今回の問題で時代が変わると思える大きなシステムチェンジが示唆された。日本の就職システムが新卒・一斉採用が今回の問題の背景にあり、学生も企業もその既存システムの中で、最適解を求めようと必死になることから出てきた事件だ。このシステムはほころびだし、経団連もあがいている。
それにしても今回の情報化社会に潜む闇は深い。就活生は企業にエントリーするためにはリクナビなどの就職ナビを使わなければ、就職活動が行えない。報道によると、リクナビは、就活生のリクナビでの行動ログ(どの企業を閲覧、エントリー〈応募の申し込み〉したかなどの履歴)を使って、該当企業の前年の応募者の行動履歴とを照合し、その就活生が、昨年内定辞退をした就活生と同じような行動をとっているか、などを見て5段階にスコア化した。そして企業に対して就活生の内定辞退確率5段階スコアを提供するサービスを2018年3月から開始し、38社に提供し、1社当たりおおむね400万~500万円の利用料金を取っていた。
ホンダやトヨタが利用していると名乗りを上げたが、要は企業側が就職希望者の応募者リストをリクルートキャリア側に送り、リクルートキャリア側でスコア化した内定辞退確率を付加して、企業側に連絡しており、就活生はもちろん自分にスコアが付けられていることも知らずに面接を受けるわけだ。AIでスコアは付けられているとのことだが、そのスコアが就活生に確認することもないので、完全に正しいとは限らない。
特に問題なのは企業がリクナビに前年の応募者のデータを提供したことだ。データ至上社会での危険性はデータが闇の中で利用され、いつの間にか人間が被害者になっていることだ。いち早くその危険性に気がついたEUは規制に乗り出している。