カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その28・親戚襲来

2018-09-05 18:32:22 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『星屑』と『三十年物の光鼈甲』を材料に『可愛い万年美容剤』を錬成しました。用途は戦闘用です。

 いきなりうちに押しかけてくなり、僕のことを師匠の愛人か或いは隠し子かと詰問してきた少女は何でも師匠の親戚で、今度社交界にデビューするから美顔薬を買いに来たのだという。師匠に錬成品を渡されて嬉々として帰っていった姿に僕が不安を訴えると、あれは普通の薬草茶だと笑いながらの答えが返ってきた。ちなみに、美容効果はあるから嘘ではないそうだ。
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作品その27・あの日に還りたい

2018-09-04 23:58:21 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『陶器の破片』と『三十年物の光鼈甲』を材料に『流れ出る妖怪時計』を錬成しました。用途は不明です。

 これは私の師匠からの教えでもあるがと師匠は言う。錬金術師は決して物理的な意味で時間の流れに干渉できない。簡単に言うと時の流れを遡ったりは出来ない。だが、記憶を極限まで活性化させるのは可能なので、そうすることでかつての光景を体感出来るのだそうだ。ただし、それはとても悲しい事でもあると寂しげな表情で付け加える師匠。
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作品その26・謎の師匠、或いは師匠の謎

2018-09-03 23:14:01 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『まがい賢者の石』と『夢香草』を材料に『氷結のエーテル強壮剤』を錬成しました。用途は飲用です。


 以前に師匠のお歳を尋ねた際、女性の年齢を聞くものではないと窘められたことがあるが、実際、師匠の年齢は全く以て謎だ。少なくとも僕が弟子として引き取られた十年以上前から外見が殆ど変わっていない。当人は外面を整えるのは得意だと笑うが、世の女性が飛びつきそうな美容系の薬は売っていない。
 それに、錬成品を販売する際は顔の殆どと体型を隠した格好をしているので、そもそも師匠が女である事すら知らない人も多い。
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