行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

フィリピンの闇

2009-12-07 23:21:24 | Weblog
フィリピンミンダナオ島、マギンダナオ州知事選挙で現職の対立候補側や記者ら57人が殺害されたというニュースを聞いてセブ島でのミツミの事件を思い出した。報道によると国軍と国家警察は7日までに、殺人や反乱の疑いで一族のリーダーで州知事を3期務めたアンダル・アンパトワン氏のほか、息子の現州知事ら62人の身柄を拘束。一族の敷地などから自動小銃や迫撃砲など883丁の武器と、約43万発の銃弾を押収した。国軍や国家警察から横流しされた武器も確認されており、銃弾の約1割は軍や警察の印が記された箱に入っていた。

州知事が私兵を持つとは法治国家とはほど遠い実態だ。フィリピンは農地改革がされず地方の地主の力が強く中央政府の統治が及ばないことが多い。この州知事とアロヨ大統領とは親しい関係の中で国軍がよく関与できたと思うくらいだ。

1990年代後半、日系企業のセブミツミに労働組合を作る話がフィリピンの労組からでてきた。日本のミツミ労組や上部産業別組合の当時全金同盟(現在JAM)がフィリピンで支援活動をし、当時金属労協の事務局長として逐一報告を受け、私もマニラへ飛んで現地組合からも情勢を聞いたことがあるが、絶対にセブミツミのあるダナオ市には行ってはならない、命の保障はないと言われた。

フィリピンは東南アジアの国の中でILOの結社の自由条約を批准している少ない国の一つだ。しかしダナオでは反労組派ドラノ市長がすごい権力を持っていて、組合承認の投票(従業員の過半が賛成すれば労働組合が法的に結成される)の日、警察が道路を閉鎖し、従業員が工場へ行くことをストップさせ投票ができなかった。このあたりは拳銃が5000円も出せば買えるし警察は市長の支配下では命の保障も無いことは明らかだ。セブミツミには今でも結社の自由も団結権もない。
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