ゴッホの絵ではしばしば浮世絵の模写が入っていることは周知だと思う。またモネのジベルニーにある家を訪れた時には、おびただしい浮世絵が掲げれていたので、浮世絵がフランスの画家達に大きな影響を与えたことはジャポニスムというフランス語があるくらいだから知っていた。
しかし、今回の世田谷美術館におけるボストン美術館のジャポニズム展で、浮世絵はフランスだけでなく英、米、ノルウェーの画家にも影響を与え、単なる模倣の段階でなく、絵の構図に画期的な影響を与えたことを知った。浮世絵の俯瞰、遠近法、格子型などの構図がロートレック、ボナール、ムンク、ピサロといった作品に影響を与えていることを展示している。これだけ体系的に浮世絵のインパクトを説明した展覧会はこれまでになかった。
ジャポニズムの発祥はパリ万博で幕府と薩摩藩が競って日本文化を展示したことからで、国際交流の大切さを再認識すると同時に、ボストン美術館のコレクションの素晴らしさはフェロノサ、岡倉天心といった先達の努力に頭が下がる。今、クールジャパンを喧伝しているが浮世絵のインパクトのような可能性があるのか自分には判らない。このジャポニズム展では広重、北斎、歌麿が偉大な芸術家であったことを改めて知ったが、現代の広重、北斎、歌麿が出て来るのはいつのことだろうか。
このジャポニズム展に向けて修復し、色鮮やかになったモネの妻カミーユをモデルにしたラ・ジャポネーズ