行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

NUMMI(ヌーミー)は見捨てられるのか

2009-06-30 18:19:17 | Weblog
再建中の米ゼネラル・モーターズ(GM)は29日、トヨタ自動車との米での折半出資による合弁会社「NUMMI(ヌーミー)」(カリフォルニア州)から撤退すると発表した。私は1990年11月、日米構造協議の結果、持たれた労働者の能力開発についてのシンポジウムに産官学代表チームの一員として渡米した折、ヌーミーを訪問し、州政府の支援による労働者訓練の実情について調査した。元はGMの工場であったのでUAW(全米自動車労組)が組織していた。

この合弁会社はトヨタ生産方式を取得するのが目的であったが、当時のGMはそんなことはおくびにも出さず、トヨタの北米投資を助けてやるといったあんばいであった。日米貿易摩擦が激しかっただけにヌーミーは産業界での日米協調の象徴とされて、それなりに評価されてきたが、思いもかけないGMの倒産により風前の灯火となった。

5000人いる従業員はどうなるのか、UAWが組織化しているだけにトヨタは難しい立場に立たされた。これまでトヨタは労働組合の組織化を北米の全ての工場で阻止してきた。この路線を取るとなるとヌーミーは解散となるが、一方UAWにとってみれば、ヌーミーを存続させ、トヨタの他の工場の組織化を狙いたいのは間違いない。オバマ大統領はこれまでの共和党政権と違いUAWをバックアップするだろう。

金融危機が原因であることは自明であるが、GM倒産に賛成したのは社債保有の債権者だ。彼らはCDS(倒産したら保険金で債権を補償)というデリバティブで債権を確保するためにはGMを倒産させることが必要だったのだ。ヌーミーの従業員にとってはやりきれない事態だ。
ジョージソロスが言っているようにCDSは企業再建にとって危険だから禁止すべきだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする