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カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

皇帝

2015-12-18 19:42:16 | 大アルカナによる創作覚え書き
 現世の富と名誉を手にした筈の男は、硬く冷たい鎧を全身に纏い厳しい表情をしている。
 栄光の只中にあるが故の逃れられぬ孤独と不幸にこそ、この偉大で哀れな男の真のドラマがあるのだと思ってしまう自分は、きっと人なのだろう。
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『他人の視線』と【ほろ酔い】より・遍歴

2015-12-18 19:28:25 | 物書きさん、お題です
 社会人になり立ての頃、先輩に飲みに連れて行って貰ってウーロンハイ一杯で酔っ払った上、車が来ている道路を渡ろうとして以来誘って貰えなくなり、外では飲まなくなった。やがて飲み方を覚えた辺りで別の仲間達と飲む楽しさを覚え、その後仲間達全員との別れを経験した。今なら良い酒が飲めそうな先輩は、もうこの街には居ない。
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女帝

2015-12-17 18:58:40 | 大アルカナによる創作覚え書き
 女神というのは豊穣や繁栄を司る割に結構な確率で男にとっては死神だったりするが、それは自分を産み落とした母なる混沌に還ろうとする男の本能だったりするのだろうか。などとグレートマザーの象徴である女帝のカードを見ながら思う。
 ちなみに処女神が男にとって死神と同義なのは、また別の話。
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『指切り』と【たとえば】より・正義の為に

2015-12-17 18:42:07 | 物書きさん、お題です
 例えば指切り。
 小さい頃に指切りした最後に『指切った』という言葉で結んだら、それは相手の子に取っては契約終了に付き嘘を吐いても秘密をばらしてもオッケーという合図だったらしく酷い目に遭った。後で考えると自分にとって紛れもなく正しいことが相手に通用しない不気味さ、己が正しいと信じていた揺るぎない認識が他人を介した現実においてどれだけ無力であるのか、私はその時初めて思い知ったことになる。
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『言い訳』と【冷める】より・高温と冷却

2015-12-16 18:12:03 | 物書きさん、お題です
 料理を趣味とする友人が特製グラタンの味見をさせてくれるというので、奴の家に遊びに行った。
 グラタンが出来上がるまでちょっと待っていろと言われたのでTVを観ていたら、ちょうどチェルノブイリの事故についてドキュメンタリー番組をやっていて緊迫感溢れる内容と展開から思わず目が離せなくなる。直後、グラタンが出来たと声を掛けられた俺が「今、炉心棒が溶解した辺りだから少しだけ待ってくれ」と頼んだら、グラタンを冷却するつもりかと怒られた。
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女教皇

2015-12-16 18:02:12 | 大アルカナによる創作覚え書き
大アルカナによる創作覚え書き。
冷徹な女教皇は愛を知ることによって豊満な恵みをもたらす女帝へと変成するのだそうだが、考えてみると、それは物語の基本にして根幹でもある。
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魔術師

2015-12-15 20:16:28 | 大アルカナによる創作覚え書き
魔術師に相当する能力者の使える力は、出来る限り細かく機能と限界を設定すること。
その設定がそのまま世界の枠組みを決める。
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『雪』と【たとえば】より・桜雪

2015-12-15 18:46:05 | 物書きさん、お題です
 例えば桜雪。

 単語だけなら薄青い空から振り注ぐ花片のような綿雪と綿雪のような花片が共に舞い散り、混じり合い、地面に純白と薄紅のモザイクを描き出しそうなイメージがあるが、一度だけ実際に見た桜雪の光景は、重く垂れ込めた灰色の空から降りてくる溶けかけた灰色のシャーベットを思わせる霙が、実に重たげに枝の花と蕾に積み重なっては耐え兼ねたように滑り落ちていくばかりだった。

 斯様に、現実という存在の厳しさには一切の容赦が無い。
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『泣き虫』と【未来】より・昔の記憶

2015-12-14 23:22:14 | 物書きさん、お題です
 子供の頃は酷い泣き虫だった。怒られたり、苛められり、或いは明確でない不安に駆られて泣くこともあったが、一番派手に泣いた記憶は確か台風の接近に伴い観たかったテレビ番組が映らなかった時に数時間ほど断続して泣いた時ではなかったかと思う。
 いずれにしろ、それはまだ裏切りと無力感に対して耐性がなかった頃の昔話だ。
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『たった一人』と【不思議 】より・消えた楽園

2015-12-11 23:28:01 | 物書きさん、お題です
 小学校の校庭と桜並木を隔てる金網を越えると並木の下には切り立った護岸に至る狭い傾斜があって、そこには季節になるとシロツメクサの花が咲き乱れていた。他の生徒など誰も来ない私だけの大事な秘密の場所だと思い、暗くなりかけた放課後に様々な自分だけの儀式を執り行っていた神聖な場所が、学校行事で訪れた父兄達の憩いの場と化していたのを見た時、私だけの楽園は永遠に失われた。
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