たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ブロードウェイミュージカル『ニュージーズ』-2021年10月24日観劇(2)

2021年10月25日 15時59分16秒 | ミュージカル・舞台・映画

ブロードウェイミュージカル『ニュージーズ』-2021年10月24日観劇
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/29a0570fb3ef3a99b1949cc21e320406

 西部に憧れたジャック@京本大我君が絵に描き、歌で何度も登場した「サンタフェ」、別の意味で耳に残る固有名詞、どこにあるのかと調べてみるとアメリカのニューメキシコ州北部に位置する州都、美しい街です。

「サンタフェはアメリカのニューメキシコ州北部に位置する州都です。独特な景観が広がる街並みや多様な文化性が特徴的で、市街には日干しのレンガで作られたアドビと呼ばれる赤茶色の建物が軒を連ねており、歴史的な建造物と共に魅力的な景観を生み出しています。」
https://www.travelwith.jp/area/north-america/usa/topics/post-8705/

 物語の舞台となっている1899年、「大草原の小さな家」のローラ・インガルス・ワイルダーは32歳。1894年に夫アルマンゾと共にサウスダコタ州デスメットからミズーリ州マンスフィールドへと幌馬車で旅して移住したローラは農場を広げることに汗していました。娘のローズはのちに新聞記者となりますが、キャサリン@咲妃みゆさんのように、記者として外で働く女性が同じころニューヨークには登場していたということになります。

「大草原の小さな家」への旅-ミズーリ州マンスフィールド-ローラとアルマンゾが暮らした家
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/c/d1a6e16cbcd2c6ee6ebe3c4febc231c8

 物語の終盤、キャサリンの書いた記事に絵の得意なジャックが風刺画を描いた新聞を印刷してニューヨーク中のニュージーズたちに配ったことが、「ニューヨーク・ワールド」紙のオーナー、ピュリツァー氏の卸値価格値上げを知らしめることになりニューヨーク中のニュージーズのみならず他の職業の人たちも団結してストライキを起こします。翌朝にはニューヨークでは働いている人が誰もいないという状況をつくりだしてピュリツァー氏を追い込んでいきました。ピュリツァー氏のオフィスに乗り込んで自分たちの生活と権利を守るために堂々と交渉する17歳のジャックの姿がとても美しいと感じました。
一幕で警察に捕まってしまったクラッチ@松岡広大君がジャックに送った手紙に描いた感化院の劣悪な環境を描いた絵が、のちにアメリカ大統領となるルーズベルト知事に少年たちに対する暴力があることを知らせることになりました。こうして文章と絵を通して伝えるということには社会を変える大きな力があるのだということをあらためて深く思いました。古い印刷機がおかれている建物の管理人のお給料は20年かわっていないというキャサリンの台詞、日本は30年かわらない?どころか、社会保険料と税金は上がるばかりなのでむしろさがっている?のでリアルすぎて笑えないと思いました。

 知事は『1789バスティーユの恋人たち』でルイ14世を演じてミュージカルファンから陛下と呼ばれる増澤ノゾムさん。小池先生がプログラムへの寄稿で紹介している「目を星に向け、足を地に着けよ」という言葉、噛みしめました。修道女とピュリツァー氏のオフィスで働くハンナの桜一花さん、最近オンデマンド配信の映像ではなんどか拝見していますが生では初見、ものすごくお顔が小さくて綺麗、素敵でした。ジャックたちを応援する、劇場の持主で女優のメッダ@霧矢広夢さん、さすがのセンター力、パワフルさは男役出身の人ならではの力強さと思いました。ソロ歌唱がこれまた歌いこなすのものすごく難しいようにきこえましたが安定の歌声と色気。ニューヨーク市長はレミゼのファンテーヌが働く工場長の印象が強い田村雄一さん、白髪とお髭お似合いでした。そしてなんといってもピュリツァー氏@松平健さん、徹底的な悪ではなく最後は手に唾を吐いて握手を求めてくるジャックに、汚いと言いながら自分も唾を吐いて握手を返して和解。フィナーレではジャックの前に登場されました。健さん、ある意味わたしと同じ立場の方、子どもを育てながらこうして仕事を続けている姿にあついものを感じないではいられません。

 加藤清史郎君@ディヴィ、父親が失業したので新聞売りを始めたにすぎず最初はジャックたちの前で小さく遠慮気味になっていたのがだんだんとジャックに感化され熱くなっていくところの気持ちの変化をていねいに描いていると思いました。ジャックが姿を消してしまい、ジャックのかわりにニュージーズたちの集会でジャックのカリスマ性を真似て演説しようとするけれどちょっと今いちかなみたいなところなんかものすごく細やかでほんとにうまい。スポットライトが当たっていないところでもディヴィとして動き続けていてオペラグラスで追っていました。ダンスシーン、ものすごくがんばるっているのだろうけれど生まれ持った身体能力も高いのでしょうね。『スマイルマーメイド』以来の清史郎君の舞台、嬉し過ぎました。いつのまにかジャックがディヴィに支えられるようになっていく、そんな二人の関係性の流れがものすごく自然で素敵でした。ジャックとディヴィの二人で歌うシーンが二幕の終盤にあったと思います、二人の声のハーモニーが素敵でした。

 大我君、ほぼ出ずっぱりでダンスも歌も多く、ものすごいエネルギーが求められる立ち位置。公演日程が終盤に入り、昼公演をやったあとでさすがに疲れているのか、カーテンコールで最後一人で登場した時すごい技を披露したいけどやめておこうっていう感じで前回りを一回。客席、スタンディングオベーション。

 オケピットをニュージーズたちが出入りする舞台装置の一部として使っていてオケのみなさま、どこで演奏されていたのかな。舞台の後方?お姿は全くみえず最後に大我君が紹介してモニターでようやく登場。踊る指揮者塩田明弘先生、投げキッス。先生のノリノリの背中をみることができなかったのは残念ですが生演奏、本当にありがとうございました。

 もう一回みたいですが一度だけでも観劇できたことは心の宝物。二階席てっぺん、階段に東京宝塚劇場のような手すりがなくてちょっと焦りましたがオケピットから舞台の奥まで全体がよくみえました。4,500円の幸せ、ありがたいかぎりです。








 ここに書くことではないのかもしれませんが、日本の10代、20代、30代の死因の第一位は自殺、厚労省のHPにでています。著作権とか経費とかむずかしい課題がたくさんあると思いますが、躍動する若い力と彼らを支える大人たちがつくり上げる舞台、配信やCDで一人でも多くの若い人に届くようにとここから願います。

令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf


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