カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・ルルドの聖遺物入れ

2020-03-29 19:02:53 | 突発お題

 心を病んだ母は己の命を絶ち、自ら神の御許を離れた者として正式な弔いを許されなかった。
 だから僕は母の亡骸から切り取ったひと房の髪を聖遺物入れの十字架に収めた。やがてこの身が地上の役目を終えて神の御許に召された時に僕は御前にひと房の髪を差し出し、母を殺した病の断罪と母への許しを乞い願おう。

コメント

骨董品に関する物語・深紅の祈祷書と紺碧の祈祷書

2020-03-29 18:59:48 | 突発お題

 深紅の祈祷書の持ち主は神の愛の元に生を礼賛し、日々の生活に喜びを見出していた。
 紺碧の祈祷書の持ち主は常に死を想い、己に与えられた限られた時間を無駄にしないように努めた。
 やがて二冊の祈祷書の持ち主はお互いを知らぬままそれぞれの生を終え、同じ神の御許に召された。
コメント

物語その84・ひねもすのたり、のたりかな

2020-03-29 18:21:35 | 不等号の関係性
たかあきは、老学者と貧乏学生に関する退屈の物語を創作してください。

 寄る年波から後進に道を譲って悠々自適の生活に入ろうとした老学者の元に、一人の学生が教えを請いに来た。
 学生は貧乏だったので住み込みで老学者の雑用をこなしながら学問を続けたが、後の世で彼が有名になったのは正規の学業成果からではなく老学者と暮らした日々の手記が出版され話題になった結果だった。
コメント