棄民という嫌な言葉がある。第二次大戦終盤、満州国に残された国民がその典型例だろう。最近の感染者で自宅療養の報道が多くなってきているが、中でも都内の一人世帯で若い世代がいろいろな窓口に連絡しても全く相手をされないという実例が多くなってきた。都内で4000人が入院・宿泊先が見つからないというデータから、若い世代はほっといても大丈夫という判断を行政はしているのだろう、「独り暮らしの18歳の女子大生が感染し、呼吸困難に陥り、都の相談窓口に入院かホテル療養を要請したが、電話できるなら大丈夫と、ほったらかし、保健所から健康観察の電話が有るはずなのに何も無し、食糧は地方の親が送ってくれたゼリーだけ」この記事を読んで、棄民という言葉がよみがえった。
記事を読んでいて愕然としたのは、処方薬すらないという現実だ。
今日のNHK討論会で、田村厚労相が入院待機者について聞かれたら「都とワンチームで対策している」と述べていたのには開いた口が塞がらない。実態が判ってないことは明らかだ。緊急事態宣言を何時解くかという議論が国会でもされているが、そんなことより棄民をなくすことに全力をあげるべきだ。
神奈川県では、スポーツセンターに緊急酸素投与センターを開設し、先の女子大生のような自宅療養者を入れるとのことだが、こうした命に関わる対策を野党も含めて実施してもらいたい。小池都知事は第一波の頃はリーダーシップを発揮していたが、第3波では役立たず。東京ドームを自宅療養者の避難所にぐらいの実行力が欲しい。