EU離脱か残留かを問う英国の国民投票は、離脱派の勝利となった。その後の調査結果では予想どおり若者は7割近くが残留支持、シニアが離脱というか独立支持といった内容だ。地域別にはスコットランドが残留を選び、イングランドが離脱を選んだという図式、英国はまさに国を分断する事態になり、スコットランドが独立したら歴史から大英帝国がなくなる事態になる。つまり皮肉にもスコットランドが英国からの離脱か残留かという局面になる。英連邦があるから大丈夫といった珍説に近いことを説く専門家もいるが、先ずスコットランドの離脱を防げるかということの方が切実だ。
不確実な要素が多いが、英国の影響力は小さくなることは間違いない。従って世界経済の安定化にはEUの動向が重要だ。EUがこれを期に結束が固まれば、数年かけても財政の統合化が進み、ユーロの安定に繋がり、世界経済も落ち着いてこよう。しかしEUの今後の展開を予想するのは難しい。オランダ、フランスでもイタリアでもEU分離の動きが芽生えているからだ。特にイタリアではEU懐疑派の革新政党「五つ星運動」に属する女性候補ビルジニア・ラッジ氏がトリノに続き、ローマ市長に当選したからだ。2018年に総選挙があり、汚職撲滅、縁故主義反対を唱える「五つ星運動」がどのくらい国民の支持をとるかだろう。EU加盟国で離脱が起きれば、世界経済は長期にわたり、不安定になり、不確実性が増すことになる。
我々庶民の生活とは遠いところの話だが、株価は何故か異常に反応し、円高になっている。円が安全資産と解説され、円買いで円高になるとの理屈だ。ユーロが下落すると、欧州のワインとかチーズが安くなるし、良いことしか浮かんでこない。とりあえず成長より分配重視で格差を無くし、内需を拡大した上で、東南アジアとか中国、インドといった巨大マーケットを開拓することが狙い目で、歴史的にも世界経済が不安定になるとブロック化が進む。