たかあきは晩夏の宗教都市に辿り着きました。名所は特に無し、名物は焼き菓子だそうです。
僕の姉は結婚して半年で夫を亡くし、それから一年経たずに尼僧になった。たまに周囲に何もない教会で静かに暮らす姉の元に僕が会いに行くと、いつも穏やかな笑顔でバザー用に焼いたというバター味のクッキーを持たせてくれて、だから、まさか姉が修道士と駆け落ちするなどとは想像もしていなかった。
僕の姉は結婚して半年で夫を亡くし、それから一年経たずに尼僧になった。たまに周囲に何もない教会で静かに暮らす姉の元に僕が会いに行くと、いつも穏やかな笑顔でバザー用に焼いたというバター味のクッキーを持たせてくれて、だから、まさか姉が修道士と駆け落ちするなどとは想像もしていなかった。