アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

西洋音楽史(2) 古代ギリシャの音楽理論と今日の西洋音楽

2021年04月22日 | ピアノ
今回のテキストには、紀元後一世紀の墓碑(セイキロスの墓碑銘)の写真が出てくるのですが、それに刻まれているのが、なんかアルファベットの連続みたいに見えるけどこれがギリシャの記譜法によって書かれた「楽譜」なんですね。

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で、これじゃ読めないので(^^;; 現在の五線譜に直したものが上記のウィキペディアにも載っていますが…

考えてみれば、すごいことですよ。「内容」をまるっと五線譜に移せちゃうってことは。

つまり…「音高」と「音価(長さ)」が記されているということ。
「音高」というのは、絶対的な音の高さ(周波数)ではなくて、相対的な音の高さですね。そしてそれが、今でいう「音階」にハマっているということ。デジタルで、しかも刻み方の基本が今と変わらないということです。
「音価」というのも、絶対的な音の長さ(秒数)ではなく、相対的な長さです。一番短い音符の、二つ分とか、三つ分とか、そういうことです。

そしてそれらが、「どう演奏するか」の視点ではなく(タブ譜ではなく)、音の(相対的な)高さと、(相対的な)長さを直接記述するという視点で記号化されている。

五線譜で、ロマン派以降ともなれば、音高・音価だけではなくて、音の大きさとか、表情記号とか、ペダリングとか、いろんなことが記入されてますけど、そういうものがなくても音楽として成立するし(バッハの原典版みたいな)、「メロディとリズム」さえあってれば、編曲されて別の楽器で演奏されたり、ちょっとゆっくりしたりちょっと速くしたり、伴奏があったりなかったり、そういういろんな変形はあっても同じ曲として認識されるというような、基本的な発想が同じです。

どうしてそうなっているかというのが、ギリシャ式の記譜法からそのまま発展して五線譜になったわけではないそうですが、音楽理論としては受け継がれて、別の記譜法として生まれました。

その音楽理論…

目に見えない音というものを、コレとわかるように捉える、書き表すというのはちっとも当たり前ではないですが、これの基本を考え付いたのはピタゴラスさんということに伝説ではなってます。
テキストに載っているのは、ピタゴラスが音の調和を発見したときのエピソードなのですが、それが書かれたのはピタゴラスから数百年後のことで、しかも内容が眉唾なんで、事実がどこいらへんにあったのかは不明です。

この中では、ピタゴラスは均一な性質と長さの紐を用意して、吊り下げる錘の重さを変えて、音の違いを調べたとあります。それで重さが倍ならオクターヴだったとか、1.5倍なら5度だったとか書いてあるのですが、これ出鱈目ですね。

だって、音の高さ(周波数)は重さ(というか張力)に比例するんじゃなくて、1/2乗に比例するものね。つまり、重さ4倍なら1オクターヴ上ってことになりますけど。

錘の重さではなくて、一定の張力で張った弦の長さで考えればすっきりします。弦の長さが半分なら周波数は倍、つまりオクターヴになりますから。
(「物理」の解説についてはこの動画を見てください→和音が気持ち良い数値的な理由〜音楽と物理をつなぐ)

ピタゴラスさんは、というかギリシャの音楽理論では、完全5度(3 : 2)と完全4度(4 : 3)を重視しています。完全5度を繰り返しとっていくと「音階」が作れるんだけど、でもこれだと3度が調和しない。

「純正率」は、3度が調和するように(5 : 4)作っています。平均律ではさらに、おしなべて同じ比率で刻んじゃったんですが、まぁ細かい違いはいいとしてw (気になる方は計算して眺めてみてください→こんな感じ)

整数比キモチイイ!! これで音の階段作っちゃおう!! って思いついた人はすごいですね。

ところで、音価というかリズムのほうは、ギリシャの言葉、というかより正確にいえば詩の韻律から来ているそうなんですが、これが「単位長さ」の考え方に馴染むというのはちょっと不思議に思える。元々、短音節2つを長音節1つで置き換えられるルールだったとかで、叙事詩なら
「タンタタ、タンタタ、タンタタ、タンタタ、タンタタ、タンタン」(4分の2拍子の6小節?)
という具合なんですが…なんか出来過ぎな話ですねぇ…というか、出来過ぎと思えてしまうほどに、現代の我々に至るまでがギリシャの音楽理論に「毒されている」ということなのかしらん。

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