闇市で3俵の米を元に商売をはじめため以子は浮浪児にもお焦げを分けていた。ついに今日の場面では警察の手入れが入り、貴重な米を没収され怒っため以子は警官を突き飛ばして逮捕される。その場面で歌舞伎役者のように啖呵をきった。正確ではないが「子供を戦地に送り死なせ、家は焼かれ、食糧もない、せっかく手に入れた食糧まで国は奪うのか」と、為政者に戦争責任を的確に追求した庶民の声だ。
この場面、経済学的に解釈すると統制経済は旨く行かず、自由市場(当時は闇市)の方が庶民には有り難かった。戦争直後、食糧不足は闇市が補った。超真面目な警察官だったか公務員が闇市から食糧を調達せず栄養失調で死んだこともニュースにあった。貧乏人は麦を食えといった国会での池田大蔵大臣の答弁はズーと後1950年になってからで、今日のめ以子の場面では麦さえも充分配給されなかった時だ。
夜の番組「東京が戦場になった日」は3月10日の東京大空襲の模様がリアルに描かれたが、死屍累々とした現物写真を加えてほしかった。それは10万人の死者が出た日で、装備も不足しながら決死の消防隊の無力さ、無念さが無謀な戦争に突入した為政者に対する怒りが感じられた。私がその後の5月の空襲で焼け出され、九死に一生を得たからで有ろうか?