稀勢の里の横綱昇進がかかった初場所、前半でその期待がなくなり、多くのファンをがっかりさせた。中には稀勢の里の横綱土俵入りは不知火型になり、現役横綱全員が同じ型となる相撲史上初だと気の早い予想もする解説者もいた。
しかし、連日満員の場所となったのはザンバラ髪の遠藤と鶴竜の健闘にあった。前半では遠藤の快進撃に注目が集中した。かつての千代の富士ばりの足を高く上げる四股は絵になり、それは体が柔らかいことを示し、土俵際での逆転勝利が何番かあった。後半ではいつの間にか優勝候補に躍り出てきた鶴竜、注目してみると体重が増え、強くなってきていた。稀勢の里の陰に隠れた感があったが、千秋楽では白鵬の全勝を見事阻んだ。
場内を沸かせた優勝決定戦、白鵬、鶴竜とも同じ右四つではあるが、白鵬は左でも取れるので、左四つに組み止め、巻き替えようとする鶴竜をなんなく寄り切り、格の違いを見せた。しかし、鶴竜の気迫は素晴らしく、来場所は稀勢の里に代わり綱取りの場所となる。
大相撲の中継、いつもだと後半の取り組みが始まる5時ぐらいから見るのだが、今場所は幕内から見ようと4時にはテレビ桟敷に座り込んだ。それは遠藤も魅力はあったが、エジプト出身の大砂嵐の豪快な力相撲と一本背負いも出て来る小型力士、里山の俊敏な動きが魅力だった。里山、勝ち越しをかけた千秋楽、相撲には勝ったが、相手力士の髷に手がかかり、反則負けとなった。「勝ち越して技能賞」のはずがフイになり来場所は十両、32歳の里山にとっては悔やみきれない一番だった。