関西のホテルで始まった偽装事件、とうとう業界のトップ企業、ホテルオークラ、三越伊勢丹までやっていたという拡がりで、日本は偽装王国になっていたのだ。主役はどうも海老のようで、特に車海老と芝海老のようだ。かつて海老の消費量世界一を誇っていたが現在は米国で、英語では大まかにロブスターとシュリンプで表示し、聞くと産地を教えてくれるくらいで偽装のしようがない。
海老の養殖技術は私の記憶では昭和30年代に開発され、庶民の手の届くものになり、その後、インドネシア、タイに養殖技術を輸出し、大量に輸入することで、価格も安くなった。さらに、ヴェトナム、中南米で日本向けの海老が養殖されるようになった。その種類は殆どがブラックタイガーかバナメイで、ブラックタイガーが車海老に化け、バナメイが芝海老に化けたようだ。私もベトナムとカンボジャの国境で巨大な海老の養殖池を偶然見て、驚いた記憶がある。
東南アジアでの養殖池はマングローブを切り開墾され、環境を破壊し、津波の被害を大きくし、そこで働く低賃金労働者の実態を日本人は知らないと憤り、「海老と日本人」(岩波新書Ⅰ、Ⅱ)を書いた村井上智大教授を思い出した。彼は大学で私と同じゼミで東南アジア開発論を研究し、生涯の研究テーマでもあった。残念ながら、今年早々他界したが、この日本の海老騒動をどう思っているのだろうか。海老の逆襲か、今風だと海老の倍返しということか