人事院は3月1日、新型肺炎に関連して休まざるを得なくなった国家公務員について、正規・非正規を問わず賃金を全額補償することができるとの通知を行った。「出勤困難休暇」として、賃金の全額を保障することになる。総務省は自治体に対して「本通知を参考に適切な対応をお願いします」との文書を送った。自治体の場合、国と同様の措置が義務ではないため、今後、職場でどう実効性を持たせるかが課題となる。
一方民間に対しては、観光事業や緊急事態の北海道地域に対し、厚生労働省は雇用調整助成金で休業した労働者の事業者に大企業は3分の2、中小企業は5分の4支払うと発表している(注)。しかし、3月に入り、スポーツジムや飲食店が要件基準の売上げ10%減が続出することになるだろう。この雇用調整助成金は1970年代の不況時に導入され、終身雇用制の中で雇用を守るために導入され成果を上げたものだ。現在は非正規社員が3割を超えており、非正規社員への適用が重要なポイントとなる。非正規でもこの助成金で雇い止めが防げるか?雇用契約の延長がされない場合は雇用保険でカバーする方法も必要だ。
一方、コロナの影響が少なく経営は継続できる企業でも、UAゼンセン労組では感染が懸念される症状があっても、収入減などを心配して休めない労働者に安心して休んでもらうため、病気休暇制度の導入と国の助成も求めている。パート労働者は年次有給休暇の付与日数が少なく、休みにくいのが実情だ。企業が、感染の疑いのある労働者に有給で休暇を命じる「隔離休暇制度」についても普及対策を求めている。
雇用構造が多様化しており、特に非正規社員に目配りをした対応が必要で、かつての派遣切りのようなことは避けなければならない。
注、新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置拡大
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09941.html