2年前、消費税アップの前提とした「衆議院の定数を是正して違憲状態を解消する」が実現しないままで解散しようとしているが、大義名分を見つけられない。そこで高村副総裁はアベノミクスを問う「念のため解散」だと言い出した。ついこの間、高村氏は集団的自衛権は違憲ではないと砂川事件判決をもちだしたことを思い出した。老練な政治屋らしい発想だが「念のために」国費700億円を使って選挙とは国民1人あたり800万円の借金を抱える国のやることだろうか
アベノミクスについては大方、第3の矢である成長戦略や構造改革が出来てないというのがコンセンサスだ。昨日勉強会で専門家をよんで、アベノミクスの是までの成果と誤算を議論したのでまとめてみた。
成果
日銀の異次元緩和と巨額の財政支出で、国内外の市場にサプライズと期待を与え、株高、円安をみちびき90兆円の家計部門に資産効果をもたらした。この資産効果は高額品の消費増と税金増をもたらす。
誤算
円安で輸出が伸びることになっていたが、低迷、一方輸入が増大し、差し引きの純輸出はマイナスに、そして国内設備投資が伸びない。円安は交易条件を悪化させ、いまやコストプッシュインフレをもたらし始めた。これはデフレ勝ち組の牛丼チェーンやマックドナルドなどの経営を悪化させた。
人手不足というボトルネックで公共投資の滞り
消費税増税で中小企業、街角景気は悪化
増大する非正規労働者の賃金は伸びず、実質賃金マイナスでスーパーやコンビニの消費低迷
残された課題
証券投資は外国のファンドが主体、2013年の証券投資額増25.5兆円の内訳、外国からの投資は33兆円、日本から外国への投資は8兆円、ほとんど短期資金なので引き揚げられたとたんに証券市場は暴落となる。最近の東京証券市場の17000円台急騰場面でもほとんど外国からの買いで、日本人は売っている。北欧などの年金資金は長期資金なのでここへ売り込むことが必要
日銀は出口戦略をどうするか誰も思いつかない。金利の高騰は避けなければならない。
潜在成長率が0.7%としていたが実際は0.4%、労働人口1人あたり生産性は米国を抜いて世界トップクラス、これからは高齢者活用、女性活用、移民などの対策