国の中央最低賃金審議会が25日、今年度の都道府県別の最低賃金(時給)を全国加重平均で7円引き上げる目安を示し、試算では全国平均額は744円となる見通しとの報道。時給744円だと1日8時間、月20日働いたとすると一ヶ月の賃金は119000円で厳しい水準だ。
大きな問題となっている最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転現象」は11都道府県で起きているが、この目安では北海道と宮城県は解消されない。
かつては、正規労働者の賃金増が最低賃金に反映されていたが、春闘のベースアップがほぼなくなり、最低賃金が適用される非正規労働の賃金増は7円という結果になったということだが、非正規労働者の比率が35%を超え、大型小売業での女性パート労働者が増え、最低賃金の重みは増している。更に個人消費への影響も大きくなっている。
また7円の結果には、中小企業経営側の大幅増反対への強い働きかけがあったことは間違いない。この背景にはグローバル化があり、中小企業のライバル韓国、中国、東南アジア諸国の賃金水準をかつてない程意識し始めているのではないか。隣国韓国は特にウォン安に加え、最低賃金の水準は時給で340円、月給で7万円と極めて低い水準だ。
小宮山洋子厚生労働相は国会で、最低賃金全国平均を2020年までに時給1000円に引き上げるとした民主党政権の目標を達成するのは困難との認識を示した。非正規労働者への格差解消を掲げた民主党、連合の努力が不足しているとしか思えない。