北イタリアを旅すると、経済危機をむかえている切迫感がない。ベローナ、ボルツアーノのような都会でも物乞いやアル中の類は見当たらない。辛らつな人はイタリア人は残業せず早く家に帰り、アルバイトに精を出し、その分は一切税金を払わないのが普通という。また、観光地は入場するだけで観光税を徴収する。ベローナは観光バス1台30ユーロ、ドロミテ地方の人気トレッキング地、トレ・チーメに至っては100ユーロをとる。このトレ・チーメの属するアウロンゾ村は森林資源にも恵まれ、実に豊かである。
イタリア経済が危機に瀕し、失業率が10%を超えているがコルティナ・ダンペッツォ地域は金融危機でも観光客は世界中からくるので、影響はないと山岳ガイドは言い切っていた。国の経済は苦しいが個人や地域によって豊かさが違うという構図は、消費税を21%(秋には23%を検討)にしても財政危機を解決できない。
新聞(こちらで読めるのはフィナンシャル・タイムズぐらい)ではユーロ危機脱出への小田原評定が続く中、メルケルは仏大統領がオランドに代わってからイタリア・スペイン連合に押されているが、欧州共同債だけは頑として受け入れないといった悲観的な記事に加え、スロベニアも財政赤字がGDPの49%に達し助けを求めるのではとか、アイルランドが欧州経済停滞で輸出が伸びず回復がとん挫している。ルーマニアも危ないといった具合だ。モグラたたき現象が起きており、鵺のような欧州経済だ。
悔し紛れに、欧州に気を取られているが、米国経済は失業率も8%に高止まりしており、欧州以上に危ないと評するエコノミストもいる。