厚生労働省は2013年9月、1カ月にわたって疑わしい企業を初めて調査し、その結果を公表した。まるで日本の労働現場は無法地帯のようだ。
同調査によると、全国労働局による過去の監督実績や離職率の高さなどを基に、違法が疑われた5111社(厳密には、事業場数)のうち実に82%に相当する4189社で、違法行為が横行していることがわかった。典型事例として目立ったのは、依然、「名ばかり管理職」が横行している点だ。名ばかり管理職とは、十分な権限・報酬がないのに管理職扱いされることで、残業代を支給されない従業員のことをいう。驚いたことにある企業では、半数程度が20代にもかかわらず、正社員の7割を係長以上の管理職(管理監督者)として取り扱い、残業代を払っていなかった。
今回の調査では、日本全国にある約427万社(事業場)の0.1%をサンプル調査したにすぎず、過酷な事例も氷山の一角だろう。このため厚労省は、監督姿勢の強化を継続する構えだが、問題は、企業を指導・監督する労働基準監督官は約3000人しかいないことにあるが、国の基準監督署にブラック企業を全て監督是正を要求するのは無理だ。
解決策として、地域の連合の組織など労働組合の駆け込み窓口が全国にあるので、そこを活用すべきだろう。多くの専門家が日々電話相談を受けている。また、若い人に馴染みのない労働基準法を国は全国紙で判りやすく紹介するなど、方法はいくらでもある。
思いつきだが、途上国では六法全書が手に入りづらく労働法を知らない人が多いが、日本では本屋へ行けば労働法の解説本が手に入る。しかし、難しい法律の本を買おうという若い人は多くない。厚生労働省はスマホのアプリで労働基準法解説を作り無料で配布するのはどうだろう。国でやらなければ、連合でやることを提案する。