永いこと女性が社会進出を果たしてきた米国だが、ウォール街の銀行、証券会社はボーイズ倶楽部と称され、女性がCEOにならない伝統、グラスシーリングがあった。昨年4月の議会でも大手銀行のCEOが呼ばれ、女性のトップの可能性について問われたが、誰も手を挙げなかった。そこへ次期シティグループCEOにジェーンフレイザー氏が指名され、ビッグニュースとして報道された。
ニューヨークタイムスによれば、スコットランド人で2人の子供を持つ女性だ。彼女に言わせると旦那を含めて3人の子供がいて、ワーキングマザーとのこと。ロンドンでJPモルガンに就職、その後ハーバートで学び、マッキンゼイでコンサルタントを経た後、シティに就職16年めになるという。ニューヨークタイムズ自身先般社長が女性になったせいか、かなり長文の記事を書いている。米国を代表するS&P500社の内、GMを含め30社程度が女性CEOなので、近年増えてきたが、ウォール街だけは突破できなかった。「ついにジェーンがクレジットカードの世界最大の発行者であり、1.96兆ドルの資産を持つ銀行を監督するになったとウォールス街での女性達から称賛を集めている」とやや興奮気味な報道ぶりだ。
フレーザー氏を昇格させるというシティの決定は、他のウォール街企業の後継計画に注目を集めだした。JPモルガンは次期トップの候補者を入れ替えて、2人の女性、マリアンヌレイクとジェニファーピエプザックを、ダイモン氏の後任候補者に加えたことを発表している。
日本の場合は、マックのカサノバ社長等かなり女性の活躍が見られるが、グラスシーリングどころか鉛のシーリングで、イスラム国並みだ。日本企業が凋落したのは多様性(ダイバーシティー)がなかったからだと言う指摘がある。人口減少社会の中で人口の半分は女性だし、此の人材宝庫を見逃す手はない。