金属労協傘下産業別労働組合の一斉回答が昨日出された。金額は小さいが久しぶりのベースアップ実現で新聞の一面で取り上げられている。中には勘違いか史上最高額のベアといった報道も見られ、かつては10000円のベアが普通であったことなど記憶の彼方になってしまったようだ。
かつては春闘相場という言葉があって、金属労協が相場作りの先陣を切ったが、今回はどうだろうか?トヨタ2700円、日産3500円、ホンダ2200円、電機2000円、コマツ3600円、鉄鋼・造船1000円(来年も1000円アップ)というベアの回答から相場形成の数字は見えてこない。しいてあげれば電機の大手(日立、東芝、三菱、パナソニック、富士通、NEC、富士電機、沖、安川、明電舎)が2000円で揃えられたので2000円が相場か?。金属労協では各組合12日回答の平均1750円を発表しており、今後の中小組合の回答引き出しの目安としている。
電機2000円のベアは30歳開発・設計者のベアであり、自動車のベアは組合員平均での数字で、トヨタの場合定期昇給部分が7300円でベアが2700円合計10000円、日産はベアは満額3500円で定期昇給部分6000円合計9500円のそれぞれ賃金引き上げとなる。基準となる賃金が年齢ポイント個別賃金、平均賃金といった具合に異なることも相場を判りづらくしている。電機は産業別最低賃金の改善も従来から行っており、今回は1500円のベア回答があり、これは高卒初任給のベアであり、非正規社員の時間給アップ(10円~20円)につながる。
今後の課題は中小企業の賃上げにどうつなげて行くかだが、ベア額では判りづらいがベア率を参考にしたらいいだろう。電機やホンダは概ねベア率0.64%でトヨタは0.78%日産は1%とばらけているが合計の賃上げ率は3%弱ぐらいだろう。