大震災から復興のトレンドに何とか乗ろうとしている企業にとってこの円高は大変な事態だ。私のような年金生活者は物価は安くなるし、国際商品のインフレ傾向を中和してくれるし、デフレが続くことは悪くないと思える。しかし、この長期にわたる円高はボディブローのように日本経済を弱くし、気がついた時は高失業率となっている。
特にリーマンショック後の円高は100円台からじわじわと進みついに70円台になってしまった。特に、近隣の中国や韓国との為替については油断しすぎていたのではないだろうか。かつては円と元は1元=15円くらいで中国の発展を考えると20円ぐらいになるのではとさえ思った。中国政府はかたくなに固定相場を守り、元安政策を続け、今や12円、これからの有望市場と目されている太陽光パネルや蓄電池で、中国の企業は急速に競争力をつけている。
韓国のウォンについては1ウォン=0.1円というわかりやすい相場だったが今では0.074円ウォンになり、電機・電子メーカーサムソンがパナソニックを超える企業になった。液晶の先端を行っていたシャープも韓国メーカーに対抗できず失速している。
経済学で学んだ為替ダンピングによる近隣窮乏政策を地でいっているようだ。自動車メーカーは何とか海外生産で乗りきっているがそのため、海外生産比率は日産、ホンダでは7割を超えている。トヨタもこの震災を期に海外生産比率を急ピッチであげて7割に近づいている。
これらの意味するものは雇用の縮小を通じての日本経済の弱体化だ。電力不足には大騒ぎして対応しようとしているが、円高については危機感無しの政府だ。