カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

提供

2016-10-17 00:14:04 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『温室』を舞台に、『兵士』と『雨雲』と『ハンバーグ』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 人いきれでむせ返ったパーラーで紅茶とシベリアケーキを二人分注文した後、鷹塔先生は現在連載中の『不死の兵士』が今ひとつ不人気で困っているとぼやいてから、そんな訳で最近面白い事件はなかったかい?と笑顔で尋ねてくる。別にとすげなく答えると明らかに落胆した様子で女給さんが運んできた紅茶とケーキを平らげ始める。外を見ると空は厚い雲に覆われ、雨が降りそうだと判断したので早々にこの場を切り上げる事にした。
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松高の、三羽烏の往く道は・其の壱 常磐の圭佑を更新しました

2016-10-15 18:54:16 | 雑記
http://www.pixiv.net/novel/member.php?id=15321515
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活動

2016-10-14 21:25:50 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『映画館』を舞台に、『白黒』と『犬』と『音色』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 久し振りの休日なので最近話題の『黄金の魔人』を観ようと映画館に行ったら、偶然に鷹塔先生と出くわした。鷹塔先生はうちの先生の友人で自称三文文士だが、うちの事務所で扱った事件を小説に仕立て最近は結構な売れっ子となっていて、実は『黄金の魔人』も、うちの先生が関わった事件に大幅な脚色を加えた小説が原作なのだ。
 どう見てもうちの先生より数段は男前の探偵と、どうやら少女が扮しているらしい可愛らしい少年探偵が冒険を繰り広げる白黒の画面。
 そんな画面にの場面に合わせて蕩々と続いていた弁士の語りが名調子で終わった辺りで、ところで最近仕事はどうだいと笑顔で迫ってきた鷹塔先生に、私は無理矢理パーラーに連行される羽目に陥った。
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苟且(かりそめ)

2016-10-13 21:30:57 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『漁港』を舞台に、『豆腐』と『握手』と『酒瓶』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 取りあえず、さっさと御嶽丸の修理を博士に頼みたかったので翌朝早々に死んだ黒い獣の骸を引き渡すと、依頼人は随分と感心して、思えば親を殺されたコイツも不憫でした。せめて一緒に葬ってやりますと呟きながら、相場より遙かに多額の報酬を払ってくれた。そんな訳で事務所に戻った俺達は普段より豆腐や刺身を買い込んで小宴会を執り行う。クロの修理はどれ位で終わりますなね、などと良いながら普段より機嫌よさげに皿の料理に箸を伸ばすアイツを見ていると、俺の勘が絶えることなく『事件は始まったばかりだ、この平穏はかりそめのものでしかない』と囁き続けようと、とりあえず今夜だけは脳天気に笑っておこうと思う。
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復帰

2016-10-12 00:12:04 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『猫カフェ』を舞台に、『風来坊』と『大皿』と『落葉』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

「俺、猫の方が好きだから」

 そんな訳の判らぬ言い訳をしてみた俺を容赦なく突き飛ばすと、アイツは牙を剥いて狂い回る御嶽丸を抱きしめて再びクロと叫んだ。直後に御嶽丸は暴れるのを止めた。瞳の色が通常の青に戻るなり力なく鼻を鳴らす御嶽丸をアイツがもう一度クロと叫んだ隙に俺は御嶽丸のスイッチを切る。今後の処理はともかく、酷く破損した蒸気犬を放置するのは危険極まりないからだ。
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絶叫

2016-10-11 00:30:48 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『夜道』を舞台に、『茶色』と『斜面』と『酒瓶』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 斜面を転がり落ちてのたうち回る奴の身体を注意深く自分の靴底で踏みつけた俺は、滅多に使わない銃を抜いて蒸気犬の急所、つまり開いた口の中に照準を合わせる。
「あばよ」
 呟きながら引き金を引きかけた直後、視界の端に茶色の髪の毛を捉えた直後に俺を止める声。
「先生!それはクロです!うちのクロです!」

 そんなアイツの悲痛な叫びに俺は眉を顰めるしかない。
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破壊

2016-10-10 20:54:24 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『草原』を舞台に、『味噌汁』と『氷』と『強風』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 あの日草原で見た、俺が知る限りで最後の泣き顔を思い出しながら、アイツきっと悲しむだろうななどという感傷を折からの風に吹き飛ばしてカメラを構えた俺は、まずフラッシュで奴の視界を奪い、直後に次の発射に耐えうる体勢を整えてから安全装置を外し、再びカメラを向けて蒸気弾を発射した。狙いは僅かに逸れたが、それでも奴の下半身は派手に部品を散らしながら吹き飛んだ。
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出現

2016-10-07 00:33:55 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『酒場』を舞台に、『紺青』と『食パン』と『司書』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 悪い酒が呼び起こした悪夢のような姿で俺の前に現れた御嶽丸の眼は、普段の穏やかな青ではなく不吉な深紅に染まっていた。それは蒸気犬が敵に対する攻撃態勢に入った時の色で、つまり予想通り奴にとって今の俺は倒すべき敵でしかない訳だ。そして俺が明日の朝食のパンにありつくには奴を倒さなければならない。全く以て酷い状況と言う他ない。
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焼失

2016-10-06 00:18:19 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『百貨店』を舞台に、『茶色』と『笑顔』と『睡蓮』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 直後に俺の家が炎に包まれた理由は今になっても不明だ。従兄が何か細工をしたのか、研究施設にあった様々な蒸気機関のいずれかがトラブルを起こしたのか。とにかく俺は炎に包まれた瓦礫に肩を焼かれながらアイツを抱えて脱出するのが精一杯で、死んでしまった両親も姉夫婦も、最後まで笑顔のままだった従兄も、奴の顔を爪で抉った御嶽丸も、全てを置き去りにせざるを得なかった。
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場面その19

2016-10-06 00:10:10 | 松高の、三羽烏が往く道は
 行方不明になっていた圭佑が信乃と優吾に伴われて自宅に戻ってから数日後。
「松高の……三羽烏の往く道は、と。うん、これで良いな」
 いつものように煙草盆を傍らに置いた姿で店に座っていた秀一が、達筆とは言い難いが下手でもない癖のある筆跡で大福帳に上の句を書き付けてから、さて下の句はどうしたものかと考えていると。
「ただいま、兄ちゃん!」
 いつものように圭佑が元気良く店に入ってきて声を掛けてくる。
「ああ、お帰り圭佑」
 結局、一連の騒動は圭佑が神隠しに遭っていたと言うことになった。実際、首謀者の優香以外が泥を被らずに事を治める方法はそれしかなかった。
 ちなみに当の優香は事件発覚直後に新しい縁談が持ち込まれ、即座に東京に住む男の元に嫁いで行った。何でも彼女と親子程も年の違う、更に彼女より年上の子供が数人いる男の後妻だそうだが、相手は結構な金持ちと聞いているから玉の輿だろうし、ああいう根性の持ち主のお嬢さんなら、ひょっとしたらそんな環境でも上手いことやっていくかも知れないなどと秀一は無責任に考えている。
「そう言えば兄ちゃん、ちょっと前におれが街で立ち回りを演じた事があったろう?
 さっき、あの時に優吾が投げ飛ばした相手が女の子と一緒に歩いていたんだ」

 優吾が二人は兄妹だって言ってたけど、妹の方が……うーん、美人じゃないんだけど凄く可愛い子でさ。どうせなら兄ちゃんのお見合い相手があの子だったら良かったのにと思ったねおれは。

「おや、そんなに可愛い子だったのか?」
 秀一のロイド眼鏡に隠れた瞳が底光りするのに気付かぬまま、圭佑は無邪気にうん!と頷いてみせる。
「それなら私も色々と考えなければならないな……とにかく、夕飯だから部屋に鞄を置いてきなさい」
 わかった!と答えるなり家の奥に入っていく圭佑の背中を見送りながら、秀一は優香から取り戻した櫛を何処にしまっておいたかを思い出すことにした。



松高の、三羽烏が往く道は 其の壱 松葉の圭佑・終
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