行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

政治利用されるコロナワクチン開発、製薬会社は反発

2020-09-09 18:20:53 | 災害

ワクチン開発競争も9月に入り、佳境となってきた。しかし、ここへ来て安全性抜きに政治利用が目立つニュースが世界を駆け巡っている。さすがにこれにセーブをかけたのが9社のワクチン開発会社だ。
先月、ロシアの保健省はモスクワのガマレヤ疫学微生物研究所によって開発されたSputnik Vと呼ばれるワクチンの「登録証明書」を発行した。WHOが第三段階の多人数のテストを経ずに投与することは危険という勧告を無視し、フィリッピンに供与している。

米国では、大統領選の11月3日という期限をトランプ大統領が重視し、CDCの感染症専門家 Fauci博士と食品医薬品局を率いるHahn博士の両方は、テストデータが圧倒的に良ければ、臨床試験が完了する前に、特定のグループにワクチンが利用できる可能性があると記者会見で述べている。そしてCDCは50州すべてと5つの大都市の公衆衛生当局に、10月下旬または11月上旬にコロナウイルスワクチンを医療関係者など高リスクグループに配布する準備をするように通知した。

ここで想定されるワクチンは開発競争でトップを走る次の2つが想定される。
1,モデルナModerna
メッセンジャーRNA(mRNA)を使用する新技術で、現在3万人が参加する大規模なフェーズ3テスト中、mRNA技術は比較的新しく、ワクチンの製造に成功したことこれまでない。
2,アストラゼネカ
アストラゼネカは英国の企業で、オックスフォード大学と共同で開発している。アストラゼネカワクチンは、テストされていないロシアのワクチンと同様の技術を使用している。しかし、ロシアとは異なり、アストラゼネカは、英国だけで無く、先月3万人を対象としたフェーズ3テストが米国で始まっており、これまでのところ、このワクチンはわずかな副作用のみで免疫応答を生み出している。

ところが、本日「アストラゼネカ、安全性レビューのためにワクチン試験を一時停止」というニュースが入ってきた。アストラゼネカ社は大規模なフェーズ3テスト中、イギリスの参加者で副作用と疑われる重篤な有害反応があり、同社のスポークスパーソンは声明の中で、「標準的な審査プロセス中、安全性を重視しためのワクチン接種の一時停止となった」と一時停止期間がどのくらいかはまだ未定とのこと。 

此の後、製薬会社9社は昨日8日にワクチンは「科学に耐える」ことを誓約し、安全性と有効性について徹底的に吟味されるまでワクチンを提供しないことを発表した。誓約したのは上記2社とファイザー社、ファイザーのワクチンの開発パートナーであるBioNTech、GlaxoSmithKline、ジョンソン&ジョンソン、メルク、Novavax、サノフィで、トランプ大統領の言動に釘を刺した。

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