カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

破片

2016-12-16 22:32:44 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『海』を舞台に、『街灯』と『ビール』と『鉱石』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 例えば皆で海に行ったとき。私が浜辺で半透明の石を拾ったと見せると、それは硝子瓶の欠片が砂で磨かれた物だが奇麗だよなと笑う先生の笑顔は覚えているのに、その後にあの人が私に掛けてきた言葉が思い出せない。ただ次の日、いつの間にか私の枕元に見事な琥珀のブローチが置かれていたのは覚えている。
 ちなみにブローチは確か先生に見せたとき、持ち主に返しておくよと持って行ってしまった。
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記憶

2016-12-15 21:32:57 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『自室』を舞台に、『辞書』と『握手』と『司書』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 私を助けてくれたとき、先生は明らかにあの男を殺そうとしていた。もしも私の声に気付かなかったら本当にそうしていただろう。それは私の知る呑気で鷹揚な先生の姿とは別人で、でも紛れもなく先生だった。私は一体今まで先生の何を見てきたのだろうと考えながら昔のアルバムをめくるが、何故か所々に思い出せない部分がある。
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支援

2016-12-14 22:02:12 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『水中』を舞台に、『紺青』と『苦悩』と『反逆』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 博士の教え子の中で最も優秀で、同時に最も危険な思想の持ち主だった奴が本気で動き出したとしたら、自分が教えた技術や知識を嬉々として碌でもないことに使うことは判り切っていた。しかし、今の自分に奴とやり合うだけの力は残されていない。だから博士は己の持てる全てを使って彼のバックアップをすると勝手に決めた。それが償いになるか、更に彼がどう思うかは考えないことにした。
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陰謀

2016-12-13 20:03:13 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『暗闇』を舞台に、『豆腐』と『霧』と『荒波』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 帝都沖に存在する、かつては無人島だった名も無い島に現在は少なからぬ人間が暮らしていた。彼らは元々帝都近郊を根城にしていた宿無しが大半だったが、「良い仕事がある」と集められた後は此処で黙々と与えられた仕事である茸の栽培に勤しんでいる。その茸が己の脳の思考の大半を支配している事も、その茸が更に多くの人間を支配する為の物だと言うことも、今の彼らが考えることはない。
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予言

2016-12-12 22:46:54 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『漁港』を舞台に、『銀色』と『煉瓦』と『鋼鉄』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

「人間の切れ端」は、その後も寂れた漁港などあちこちで発見されて大騒ぎになったが、大概は身元不明のまま処理されていった。そして切れ端の生産者がヤツだとして意図的に身元不明で片付く相手を標的にしているのだとしたら発見された被害者数は氷山の一角で、いずれはこの帝都にも恐ろしいことが起きるだろうと言い切った博士は「急がねばならん」と呟きながら研究室に籠もってしまった。
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断片

2016-12-09 23:07:24 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『殺人現場』を舞台に、『豆腐』と『ノコギリ』と『沸騰』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 探偵という職業柄、色々と怪しい身元の人間に知り合いが多い。彼らにも縄張りがあって住処を移動するにも決まった範囲内というのが普通だが、最近見かける顔ぶれが随分と減った。どうにもきな臭い物を感じ始めたある日、とうとう、割の良い仕事を見つけたと仲間に話した後に姿を消した男の左足首から下だけが野良犬に咥えられた姿て発見された。
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決心

2016-12-08 22:00:54 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『黄昏』を舞台に、『髪の毛』と『蝋燭』と『城壁』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 あの日、ランプに灯を入れたばかりの黄昏時の部屋で卒業証書を渡すと、先生は私の切ったばかりの髪と着替えたばかりの身なりに僅かだが眉を顰めた。少年のような短髪と袷こそ女性物だが一見すると男物のスーツ、私が探偵助手を務めたいならと先生が出した条件そのものの姿に、当の先生は軽い溜息を吐いて頷いた。
「……いいだろう」
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葛藤

2016-12-07 20:42:27 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『桜の下』を舞台に、『飴玉』と『張り紙』と『飛蹴り』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 恐らく、というか確実に。
 先生は現在における私の不機嫌の根本原因について全く気付いていない。また私が飛び級を重ねて学校を卒業して先生の探偵助手として働き始めた理由も考えたことがない。そうに決まっている。小さい頃から大好きだったおじさんを先生と呼ぶようになった理由も同様だろう、だから思い切り蹴ってやりたい想いが抑えられないのだ。
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閑話

2016-12-06 21:01:56 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『路面電車』を舞台に、『茶色』と『転倒』と『奪取』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 奴の舘から助け出して以来、何故かアイツはずっと不機嫌のまま理不尽な八つ当たりを俺にぶつけてくるようになっていた。中には聞き捨てならないような発言もあったが正直なところ根本的な問題が何一つ解決していない状況下でいちいちアイツの発言に憤っている暇は無いので放っておき、とりあえず俺は俺のするべき事をしようと博士の下に赴いた。そして帰りは路面蒸気車を乗り継いだので事務所へ帰るのが遅くなり、当然のように厭味を言われることになった。
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救出

2016-12-05 21:09:59 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『荒野』を舞台に、『椅子』と『自由』と『水槽』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 先生について私が認めているのは探偵の才能の他にもう一つ、複雑な絡繰りを伴った蒸気機関の扱いがある。理論の方は全く分からんと言いながら、どんな機械でも容易く操ることが出来るのだ。
 だから、いきなり舘に現れるなり男を蹴倒し、私を担いでその場を逃走した装甲兵が先生だったことより、装甲が先生の車に変形した事の方に驚いた。
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