たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(10)

2021年07月21日 00時48分13秒 | 宝塚
雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』-東京宝塚劇場公演(9)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/c6f11d02a5f5a33341c8af73427fa283

  『フォルティッシッシモ』、ライブビューイング、ライブ配信、東西の劇場でそれぞれ1回と4回みているので全体像はつかめていると思いますが、内容がぎゅっとつまっていて細かいところは理解できていなかったりするのでもう少し振り返ってみたいと思います。登場人物の位置関係、歴史的背景など鑑賞の手引きをまとめてくださっている方がいて参考にさせていただきました。今さらですが物語の舞台はオーストリアのウィーン、プロローグで「お先にと」ギロチンにかけられたマリーアントワネットが天国へ行く場面があるのでごっちゃになりますがウィーン。

 オンデマンド配信で視聴したナウオンステージでゲルハルト役の朝美絢さんが上田久美子先生に薦められてカントを読んでいると話していました。かつて哲学を勉強したいと思っていたことがありますが、『純粋理性批判』などなどわたしにはとても読みこなすことができないのですごいと思いました。

 通信制で卒業した大学の科目に「近代ドイツ小説」がありました。レポートを書くために勉強した資料の中から啓蒙思想について復習。

「18世紀-啓蒙の時代(1720-1785)

 70年代にはシュトゥルム・ウント・ドラング期の青年運動が起こり、ゲーテ・シラーが台頭。ドイツ文学の名に値する国民的文学は、この世紀にはじめて確立されたと言える。文学が僧侶、宮廷、学者の手から全く離れて市民のものになった。

 啓蒙とは、暗いものに照明をあてること、無学なものに知識を与えることを意味する。
 
 啓蒙主義とは、既成の宗教的な、あるいは国家的な権威から解放されようとつとめる精神的な活動の総称。キリスト教の教義や古い秩序に盲目的に従うかわりに、理性の力を最大限にはたらかせて世のすべてを新しい目で見直そうとする。
旧思想を打破、なによりも理性を尊重して、旧来の教会の特権や神秘主義の迷信から文化を解放し、合理主義によって人間生活の進歩、改善をはかろうとした。
理性の万能を信じ、理性にもとづく知的な活動によって、宇宙の全てから人間の精神の奥底に至るまで知り尽くすことができると信じる。狭い枠にとらわれずに自由に思考の翼を羽ばたかせようとした。 」

10分でわかるカントの思想 – 純粋理性批判をわかりやすく解説
https://vicryptopix.com/kant/

 啓蒙思想が物語の基盤にあると考えると、初見から印象に残ったこの、ベートーヴェンの回想場面をより深く理解できます。彼の中に生きる喜び、あるいは彼の生命を象徴するような小さな炎が生まれた瞬間でした。ゲーテの理を解く姿もなるほどと思います。

「第5場救済の記憶-ブロイニング家の居間-

寒空の中父ヨハンに家からしめだされた数日後、ゲルハルトに助けられたルートヴィヒはブロイニング家でロールヘンとその妹に音楽を教えている。そこへ現れたヨハンがルートヴィヒを無理やり連れ帰ろうとするが、執事が金貨の袋を握らせる。貴族からの施しは受けないと憤るルートヴィヒ。しかしゲルハルトが、この金はルートヴィヒの音楽への代金だと語る。貴族より高い世界へ行きたいなら勉強をすることだと促すブロイニング夫人。ルートヴィヒ、広がっていく光と、その中に生まれた自らの小さな炎を見るのだった・・・。」

 ミュージカル『モーツァルト』では、モーツァルトがパトロンだったコロレド大司教のもとを離れ、大衆のための音楽「魔笛」を完成させる姿が描かれています。なので、モーツァルトがヘンデル、テレマンと三人トリオで貴族のための音楽を書いたのですぐには天国にいけないとされていることに違和感をありましたが、あくまでも『フォルティッシッシモ』の中のモーツァルトなのだと理解すればいいのかな。

 抽象度の高い世界、もう少し振り返ってみようと思います。

 初見のあと調べた登場人物の年代

  ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン;1770年12月16日頃- 1827年3月26日

  ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト :1756年1月27日 - 1791年12月5日

  ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:1749年8月28日 - 1832年3月22日

  ナポレオン・ボナパルト:1769年8月15日 - 1821年5月5日