本日、先陣を切って例年どおり金属労協の回答が大手組合で出された。輸出企業であり、かつ中国を中心に海外生産拠点を有する企業が多く、その成り行きに注目していたが、予想以上に労使が頑張ったという印象が強い。コロナショックで全く先行きが判らないで、輸出企業にとって厳しい円高の中で昨年より大幅な減でなく、大部分の企業で昨年並みで踏ん張った。
トヨタはベアがゼロだったが、電機などは軒並み1000円のベアを確保し、かつ産業別最賃も1000円増とした。特に目立ったのは、日立が1500円のベアと一時金年間6月満額を引き出したことで、経団連会長企業ということもあって景気への配慮も意識したのではないだろうか。
時代を感じたのは、パナソニックがベア1000円分の中、500円を確定拠出年金にまわしたことで、老後年金問題に、若い世代に関心を向けさせる取り組みで、春闘史上初めてだ。中小企業を多く組織しているJAMでは大手の組合がベア平均1624円のところ、組合員が300人未満の労組は月1752円、100人未満は同2000円のベアを獲得し、人手不足の折、賃金格差を少しでも埋めようとした姿勢が読める。
交渉の中では、「人への投資」もテーマともなり、今更感がするが日本企業労使の伝統を再認識してほしい。非正規社員への取り組みも交渉で話し合い、電機では産業別最賃だけでなく企業内最賃も決めてることは評価できる。景気は確実に悪化するので、これから妥結する組合もこの先陣を切った回答を上回る結果になれば、個人消費の落ち込みに歯止めが掛かることを期待したい。