最近のベトナムの経済は好調そのもの、通貨ドンも他のアジア色の通貨が下落しているのに上昇中だ。貿易黒字も拡大しているが、日本の企業の製品ももちろん寄与しているが最大の寄与はサムスンのスマホの輸出で、これまで最大の輸出品、お米をスマホが上回っている。そうしたベトナムを視察してきたマスコミ界の重鎮A氏から自ら撮影をしたビデオを披露しながら最新事情を聞いた。
購買力平価による1人当たりのGDPは3000ドルに近づいているためか、暮らしぶりは総じて豊かだ。ハノイやホーチーミンシティのオートバイの洪水は相変わらずだが、ホンダ製品が4割を占めるようになり、オートバイの性能はかなりレベルアップしている。
10年前、国際労働財団の仕事で私が訪問したとき、皆ヘルメット無しでオートバイを乗っていた。ヘルメットは法制化すべしと提言したが暑いのでどうかと言われた。今回ビデオで見る限り殆どのライダーがヘルメットを着用していた。
世界遺産のハロン湾観光の船も大型のクルーズ船も誕生し、観光船全体が一新したようで、ここでも発展の様子がうかがえる。A氏はハノイからミトまで南北を旅行したが、フランス軍を破ったディエンビエンフーからベトナム戦争の激戦地フエ、ダナン、ホーチーミンと戦跡を見てきたが、現代のベトナム戦跡ではフランス人や米国人の観光客も訪れ、ベトナムも歓迎しており、ベトナム人のリアリストぶりが印象に残ったとのこと。
しかし、過去の歴史はけして忘れていない。かつて日本軍が占領したとき、米を徴発し、100万人が飢餓に追い込まれた事実を日本人は忘れているが、彼らはそのことにあえて触れずに未来志向を目指している。
現在の紛争地、西沙諸島、南沙諸島では中国に対し、領有権を主張し断固とした態度を取っている。ベトナム内の地図では必ず両諸島は自らの領土としいる。
アジアではベトナム人の勤勉さはトップクラスであるが、共産党特有の官僚組織と賄賂慣習が今後の発展への阻害要因となる。
大日本帝国軍の爪痕がアジア各国であることは事実であり、歴史認識の問題ではない。安部首相も各国訪問時にはその事実を認識すべきだろう。これから援助を拡大するミャンマーでも、ただばらまくだけの援助だと、金の切れ目が縁の切れ目となる。
先日の朝日歌壇で次のように歌われていた。「無謀なる戦起こした戦犯を英霊達は赦すだろうか」(志摩市、九鬼英夫)英霊をアジア人と読み替えて見た。