行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

フランスでは電線が見えない

2013-11-14 21:42:19 | Weblog
パリからナンシーまで途中ランスに泊り、数百キロ、渋滞もなく地平線を見ながら多くの町や農村を通り過ぎ、感じたことが 「フランスでは電線が見えない」 だ。
街の景観で蜘蛛の巣のような電線があるのとないのとは決定的に違う。中世の街並みには電線は邪魔でフランスの観光地では見事に地下にもぐっている。もちろんパリなど都会では電線地下化ははるか以前から実施され、今では農村でも電線は見当たらない。

日本ではそれに気がついて古い街並みを残して観光の目玉にしている川越のようなところがあるが、例外だ。日本も景気対策というと、電線地下化が半世紀前から呪文のように唱えられたけど一向に進んでない。

オリンピックを機会に全東京の電線を地下化したらどうだろうか、かつて東京を走り回っていたバキュームカーはハニーカーと揶揄されたが、下水道は整備され、トイレは完全に水洗化された。おまけに、シャワートイレ市場まで出現し経済効果も産み出された好事例だ。
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シャンパンは農業改革の見本

2013-11-13 22:53:12 | Weblog

12日からフランスの田舎めぐりをするべく成田をたった。今回はワイン生産地を中心に、東フランス地域を予定、先ずパリの空港付近のホテルに泊まり、翌日シャンパーニュを訪れた。天気に恵まれ葡萄の葉は黄金色に輝き、黄金の丘コートドールの真ん中で過ごした。


トップブランド、シャンパンが誕生したのは18世紀にさかのぼる。それまでは、なにもできない痩せた土地で赤ワインをほそぼそと生産してた。修道院の酒蔵番をしてた僧侶が偶然泡立つワインを発見、その僧侶こそが現在の最高級シャンパンに 命名 された ドンペリさんだ。


しかし、土壌の改良から、2回にわたる発酵で酵母菌を挿入し、ガスを発生させ、おりを取り現在のシャンパンにまで完成するには多くのこの地方の人々の努力が必要だった。

今やシャンパンは、全世界に輸出し巨大な富をこの田舎町エペルネにもたらした。シャンパンの製造過程で重要なのは熟成させる地下のケイブで、エペルネのかこう岩に掘られたケイブの長さは100kmを超える。


農業改革が日本では課題になっているが、農業でも技術革新で世界のトップブランドが可能という実例だ。
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限定正社員の落とし穴

2013-11-11 23:41:17 | Weblog

甘利明経済財政・再生相は10日のNHK番組で、非正規社員の待遇を改善する手立てとして仕事内容や勤務地を限定する「限定正社員」を普及させたい考えを示した。「日本の雇用形態は正規と非正規の2極しかない。その中間を作りたい」と強調した。

日本の大企業の正社員の雇用形態は、必ずしもコンクリートのように固まったもではなかった。勤務地でいえば、ホワイトカラーは限定されていないが、地方の工場で採用されたブルーカラーについて言えば、勤務地が採用された地方・地域限定という暗黙の合意が労使間であった。かつて、高度経済時代、製造業は人手不足を解消するため地方に工場を展開した。地方に工場を作る場合、そこで製造する製品は必ずしも新製品と言うことでは無く既製品の移管が多く、その場合移管に伴い大量の転任が発生した。当然地域出身現場のブルーカラーの転任が生じるため、労使間ではそれが最も難題であった。

工場の分散化が進み、ブルーカラーの地域限定化はなし崩しになったが、いまだその原則は残っている。政権が考えているのは、ブルーカラーだけでなく全ての労働者が対象だと思うが、日本企業の海外展開が急速に進んでいることを考えると、地方に分散化した工場を海外へ生産移管事例が多くなる。限定正社員は雇用の場をその瞬間、失うことになり、地方経済に与える影響は多大だ。

一方、経営にとっては、これまで工場閉鎖に伴い、人員を再配置するのに苦労したが、限定正社員だとその苦労はしなくてすむことになる。当然、今後地方工場での採用は限定正社員が多くなり、非正社員がその分少なくなるということでなく、正社員が減少し、結果的には不安定雇用が増えるということになるだろう。
 

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NHKは誰のもの

2013-11-09 22:52:59 | Weblog

NHK会長の任免権限を持つNHK経営委員に作家の百田尚樹氏ら5人を充てる国会同意人事案が8日、衆参両院の本会議で可決された。歴史認識などで安倍晋三首相に近い人物が目立ち、NHKと政権との距離が問われかねない人選だ。かつて安倍首相は副官房長官時代、NHKは公正中立の立場で報道すべきとクレームを付けた経緯がある。今回の新経営委員の中には首相の家庭教師を務めた人もいる(笑い)。また、安倍政権内からは原発問題等で「報道内容への不満」などを理由に会長交代を求める声も出ているという。

一連の動きは明らかに、NHKへの圧力と考えられ、報道の公正中立が担保されるとは言いがたい。だいたいNHKは「皆様の受信料」で成り立っており、時の政権のものではない。衆参両院で多数を占めた与党の奢りが出てきたのではないか。

以前、ベネズエラがチャベス大統領の独裁時代、放送局の従業員を解雇し、自分の放送局にしたことがあった。解雇された労組組合員から悲鳴のような支援要請の声が届いたが、何もできなかったことを思い出した。イタリアへ行ったとき、当時の首相ベルルスコーニは放送局も持っており、自分の悪口は放送させないから人気が有ると聞いた。後ほど化けの皮が剥げたが・・・どこの国でも政治家はマスコミが煙たくてマスコミをコントロールしようとする。中国では国営のマスコミは政権の公示機関だから、誰も信用しない。民間のマスコミで共産党の気にくわないことを書くと国家転覆罪ですぐ逮捕する。

与党の奢りは野党がだらしない証拠だ。

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車エビと芝エビに踊らされた

2013-11-07 23:22:09 | Weblog

関西のホテルで始まった偽装事件、とうとう業界のトップ企業、ホテルオークラ、三越伊勢丹までやっていたという拡がりで、日本は偽装王国になっていたのだ。主役はどうも海老のようで、特に車海老と芝海老のようだ。かつて海老の消費量世界一を誇っていたが現在は米国で、英語では大まかにロブスターとシュリンプで表示し、聞くと産地を教えてくれるくらいで偽装のしようがない。

海老の養殖技術は私の記憶では昭和30年代に開発され、庶民の手の届くものになり、その後、インドネシア、タイに養殖技術を輸出し、大量に輸入することで、価格も安くなった。さらに、ヴェトナム、中南米で日本向けの海老が養殖されるようになった。その種類は殆どがブラックタイガーかバナメイで、ブラックタイガーが車海老に化け、バナメイが芝海老に化けたようだ。私もベトナムとカンボジャの国境で巨大な海老の養殖池を偶然見て、驚いた記憶がある。

東南アジアでの養殖池はマングローブを切り開墾され、環境を破壊し、津波の被害を大きくし、そこで働く低賃金労働者の実態を日本人は知らないと憤り、「海老と日本人」(岩波新書Ⅰ、Ⅱ)を書いた村井上智大教授を思い出した。彼は大学で私と同じゼミで東南アジア開発論を研究し、生涯の研究テーマでもあった。残念ながら、今年早々他界したが、この日本の海老騒動をどう思っているのだろうか。海老の逆襲か、今風だと海老の倍返しということか

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昭和記念公園、紅葉のシーズン入り

2013-11-06 10:57:51 | Weblog

昭和記念公園はコスモスが終わり、紅葉の季節に入り、晩秋の趣だ。桜が見頃だが、夏の暑さのためか葉が落ちてしまっている。銀杏は影響ないようで、銀杏並木は入口部分のみ色づいてきた。

 

いいぎりの赤い実の育ちは良好だ

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成城、吉田五十八設計猪股邸を見る

2013-11-04 22:37:57 | Weblog

友人のTさんがヴォランティアで案内をしている吉田五十八の傑作猪股邸を訪れ、随所に吉田流設計のこだわりを感じた。武家屋敷の数寄屋造りに近代設備を融合させるとこうなるという傑作だ。(猪股邸は世田谷区が保有し、世田谷トラストまちづくりが管理している)
屋敷に入り最初に驚くのが南側開口部の大きさで、苔むした庭園と四季の花木が大画面で眺められる。眺めながらお抹茶をいただいた。

北側には坪庭を配置し、北からも採光している。

住人のお茶へのこだわりで茶室は2つもある。離れのような主茶室、京都の職人の手によるが、にじり口の大きさには驚く、これも採光への拘りか

もう一つの茶室は2畳に充たない夫婦二人だけの世界

床の間の上げ床部分に空調の吸い込み口がある。天井の照明の周囲に吹き出し口があり、近代設備をそれとなく融合させている。屋敷のセントラルヒーティングが数寄屋造りの随所に見事に作り込まれている。

私がかつて訪れた奈良の大和文華館や外務省飯倉別館なども吉田五十八の設計と聞いて、これらは逆に近代建築の中に、数寄屋造りを取り入れた例で、改めて思い起こした。

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金にまみれた日展、芸術も強欲に支配されてた

2013-11-02 18:40:26 | Weblog

日展に入選という長年の権威がついに地に落ちた。朝日の「篆刻」での入選各派割り当てというスクープで一挙に内部告発が起こり、日展という組織が入選には上層部への金次第という告発も出てきた。

日展の規定や内規によると、2回特選をとると審査しないで毎年作品が展示され、審査員になる資格を得る。審査員に選ばれると日展会員になり、審査員を3回務めると日展評議員になって内閣総理大臣賞や文部科学大臣賞の対象になる。作品も階段を上がれば上がるほど値段がつり上がる。

日展に入選し、特選を取り、階段を上がれば上がるほど箔が付き、作者の作品は高く売れる。そのためには祝い金を献上したり、上層部の作品を無理してでも買う金が必要となる。今回の入選を仕切っていた顧問の屏風には100万の値段が付いた。

日本人は権威やブランドに弱い、次から次と出て来るホテルのレストランメニュー偽装事件でも、一流ホテルのレストランならと信じてしまう。芸術作品でも、料理でも自分で中身を判断する自信がない人ほど、権威やブランドに欺される。芸術作品は自分で素晴らしいと思ったものが一番で、値段が高くて買えなかったら仕方がないが、日展特選何回の作者だからといった判断は止めよう。

レストランも、あのシェフの店に予約をといったことを自慢げに言われるが、ほんとに美味しいか自分の舌で判断したい。予約が取れない有名店というブランドがあふれているが、私はそういう店はなるべく避けている。

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NISAの陰謀

2013-11-01 00:07:11 | Weblog

日本人個人が持つ預貯金は世界最高レベル、800兆円をこえる。企業も負けじと200兆円をこえるレベル。一方、金利は世界史上最低レベル、銀行に貯まったお金は前向きの融資にに回らず、国債をせっせと買ってきた。ところが、アベノミックス、日銀の異次元緩和で大量に日銀が国債を買いだし、国債金利の高騰リスクをにおわせ、銀行は国債所有を減らさざるを得ない。一方預貯金に対しては、NISAというあめで、株や投資信託を買えば、年100万円以内の利息には税金をかけないという優遇税制をぶち上げ、日本人の預貯金指向を何とか投資指向に変えようとしている。

数多くの高齢者が高い金利に惑わされ、あぐら牧場事件や実態のないファンドを買わされ、被害に遭ってきた。低金利は高齢者の判断をくるわせてきたともいえる。今回のNISAのキャンペーンを見ていると、金利の低い国内債券よりも金利の高い外国債券を薦めている銀行、証券会社が多い。これは円売りにつながるので円安を目標としているアベノミクスにも適合するわけだ。

特にNISA用商品ということではないが、証券会社推薦商品の中に高金利をうたい文句にハイイールド債券を組み込んだ投資信託さえ売り出されている。サブプライムローンを組み込んだ商品で痛い目に遭ったことは忘れたのだろうか。ハイイールド債とは、格付会社により投資不適格と格付けされた債券で、ハイリスクハイリターンの典型といえる。
NISAにより、日本の家計の中にリスク資産の比率が高まることになり、リーマンショックのようなことが起こると家計へのダメージが大きくなる。

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