中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディング19日、ニューヨーク(NY)証券取引所に上場し、公開価格の68ドルを大幅に上回る92.7ドルの初値をつけた。
時価総額は2285億ドル(約23兆円)、アリババは218億ドル(2.2兆円)を調達したことになる。ファイスブックの時価総額2000億円を超え、アップル、グーグル、マイクロソフトに続く規模でトヨタを上回る。会長のマー氏は一介の英語教師から1999年に起業し、今や中国一の富豪となり、出身地の杭州ではアリババに続けと、今やマッシュルームのごとくインターネット関連の起業ブームとなり、アリババの株を持った元従業員は大金が手に入り、それを元手にさらに投資を拡張するというまさにチャイニーズドリームを地でいっている。
日本でも、アリババの株を32%所有するソフトバンクは含み益だけで8兆円、時価総額が9兆8000億円だからいかに大きな金額かわかる。ソフトバンクの株価も急騰した後、昨日は利益を出そうとする動きから533円も下がり、日経平均株価を60円下げ、東証もアリババの影響を受けた。
米国企業以外でこれだけの新規上場規模はなく、歴史的なことだが、現在の金余り現象が背景にあることは否定できない。それにしても共産党一党支配の中国で何故このようなモンスターが出てきたのだろうか?中国の企業の銀行、鉄鋼、石油、鉄道など基幹産業大手は国営企業で独占されている。民間の中小企業がのし上がるにはインターネットを利用した通販しかなかった。高度成長を背景に13億人の巨大市場だから実現できたと言え、経団連が今週200人の企業トップを引き連れ、中国へ乗り込むのも無理はない。
しかし、アリババは中国で成功したが今以上の発展には、アマゾンなどライバルとの厳しい競争が待っている。また、ドル供給の引き締めというリスクもあり、今の膨らんだ株価を維持できるか疑問だ。
もう一つのリスクは、法なき一党独裁では政治リスクもある。ロシアでは富豪が政権ににらまれると逮捕され、資産を没収(最近の例だと90億ドル)されている。アリババは習近平とはうまくやっているようだが、政権が変わるとどうなるか。