行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

現代のホラ吹き?宇宙エレベーターと深海工場

2014-09-13 22:19:00 | Weblog

人間たまには夢のような話をしてみたくなるものだ。先日テレビで宇宙エレベーターの特集を放映していた。宇宙エレベーターについては何となく聞いていたが現代のバベルの塔みたいでホラ吹き話と思い込んでいた。エレベーター塔を宇宙まで積み上げるなんて不可能だからだ。ところが先日の放映を見て、静止衛星を打ち上げ、先ず一本のケーブルを地球上に垂らしてそのケーブルで上下させるクライマーを設置し、徐々にケーブルを太くして行き、やがて宇宙船(エレベーターの篭)をケーブルにはわせて宇宙旅行を楽しめるという。鉄やアルミのケーブルでは強度不足で弱く、宇宙エレベーター構想はほら話であったが、最先端技術のカーボンナノチューブの出現により俄然現実となった。宇宙エレベーター協会が発足して着々と研究が進められているので詳しくはホームページを見ていただきたい。

もう一つは、原発問題の講演会でたまたま出た話で、まさに逆転の発想から出た深海工場の構想だ。日本にタップリあるのは海であることは当たり前だが、以外と空気みたいで見逃している。また、日本の周囲にある海底には豊富な金属を含むマンガン団塊があることは何回もニュースで報じられている。それなら早く掘って採りだしたらと思うが、これまで調査だけに終わっている。炭酸ガスのかたまりメタンハイドレードも豊富にあり、ガス化すれば自前のエネルギー源となる。これもすぐできそうであるが、なかなか手がつけられない。いずれもコストがかかりすぎて商業ベースにのらないのが原因だ。そこで深海や海底に精錬工場をつくり製品にして採り出せば安くなるという。水圧に耐えられる素材の開発が進めばこれも現実となる。

自分が生きている中に実現できるか疑問だが、技術の革新、発展があれば意外と早く実現するのではと期待している。1970年代、IBM360の時代にそれ以上の性能を持つコンピューター(スマホ)を個人が保有するなどとはどんな学者も予想できなかったからだ。

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暗い時代を思い起こさせる嫌な言葉

2014-09-11 17:29:12 | Weblog

最近の週刊誌や雑誌でよく見かける嫌な言葉がある。「非国民」さらに「売国奴」という言葉だ。朝ドラ「花子とアン」でも花子の家に石を投げた少年達が非国民と言っていた。英語やクラシックは敵性ということで赤毛のアンの翻訳は命がけだったに違いない。

あのくらい軍国主義の時代、非国民とか売国奴といった連中が実は国民に塗炭の苦しみをもたらし、敗戦へと導いた本物の非国民であり、売国奴だったのだ。そうした歴史を忘れ、今再び同じ言葉が跳梁跋扈している。このような言葉がよく使われるのは中国であったがかの国ではこのレッテルが貼られると、国家転覆罪となり刑務所入りとなる。

最近は、朝日新聞が慰安婦問題で誤報し、遅まきながら訂正記事をだしたが、謝罪がなかった。それを国益を損ねた売国奴だとか書き立てる週刊誌の広告を拒否したり、果ては連載してる「新聞斜め読み」の池上彰氏の記事掲載を拒否し、その後撤回するなど大新聞として信じられない行動をとったため、売国奴朝日は廃刊しろなどとエスカレートしている。

言論人が廃刊まで要求するとは自殺行為で、廃刊は読者が決めることだ。読売や毎日といった大新聞言論はまさかそのようなことに組していないと思うが、販売競争の中で、朝日を蹴落とす絶好のチャンスと考えているのではないだろうか。大新聞は初心にかえり、言論の自由を守り、正確な取材を基にした自分の信念を貫く姿勢が求められている。非国民とか売国奴といった批難を跳ね返して貰いたい。

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凄かった浮世絵のインパクト

2014-09-09 22:23:13 | Weblog

ゴッホの絵ではしばしば浮世絵の模写が入っていることは周知だと思う。またモネのジベルニーにある家を訪れた時には、おびただしい浮世絵が掲げれていたので、浮世絵がフランスの画家達に大きな影響を与えたことはジャポニスムというフランス語があるくらいだから知っていた。

しかし、今回の世田谷美術館におけるボストン美術館のジャポニズム展で、浮世絵はフランスだけでなく英、米、ノルウェーの画家にも影響を与え、単なる模倣の段階でなく、絵の構図に画期的な影響を与えたことを知った。浮世絵の俯瞰、遠近法、格子型などの構図がロートレック、ボナール、ムンク、ピサロといった作品に影響を与えていることを展示している。これだけ体系的に浮世絵のインパクトを説明した展覧会はこれまでになかった。

ジャポニズムの発祥はパリ万博で幕府と薩摩藩が競って日本文化を展示したことからで、国際交流の大切さを再認識すると同時に、ボストン美術館のコレクションの素晴らしさはフェロノサ、岡倉天心といった先達の努力に頭が下がる。今、クールジャパンを喧伝しているが浮世絵のインパクトのような可能性があるのか自分には判らない。このジャポニズム展では広重、北斎、歌麿が偉大な芸術家であったことを改めて知ったが、現代の広重、北斎、歌麿が出て来るのはいつのことだろうか。

このジャポニズム展に向けて修復し、色鮮やかになったモネの妻カミーユをモデルにしたラ・ジャポネーズ

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錦織の活躍、列島沸く You are not done yet!!

2014-09-08 15:15:45 | Weblog

世界ランキング一位のジョコビッチを破り、全米オープンで決勝に進んだ錦織、新たなレジェンドが作られつつある。14歳で米フロリダに渡り、英才教育を受けまさに花が開かれたところだが、準々決勝とその前の試合は4時間をこすなか、紙一重の勝負を勝ち上がり、難敵を仕留めた。スポーツにおける精神力の重要性が再認識された。

精神力は根性があるだけでは済まない。日頃の鍛錬の賜で、名コーチチャンが錦織に日頃からたたき込んだのは You are not done yet!!で日本語訳は難しいが「まだまだやれるぞ(もっと上を目指せ)」といったところか

ジョコビッチとの対戦では難敵と恐れず、上を目指す戦いをした。事実米メディアは錦織はジョコビッチより、poise and grit (平静かつ度胸がすわっていた)と勝因を分析している。ゴルフの松山や石川ひいては日本の若いアスリートへの影響は計り知れない。

こぼれ話
ジョコビッチと錦織のユニホームはユニクロで同タイプのシャツは売り切れ、錦織の使用ラケットはウィルソンだがこれまた売り切れ、実況放送のWOWOWへの申し込みは電話が混んでできない状態。テニスブームを先取りしてヨネックスの株は急上昇、ゴルフクラブの不振を補うとの解釈。景気にもプラスに働く錦織ブームだ。

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内閣改造、安倍首相の完勝?

2014-09-06 21:55:40 | Weblog

今回の内閣改造、挙党一致を目指すというお題目であったが、前回の総裁選挙で安倍さんに肉薄した石破さんを幹事長にした時も同じ言葉を使った。今回は誰が見ても明らかに石破幹事長外しが第一の目的であることに変わりなく、挙党一致に意味が変わってきたのである。来年の総裁再選のためならなりふり構わず攻めに攻めた安部首相の寄り切り勝ちで、石破さんは人事権もない新設の地方創世担当の臨時大臣に甘んじた。

改造の第二の目的は消費税増税路線を遂行するために、民主党政権時代消費税10%を目指した谷垣元総裁を幹事長に据えたが、総裁経験者が幹事長になるなんて異例中の異例だ。谷垣派から逢沢一郎など当然入閣があると思っていたが力で押さえ込んだようだ。以前ジョージ・ソロス氏を囲む会合で逢沢一郎議員と名刺交換をしたため彼からはまめにメールが来る。先日のメールは衆議院議院運営委員長としてもう一度頑張るとの決意表明であったが、裏には無念さが感じられた。

日経世論調査では今回の内閣改造への支持が高いが、それは女性閣僚を5名登用し認証式後、女性大臣が安倍首相を囲む写真が影響したのだが、女性の地位向上への信条は5人とも違うようで今後国会答弁で舌禍を起こす爆弾を抱えたかもしれない。

100%完勝の人事などあり得ず、今回の内閣改造は無理した完勝とも言え、ほころびが出て来るだろう。最大の問題は安倍さん自身の右バネで、第二次世界大戦戦犯への考え方は中国、韓国だけでなくかつての欧米連合国とも全く異なるので、これが出て来ると最大の危機をむかえよう。

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祝金属労協50周年、しかし課題は重い

2014-09-04 15:34:45 | Weblog

先日、金属労協結成50周年お祝いの会が高輪プリンスホテルで開催され、招待された。8年間1995年から8年間事務局長を勤め、思い出多い組織で、内外からの懐かしい古い友人と旧交を暖められた。

1964年、国際金属労連(IMF)への加盟組織として鉄鋼、電機、自動車、造船、機械金属の産別が当時の総評、同盟、中立といったナショナルセンターを超えて金属労協を結成した。金属労協は国際組織への加盟のための窓口にすぎないということで各ナショナルセンターも渋々認めたのであるが、日本経済を牽引する5産業別組織が結集する大産業別組織で、春闘の賃上げ中心組織へと徐々に衣替えを果たすことは誰にも止められなかった。

金属労協は1960年代からの高成長を背景に、大幅賃上げを毎年リードし、日本経済の内需拡大への底上げに貢献した。また、石油ショックのインフレ克服には批判をあびながらも3割賃上げの次年度より賃金引き上げ整合性を唱え、当時の福田首相との政労連携で総需要抑制に協力し物価を抑えた。実質賃金論が重きを増してきた年でもあった。

一方、賃上げだけでは組合員の生活は守れないとし、政策要求を掲げ、対政府交渉に力を入れ、私の事務局長の時には当時の日経連と円高・空洞化対策を官邸に乗り込んで要求した。また金属産業の被害が大きかった淡路神戸震災復興の要請を政府に行った。年金問題では401Kの創設に係わったが制度設計が充分でなく、企業の厚年基金が破綻しだしてようやく注目を集めるようになった。

この20年、金属産業の企業が生産を海外に移転し、国内雇用は大きく減少した。金属労協の組合員も200万から160万になっている。今後金属労協は国内雇用を何とか取り戻そうという難しい問題に取り組まなければならない。比重を増している非正規労働者の課題も連携しているドイツ金属労組、北欧金属と研究し、解決して貰いたい。

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インドへの投資を考える

2014-09-03 22:10:54 | Weblog

インドのモディ首相が就任後、初訪問国に日本が選ばれ、インドは遠い国から俄然注目を集める国になった。何と言っても12億の人口でしかも若い国で、人口ボーナスが期待できるというのが魅力だ。それには貧富の格差を縮めて、中間層の増加が必須だ。中国とよく比較されるが、高速道路や電力、鉄道といったインフラでは中国の後塵を拝し、日本企業の投資が遅れている。中国の魅力は最近の外資たたきや政治的な不安定さでだいぶ薄れて、チャイナ+ワンといった展開がベトナム、ミャンマーなどで行われ出した。

インドは+ワンでなく、大きさからはチャイナオルターナティブ(代替)ということになる。世界最大の民主主義国家と自慢するだけに、今回のように実績有る州の首相が選ばれて指導者になっており、政治的に透明感、安心感がある。モディ首相の州での業績を見ると、インフラ整備が得意で日本の田中元首相を彷彿させる。先ずあの広大な国の鉄道網、高速道路網を整備することは理にかなっているが、グラジャード州の経験が全土で生かせるか困難な課題だ。

特に遅れている南部の州では農地の取得も困難で、韓国の企業は数年もかかって工場を計画していたが断念したし、タタの自動車新鋭工場も操業寸前に農民の反対で断念した。日系企業ではスズキが早くから進出し、自動車ではトップ企業となっているが、マルチ・スズキ自動車のマネサール新工場での労使紛争は今後の日系企業にとって教訓となる。日本の経営者は日本のように企業別組合を求める傾向にあり、外部産業別組合に工場を組織して貰いたくないという労務政策を強行しようとする。スズキも新工場には企業内組合をとの方針だったが、英国植民地時代からの伝統ある産業別組合が新工場を組織化しようと紛争になった。インドには大小10くらいのナショナルセンターがあり、工場に複数の組合があるのは珍しいことではない。しかも、各ナショナルセンターが各政党とつるんでいる。
INTUCのような有力なナショナルセンターと早期に組織化で話し合い、1つの組合でカバーして貰った方が良い場合もある。

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広島土砂災害またもや人災だったとは

2014-09-01 22:04:53 | Weblog

東京電力福島第一原発の原子力災害の実態が明らかにされつつあるが、東北電力女川原発との比較から人災であったことが明確になってきた。それにもかかわらず広島の土砂災害が発生し、70人をこえる人命が失われた。防災の日のブログとしては残念な内容だ。

土地柄、山の手に住宅地を開発せざるを得ず、歴史上これまでにない豪雨で山の崩落ともいえる災害が起きたことは自然現象で防ぎようがなかったことは理解できる。しかし、避難指示が遅く多くの犠牲者を出した。その原因が1時間70ミリを超える豪雨予想が気象庁からFAXされていたにもかかわらず対策室にいた14人の消防職員が気がつかなかったというミスだ。絶えず上がる各河川の水位情報に気を取られていたという。FAXの時間は午前1時49分、避難勧告は4時15分と2時間の時差が多くの犠牲を生み出した。遺族はやりきれないだろう。

住民の中には、過去の土砂崩れの経験から早期に避難して助かった人もいる。広島市は過去に何度か経験しているので、土砂災害を予想していたと思えるが、情報の齟齬が大きな犠牲を産んだ。今夏の「歴史上これまでにない豪雨」は列島の各地を襲い、大きな被害をもたらし、テレビでの全市避難といった警告が目立った。最近は地震や竜巻の速報が各個人の携帯に掛かってくる時代、豪雨の情報が広島市の行政幹部に一斉同報されていたら今回のような悲劇は防げたのではないか。油断が今回の災害をもたらした事実を重くみて行政当局は2度とこのような悲劇を起こしてはならない。

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