カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

正義

2015-12-25 18:19:43 | 大アルカナによる創作覚え書き
 大アルカナによる創作覚え書き。
 左手に罪の重さを量る天秤、右手に罪人を裁く剣を携えた女性の表情は威厳に満ちて揺らぎが無いが、物語を書く際の正義は常に『誰かによる正義』であることを忘れてはならず、それによって天秤や剣の意味もまた変わってくる。
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『大人』と【低い】より・彼と彼女の聖夜

2015-12-25 18:07:02 | 物書きさん、お題です
 街に出てクリスマスの喧騒を楽しみたいと人間に化けた彼に、何か外観に違和感は無いかと聞かれたので大人の顔の割には背が低いと指摘したら、今度は竹馬に乗ったピエロのようなスタイルになった。加減が判らないと悩む彼に、私とキスしやすそうな身長差にしてみてと提案したら一発で調節出来た。愛の力は偉大だ。
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『ご馳走』より・クリスマスチキン

2015-12-25 17:13:30 | 突発お題
 クリスマスなのでチキン料理でも作ろうと冷蔵庫にあった鶏胸肉を圧力鍋にぶち込んでほろほろになるまで煮込み、身をほぐしてからご飯を投入。仕上げに塩胡椒で味付けして完成したのはどう見ても鳥粥だった。何処で間違ったんだろうと悩みつつ美味しく頂く。ポイントは鶏肉と一緒に青い葱を入れること。
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『異性』より・初恋ですら無い

2015-12-25 17:09:09 | 突発お題
 その子は年令の割に聡明だったと思う。知識が豊富で話が面白い彼と一緒に遊ぶのは楽しかったが、そろそろ異性を意識し始めた同級生のからかいの的にされた。私は訳が判らないまま怒ったが、彼は酷く冷静に「むしろ嫌いな相手だ」と私や皆の前で言い切った。
 どんなに頭が良いとしても、自分の立場を守る為にはそれを言われた相手がどれだけ傷付いても構わない。むしろ本当のことだと悪意すら窺えない。
 そんな、よくある子どもの頃の話。
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戦車

2015-12-23 18:23:10 | 大アルカナによる創作覚え書き
大アルカナによる創作覚え書き。
二頭立ての馬車を操り驀進する軍人のカードは、私が友人の一人をカードで読むと結構な確率で出現する。大体において占いに類する行為を頼まれる事態からして依頼人に何らかの解決しなければならない問題が発生していることを意味する訳だが、その友人の場合、心身のバランスを著しく欠いて、普段なら容易い問題解決方法に辿り着けない事が多いようだ。
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『迷子』と【飾り(る)】より・狐道中

2015-12-23 18:17:22 | 物書きさん、お題です
 七五三を思わせる晴れ着姿で狐面を被った子供に、稲荷神社はどこですかと聞かれたので教えてあげた。少し歩いたら髪飾りだけ違う狐面の子供に同じように聞かれたので、同じように答えた。
 そうやって稲荷神社に着くまででに少しずつ姿の違う五人の子供に道を尋ねられたが、残念ながら私が狐だと気付いた子はいなかった。今年の仙弧試験の合格者は少なそうだ。
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恋人

2015-12-22 11:03:31 | 大アルカナによる創作覚え書き
 大アルカナによる創作覚え書き。
 男女二人の出会いは新しい世界創造の萌芽であり、物語の始まりでもある。それ故に脆く、大きく育つことは滅多にない。だが、そうやって打ち棄てられた思いの屍を苗床に、より強く強かな愛が育つ場合もある。
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『プレゼント』と【謎】より・忘れ形見

2015-12-22 10:51:15 | 物書きさん、お題です
 伯父さんから送られてきた箱には鍵穴が付いていた。この鍵穴に合う鍵を見付ければ箱の中身はお前の物と言うことらしい。そして私は小さい頃、伯父さんの奥さんだった人が病死する前に鍵を貰い、ずっとアクセサリーとして持ち歩いていた。

 箱の中身は指輪と奥さんに宛てた知らない男性からの熱烈な恋文だった。
 私の記憶の中で穏やかに笑う儚げな伯母さんと、そんな伯母さんにべた惚れだった伯父さん。そして、恋文の差出人に何があったのかは知らない。
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教皇

2015-12-21 23:36:59 | 大アルカナによる創作覚え書き
大アルカナによる創作覚え書き。
皇帝とは違って物質面ではなく精神面の充実と導きを意味する男の纏う見事な衣装と杖を見ていると、どうしても十字架に掛けられた寂しげな目をしている白い衣を纏ったキリスト教の教祖と結びつかない。
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『泣き(鳴き)声 』と【ほろ苦い】より・おしまい

2015-12-21 23:25:12 | 物書きさん、お題です
 サヨウナラと私が言うと、俺が悪かったと彼は言った。もう終わりだからと私が言うと、やり直せないかと彼は言った。今更ナニをどうやって?と私が言うと、彼はお前なら大丈夫だと思ったと、ただ泣いた。

 他人に対する思いが割とあっさり砕け散ること、そして砕け散った心は二度と元に戻らないことを、その時初めて知った。
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