先日3日のブログではみずほ銀行のマイナス金利対抗策を書いたばかりだった。本日は三菱東京UFJ銀行が国債入札の特別資格(プライマリー・ディーラー=PD注)を返上するとのニュースに衝撃が走った。3メガバンクが保有する国債は54兆円、その内三菱は28.3兆円とダントツの保有で、マイナス金利導入で損失を回避したいというのが理由だ。マイナス金利政策を背景に10年物国債の入札は最高落札利回りがマイナス0.092%と過去最低を更新しており、満期まで持つと損失が発生するからだ。
かつては日銀総裁(宇佐見洵氏)まで排出した三菱東京UFJ銀、日銀や政府には全面協力であっただけに、PD返上は今後の他行への影響が注目される。2000年に出版された幸田真音の小説「日本国債」では入札不調から大暴落の可能性を示唆したが、必ず新規発行の国債の大部分を買ってくれた銀行が買わなくなるとどうなるかという連想が働く、日銀が全て引き受けるという戦前の悪夢が蘇る。益々複雑になって行くマイナス金利政策は次に何が飛び出すか・・・・
注、プライマリー・ディーラー(国債市場特別参加者)とは一定の応札(発行予定額の4%)・落札責任が課されるが、国債市場特別参加者会合への参加資格や定率公募入札や買入消却入札への参加資格といった特別の資格が与えられる制度である。国債の入札はこの国債市場特別参加者(5月2日現在22社)を中心に行われるが、入札資格については246の金融機関が有している。