また複雑すぎるからです。それよりも何よりも、こんな最重要問題は、継続的に追って行くに限る。以前にもここで、重大問題をいくつか追ってきました。ガソリン暫定税法期限切れ問題とか、インド洋給油問題とかは、それぞれ20回は越えていたはず。そうこうするうちにこれらの課題が民主党政権誕生に一役買っていったことも、古くからおつきあいの皆さんならご存じの通りです。
 消費税問題。ここで扱うとしたらこれから最長4年では利かないはず。いや、日本の財政状況を考えれば、それっぽっちでは到底済まない可能性の方が高い。なんせ小国ギリシャの財政危機で大EUが大揺れですが、日本の財政危機は金額からいっても生産力比率でもギリシャとは桁が違う。
 今後のこの連載、みなさん、よろしく、ご協力、ご同伴下さい。是非、そうお願いしておきたいです。

 さて、第1回目は、今日の朝日、毎日の記事から。見出しはまず朝日が、
【「増税で経済成長」本当? 菅氏構想 財源で雇用対策→消費対策】
 そして、文中の小見出しは、こう。【抵抗薄める狙い】【仙石氏 財政再建目標】【民主副幹事長 増税論を批判 参院選への影響懸念】 
 そして、毎日は、
【消費税引き上げ 与党内で論議】。【仙石担当相ら前向き】【「時期尚早」反発も】
 この2つの記事内容、期せずして全く同じです。「人物、舞台」「書き出し」は全く違うんだから、ひょっとして内容について談合、申し合わせがしてある? そんな所が、まず面白い。朝日が菅直人に焦点を当てているのに対して、毎日は仙石由人です。いずれもそれぞれの人物の13日の閣議後記者会見内容として書き始めて、朝日が仙石を毎日が菅を対照させている所も、参院の反対を報道している所も、期せずして同じ。良かれ悪しかれ、こういう事も分かります。マスコミがこの問題をいかに重視していくかという決意と、またまた今後のこんな見出しなんぞも目に浮かぶような。
「大きな閣内不一致、亀裂」、「『4年後』と言い続ける、鳩山の優柔不断」、「若手議員決起、『バラマキ止めるか消費税か!』」「消費税こそ、景気への出口対策、最良の失業対策!」さらには賛成派を面白おかしく取り上げて週刊誌風に「民主○○、自民○○と密室協議 フィクサーは○○!」「すわ、民主分裂、新保守大合同、新55年体制か!」などとでもやりだしそう!
 他方、福島瑞穂は当然だけど、小沢、亀井が現在強力な「4年は反対」の筋論者であるのも面白い。
 僕はと言えば、消費税がこの4年の間に上がろうが何だろうが、とにかく今は何よりも保守官僚の実権を奪うこと。これを根こそぎにしておきたい。日本の将来はそこからしかスタートできないかと。
コメント (3)
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