行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

日本経済の意外な変化

2014-03-01 23:33:26 | Weblog

最近の経済統計が発表される中でおやと思うことがある。戦後の経済史での常識が変わってきたのだ。
内閣府は昨年12月に2012年度のGDP確報値を実質で前年度比0.7%増と、それまでの推計値から0.5ポイント下方修正した。その大きな原因は公共投資を実質14.9%増から1.3%増へと大きく下方修正したのが主な理由で、市場関係者の間では、GDPの精度を疑問視する声が出た。背景はこれまで不景気になると公共投資と唱えていたが、業界の能力不足で消化しきれない事態になっていることが明確だ。特に建設土木に携わる若い人の量と質が低下していることは明らかだ。

もう一つ、内閣府が28日発表した企業行動に関するアンケート調査によると、今年1月時点での企業の採算レートはドル円ベースで全産業平均で92.2円となり、安部・黒田コンビによる円高是正が企業収益に寄与したことが判る。業種別では輸送用機器が92.4円と、電機は89.7円の採算レートとなった。ところが1月の貿易統計は円安にも拘わらず輸出が伸びず史上最大の赤字で、これまで円安になれば輸出が伸びるという定説は覆った。その原因は海外生産が定着してしまったことで、日本に生産ラインが戻るというのはあまり期待できない。海外生産比率は、12年度20.6%、13年度見通しは21.6%に上昇見通し。

円安がエネルギー資源輸入品の価格を高めることは従来どおりだったが、それ以上に意外だったのはスマホ、PC、テレビ、白物家電品といった日本のお家芸だったものの輸入が増えて、円安効果で貿易赤字を増やしたことだ。当然、GDP成長率は貿易赤字で低くなる。

内閣府の調査では2014年度の実質経済成長率見通しは全産業で1.3%となった。が頼みの綱は個人消費のようだが、春闘でのベア実現が中小企業にまで及ぶことがますます重要になった。

今年の予算は95兆8000億円を超える史上最大の金額だが、消費税対策と言って、消化できるか判らない公共投資の大盤振る舞い(6兆円)をやろうとしている。むしろ低所得者への給付金を大盤振る舞いすべきなのだが、先祖返りで公共投資増の合唱となり、日本経済は袋小路に入ってしまったのではないか

 

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