去年の話になりますが、当時中学3年生の女の子がいて、彼女は毎日塾に来ていました。
授業は毎日一コマずつ100分ですが、自宅だとなかなか勉強する気になれず、しかし受験を控えた時期、いくらやっても足りないことも承知だった彼女なので、だったら塾に毎日通って自学すればよいということになったものです。
教室でなら、問題集も参考書も、その他たくさんの教材類が完備していますし、どうしても分からないところがあれば、授業時間の合間に待機している講師に質問することも出来ますので、初めのうちはこうした「毎日通塾」の環境に慣れなかった彼女も、すぐにその利便性を理解し、これに順応していきました。
ある日、毎日の疲れのせいか、彼女はふと机に突っ伏したまま寝入ってしまいました。
机の上には英語の教科書やワークがそのまま開かれた状態でした。
そして、突然目が覚めた彼女がダダダダッと私に向かって走ってきて言いました。
「先生、私、今夢の仲で教科書の本文をそのままの形で殆ど全文声に出して言っていたの。殆どそのままの形でよ。それが言えてたってすごくない? だって、テストの為にはまず教科書の本文をぞらで言えるくらいに読み込みなさいって先生が言ったから、私一生懸命それをやってたの。そうしたらいつの間にかちょっとウトウトしてしまって、でも、夢の中でそれを言えてたの」
その後、彼女が請うままに、私が教科書の本文を見、彼女がそれを見ない状態で暗唱したのですが、彼女が言った通りに、ほぼ全文を正確に言えていました。
きっと、極限まで集中して覚えようと努力したことが、彼女の潜在意識にそれを強く刻印したのでしょう。
まるでマンガみたいな話ですが、しかし、こうした結果、彼女はこの後すぐの定期テストでは学年でトップクラスに匹敵する結果をたたき出したのです。
こういうのを、ここまでやるのを「努力」というのですよね。