カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

宣告

2016-11-16 20:08:48 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『酒場』を舞台に、『カンテラ』と『小鳥』と『水槽』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 普段の平静さをかなぐり捨てた正気とは思えない執事の告白に、しかし依頼人は不気味な程に感情を動かさぬまま「知っていたよ」と答えた。そして「お前を雇い入れることは妻が望んだ事だった」と更に続ける。

 もしそれを許せないというのなら、お前が隠した彫刻を持って此処を出て行ってくれても警察沙汰にする気は無い。

 依頼人の言葉に対して、執事は苦しげに表情を歪める。
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愛憐

2016-11-15 21:28:12 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『美術館』を舞台に、『爪痕』と『霧』と『睡蓮』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 執事は長い間幼馴染に淡い思いを抱いていたが、幼馴染みは彼が故郷を離れている間に依頼人の奥方になり、夫と共に帝都で暮らすようになっていた。やがて依頼人の家に執事として仕える事になった彼は、二人に忠節の限りを尽くすことで充分に満足して他に何も望まぬ積もりでいたが、事故に遭い瀕死となった奥方の姿を見て箍が外れた。と言っても依頼人の振りをして彼女の手を取っただけだが、奥方には激しく拒絶される結果となった。
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恩讐

2016-11-14 20:43:15 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『草原』を舞台に、『恩讐』と『ペン』と『自由』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 ところで、予告時間には少し早いですが彫刻を確認させて頂いて宜しいですかと俺が問うと、予想通り依頼人ではなく執事が面白い位に動揺してみせた。時間前に金庫を開けるのは危険ですと強弁する相手に、なるべくはったりを聞かせた口調でそろそろ色々と正直になってみたらどうです?貴方が彫刻を隠したのでしょうと断言すると、案外にあっさりと自分がしたことを認めた。
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臨終

2016-11-11 21:46:14 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『夜明け』を舞台に、『豆腐』と『夕立』と『ゆで卵』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 不躾ですが奥様がお亡くなりになった時の状況を伺っても宜しいでしょうかと尋ねると、依頼人は悲しげな表情で、医者が見放してからは殆ど私が付ききりで側におりました。どうしても妻の側から離れなければならなくなったときは彼を側に残しておきましたと答えが返ってきた。実直を絵にしたような執事も力強く頷く。
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妖精

2016-11-10 21:38:13 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『真夏』を舞台に、『辞書』と『中華鍋』と『錯覚』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 予告の時間までは俺とアイツ、それに依頼主と執事の四人で書斎金庫前に待機することになった。重苦しい雰囲気を和らげようと思って「奥様は奇麗な方だったのでしょうね」と呟くと、依頼主だけでなく執事も力強く同意してくる。特に高原の別荘で過ごした夏の日の彼女は妖精と見まごう程の美しさだったと力説され、それは豪勢な話だと思いながら何かが俺の中で引っかかった。
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愛惜

2016-11-09 21:11:17 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『編集室』を舞台に、『白黒』と『握手』と『未確認飛行物体』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 書斎で見せられた彫刻の実物は、写真より遙かに艶めかしかった。何でも不幸な事故で重篤な傷を負い、目を焼き耳を失い碌に喋ることも出来なくなった依頼人の奥方は、それから亡くなる瞬間まで己の手指を使い極めて情熱的な思いを依頼人に示し続けたのだと言う。状況を想像するとあらゆる意味で悲しく、そして美しい話ではある。
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不満

2016-11-08 21:15:32 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『路面電車』を舞台に、『失敗』と『ノコギリ』と『独立』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 ところでどうして今回の移動は路面電車なんですかと尋ねてくるアイツに、うちの車は博士に預けてあるからなと答える俺。何となく不満そうな表情のアイツに何が言いたいと尋ねると、己の若年と無力が悔しいだけですと言ってのけやがったので、それなら一刻も早く一人前になって独立しろと答えると、何故か酷く不機嫌そうな表情になって黙り込む。年齢的に反抗期なのかも知れないが、扱いにくい事この上ない。
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喪失

2016-11-07 21:31:04 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『草原』を舞台に、『緑色』と『眼鏡』と『ゆで卵』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 正直、アイツが「両親と祖父母さえ死んでいなかったら自分だって」と愚痴を溢すのは仕方の無いことだと思う。だがあの時、俺もまた両親と姉夫婦、そして幼馴染みの従兄を永久に失ったのだ。そして草原で泣いていたアイツを見捨てて一人で生きることなど、あの時の俺にはとうてい不可能だった。そう、後にどれほどの後悔を重ねることになってもだ。
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舌戦

2016-11-04 23:57:52 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『吹雪』を舞台に、『復讐』と『眼鏡』と『格闘』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 機嫌が悪いと、アイツは会話で俺に格闘戦を挑んでくる事がある。そういう時は大概、よくぞここまで断続的にうだうだグチグチと文句を連ねることが出来るものだと感心しつつ大人の対応で適当にスルーするのだが、たまに俺も機嫌が悪かったりした時、更に地雷とでも言うべき内容の発言をされた時は反射的にやり返してしまい、当然ながら二人の間に最悪の雰囲気が爆誕することになるのだ。
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奥方

2016-11-03 19:46:39 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『夜道』を舞台に、『猫』と『ノコギリ』と『鋼鉄』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 依頼人の家に泊まり込む用意をしている最中に先生はどう思われますかとアイツに聞かれたので、蒸気犬は暖を取るのに向かないと思うと答えたら蹴られた。仕方ないのであの彫刻は奥方の手という左右揃った一対で、左手は現在行方不明らしいと真面目に説明すると、何だか不吉な予感がしますと呟くアイツ。それに関しては俺も同感だ。
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