行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

ベースアップとベースダウン

2014-01-25 23:49:18 | Weblog

デフレ脱却の鍵は企業の投資増か個人消費支出にしぼられてきたようだ。日本企業の余裕資金は預貯金を見ると200兆円をこえ、世界の先進国でも突出している。米国だったら株主が大騒ぎするところだ。設備投資にしても、安部首相が訴えている賃金増にしても企業次第という流れだが、最近の主要企業労働組合のベースアップ要求はおおむね1%強で定期昇給的なものを含めると3%ぐらいの賃金増のようだ。ベアの金額は自動車総連の要求を見ていると3500円から4000円とかなり実現可能な要求で、ほかの企業もおおむねこれに連動するだろう。

新聞報道もエコノミストのコメントも、ベースアップには言及するが、一方のベースダウンには触れてなく、国民の大多数は当事者でないとベースダウンて?と思われるだろう。それは国の年金のベースダウンがすでに始まっていることで、昨年の10月から1%ダウン、今年の4月からさらに1%、27年4月から0.5%ダウンが予定されている。200万円年金をもらっている人は合計5万円のダウンとなり、月額では4000円をこえ、ベア金額に匹敵する。

これまでのデフレで物価が2.5%下がっているのに年金は据え置いたので、昨年10月から調整をすることになったわけだ。年金受給者は人口の2割を超え、年金はそのほとんどが消費に回されることからデフレ経済の底割れを防いできたことは事実だ。今回のダウンはデフレ脱却の支障になるのではないか、4月以降の消費税アップと重なり、個人消費の行方がどうなるか?ベースアップが行き渡れば消費税増もカバーできるとするエコノミストが多いが年金生活者消費の行方まで考慮に入れてないのではないか?

付言すれば企業の投資にしても、先日のサントリーの米国ジーンビーム社買収のように、余裕資金を外国企業買収に使ってしまえば国内での雇用増には影響しない。4月以降の日本経済の行方が心配だ。

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