行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

貿易赤字はものづくりを怠ったたたり?

2014-01-29 23:14:45 | Weblog

財務省が27日発表した2013年の貿易収支は過去最大となる11兆4745億円の赤字で、3年続けて輸出額が輸入額を下回った。対ドルで2割以上の円安となったが、輸出量は前年比1.5%減った。13年の貿易赤字は前年に比べて約4兆5千億円増えた。原発稼働停止に伴い燃料の輸入が増えたことが2兆8千億円強の悪化要因と強調する報道だが、それが無くても1.7兆円も赤字増となった。日本が金持ちになり、自分でものづくりをしないで他国に造らせたつけが回ってきたとも言える。

地域別に見ると、中国やアジアからの製品輸入増での赤字が特徴的だ。特にiPhoneに代表されるスマホなど24.6%も伸び、ユニクロに代表される衣類も21.1%の伸びだ。かつて貿易黒字の稼ぎ頭電気機器は生産の海外移転に拍車がかかり13年の貿易黒字が約1兆7千億円と、前年より約1兆2千億円減った。テレビに至っては98%を輸入しているし、大型白物家電の冷蔵庫や洗濯機もメーカーによっては9割輸入というから驚く。

スマホにしてもテレビにしても日本で製造できるのに他国に造ってもらっている。大型白物は遠距離を運べば燃料も使い環境に悪いにも拘わらず、利益が少しでも出るというだけで円高時代に国内生産を止めたようだ。大型白物は頑張って国内で製造しているメーカーもいるだけに残念だ。

対照的に頑張っているのは自動車で、約9兆3千億円で黒字額を約1兆円も積み増した。前にもブログで紹介したが、富士重工は円高時代でも競争力のある車を米国に輸出し、昨今の円安で史上最高益を出している。安易な海外生産依存は「ものづくり日本」を堕落させるだけでなく、海外生産国の労働者を搾取(イヤな言葉だけど)していることにもなる。稿を改めるが、バングラ、カンボジャ、ミャンマーの労働者の月例賃金は10000円以下だ。

世界の基軸通貨たる米ドルと違って、円は安くなればただの紙と化す。学者の中には資本収支で穴埋めすれば問題ないというが、やがて経常収支が赤字に転落すれば超円安が進み、インフレが輸入され、国民生活への影響は計り知れない。豊かになったかに見える日本だが第3次産業だけでは花見酒の経済となり、海外投資の揚がりだけでやっていけるか?

米国でさえ、製造業カンバックとオバマ大統領は叫んでいる。アップルも米国に工場をつくると言い出した。シェールガスの生産開始で米国化学産業は活気づいている。
日本の経営者諸君将来の日本を考え、日本人の得意技「ものづくり」を再考して欲しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする