日本銀行は31日の金融政策決定会合で、市場に流し込むお金を増やす追加金融緩和を政策委員投票1票差で決めた。偶然重なったと塩崎厚労相は言うが年金積立金の株式での運用比率を25%に高める方針も決まった。安倍政権は今月中旬にも、円安対応などの新たな経済対策のとりまとめ作業に入る。政府・日銀が政策を総動員し、今春以降、低迷する安部ノミクス景気にてこ入れする狙いだ。日銀金融緩和の中身は、長期国債の買い入れ額を年30兆円増やして年80兆円にし、金利低下を促す。株価指数に連動する上場投資信託(ETF)は年3兆円、上場不動産投資信託(J―REIT)は年900億円にそれぞれ3倍増する。黒田総裁は決定後の記者会見で、日銀が掲げる「2%」の物価上昇率目標の達成を確実にするためだと説明した。株や不動産などへの投資が増えることを狙らってることは明らかで事実東証日経株価は一気に755円上昇し、今年最高値となった。
お金をどんどんばらまく異次元緩和は2年前に始まり、確かに円安、株高になったが、景気はいっこうに良くならない。所得格差が開き、多数派を形成する低所得者層の節約で消費は低迷したままだ。なのにさらに金融を緩和するという。金利を低下させてもほとんどゼロ金利に近い現実では低下の余地もなく、景気の刺激にはとうていならない。株価や不動産価格は上がっても消費者物価とは関係ないに等しいことは証明済みだ。90年の資産バブルとはじけた後遺症を考えると背筋が寒くなってくる。
米国は曲がりなりにもQE3からの脱出を計ろうとしている。ばらまき金融緩和の元祖米国は失業率も低くなり景気も緩やかに回復しているとのFRBの判断だが、イェーレン委員長のコメントでは所得格差が拡大したことに言及し、景気の回復も完全ではないとことを認めている。日本は大量の国債を発行したままで更に増やし、市場にお金を大量に押し込み、将来はどうなるのか不安と不透明な未知の領域に突入した。