バンコックの騒乱は、選挙日の今日、かなりの死傷者が出ていると現地の新聞は伝えている。昨年末から新年にかけてプノンペンでも反政府デモで4人の死者が出て、雲行きが怪しくなってきた。昨年の7月末の総選挙(下院、123議席)で、与党人民党が68議席、野党救国党が55議席と予想以上の野党の健闘となったが、選挙結果に不正があると国際NGOを含め野党は厳しく政府を追及してきた。この時の選挙公約に最低賃金のアップを与野党とも掲げたことから政府は9月に5年後2018年最低賃金を160ドルにと政労使会議で発議した。
これが結果的には労使、与野党の対立を大きくした。繊維縫製産業の労働側は2014年から月160ドルに、経営側は100ドルを主張、労働側は生活費は200ドル以上かかることを根拠に、経営側は繊維縫製業の最低賃金はバングラデッシュ、インド、スリランカなどに比べ高く、ミャンマーもこれから強敵になると強行だ。昨年末、野党による反政府デモ、集会がプノンペンで行われた際、繊維縫製業の労働組合も参加したが、治安部隊による労働者を狙い撃ちにした銃撃で死傷者が出たことから対立はより深まった。
バングラデシュでの昨年4月24日に起きた8階建てビルの崩壊事故は、1127人の繊維縫製工場労働者が亡くなる世界最悪の産業事故で、私たちの着ている衣服がどうゆうところで生産されているか明らかになった。崩壊したビルの労働者の賃金は、月37ドル(約3591円)から50ドル(約4852円)で、北京の約8分の1、ニューデリーの4分の1程度で、このビルにはイタリアのベネトンの下請けやH&M、ZARA、GAPなど、世界の有名ブランドが最低水準の賃金を利用していた。日本のユニクロやスーパーも同じ条件でバングラで生産している。
それぞれの国に国際労働組合組織は調査団を派遣し、カンボジャでも銃撃の犯人と責任追及をしているが、フン・セン首相の対応が悪いと更に混乱は大きくなるだろう。
アジア縫製産業の最近時の最低賃金はバングデシュの縫製産業の最低賃金今年から、月額約68ドル(約7129円)、インド71ドル(約7444円)、スリランカ73ドル(約7654円)、ベトナム79ドル(約8283円) 。なお、ベトナムは2014年から最低賃金を地域別に14%~16%程度引き上げる予定である。
詳細は国際労働財団のメルマガに書いたので参照してほしい